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移動するハードルの高さ

大阪府民

大阪の実家にいた頃は歩いていける範囲で何でも買えた。
ブランドや店にこだわらなければ、必要なもの、欲しいものは大体すぐに買いに行けた。

電車に30分〜1時間ほど乗れば京都や大阪の中心街にもいけるので、「大阪にしかないこの店の〇〇が欲しい」「いろんなブランドの同じような商品を比較したい」のようなこだわりがある人は、30分〜1時間電車に乗って移動する労力よりもその欲しいものへの熱意が勝つのだろう。

私はというと、実家にいた22年間で買い物だけするために電車に乗ったことはおそらくない。買い物に限らず、ご飯を食べに行くとか〇〇を見に行くとか、とにかく「自分がしたいこと」だけのために電車に乗って移動することは皆無だった。

電車に乗るのは学校にいくとき。あとは友達と遊ぶとき。
通学区間の途中でたまに時間をつぶしてみたり、友達と会うためにわざわざ遠くのカラオケに行ったりということはあったが、本当にそれだけだった。まぁ実家の周辺がそれだけ便利だったということかもしれないが、大阪の中心部に遊びに行く憧れも特になかった。そんな学生時代だった。

大阪⇔滋賀

大学の頃は、実家から滋賀にある大学まで通っていた。
その分定期の区間に入る場所も多く、たまに早く帰れた日は途中の京都にあるGUで買い物に寄ることもあった。なんにもなさそうな駅で途中下車して、ふらふらと散歩することもあった。

大学の友達とご飯を食べに行くときは、大学近くの(といっても3,4km離れた)駅からわざわざ1駅電車に乗ることもあった。大学近くの(といっても10km以上離れた)ショッピングモールに行くために、わざわざバスを乗り継ぐことも、そんなに苦ではなかった。

滋賀で電車移動することに関しては全然苦ではないのに、大阪に帰ると一気に徒歩・自転車中心の生活になる。
電車の本数は大阪のほうが圧倒的に多いし、乗り心地もJRよりも遥かに良くて便利なのに。

滋賀県民

去年の今頃、就職のため滋賀に引っ越した。
大学があった場所よりも更に田舎で、電車の本数は30分に1本。バスもそんなにないし、車移動が主流の地域だ。
私は車を持っていないし、都会ならカーシェアリングとかで車をすぐに借りることが出来るが、田舎なのでそういうサービスを使うために電車に乗らなければいけない。

徒歩・自転車中心の移動とは言いながら、大阪とは違って歩道も満足にないし、車が我が物顔で走る車道を自転車で通るのも結構怖い。

今の私にとって、10分電車に乗って2つ隣の駅に行くことは全然ハードルが高いことではなく、生活に必要な行為となった。電車は30分に1本しかないけれど、時間を見て家を出れば良いだけなので問題もない。本当に必要最低限のものは近所のスーパーで揃うけれど、コンタクトは隣の駅に行かないと買えない。

そこで私は気づいたことがある。
そんな状態になっても、私は「自分のしたいこと」のためだけに電車には乗っていない。電車に乗ることがハードル高いのだと思っていたけれど、そのハードルが下がった今もなお、「本当に必要なこと」のためにしか電車に乗っていないのだ。

「自分のしたいこと」は全部、何か必要なことの「ついで」に済ませていた。移動の労力にかける優先度が低いんだろうと思っていたが、そうではなかった。
自分の優先度が低いのだ。

ちなみに、「人に会いに行くこと」に関しては移動の労力は全く惜しまない。なので私は、どこかちょっと遠目の場所にいきたいなと思ったら、その近くに住む人で会いたい人がいないかを考えることが多い。
逆に誰かと会う予定があれば、その近くで行きたいところがあれば少し早くついて「自分のしたいこと」を消化している。


誰に会いに行くでもなく、必要な用事の「ついで」でもなく、ただ自分の行きたいところに思うがままに行くような、自由に一人旅とか、憧れはするけど行動にはうつせなかった。

ひとりが好きとか言いながら、人と会うためにしか移動できないって、実はめちゃくちゃ人が好きじゃないか、私。

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