見出し画像

FPSの上手さとIQって関係あるの? ~Apexが下手すぎて知能検査を受けた話~

「そもそも知能検査とは?」の部分はネットの海に分かりやすい記事が山ほどあるのでそちらを御覧ください。
エビデンスのない憶測を多分に含みます。個人的な感想であることに留意して御覧ください。

▼前回の記事

ずいぶん期間が空きましたね。2年も放置してしまった…!
「書きたいときに書く。義務感で書かない。」を目標に始めたnoteなので良いんですが、前回記事で続きを気にしてイイネくれた人に申し訳ない。

というわけで、知能検査の結果とともに「FPSの下手さはIQ起因だったのか?」に自分なりの結論を出して行こうと思います。


■結論

[疑問] 
FPSの上手さにIQは関係あるのか?

[自分の答え]

  • 関係ある場合もあるし、関係ない場合もある。
    「知能」「動体視力」「反射神経」のハードウェア面の要因と
    「経験」「知識」「学習機会」などソフトウェア面の要因があるっぽい。
    この中で著しく低いものがあるとボトルネックになる。

  • 自分の場合は関係あったかも。
    ワーキングメモリの不足から常にいっぱいいっぱいでテンパっている状態なため、落ち着いて状況を把握し分析することができていないっぽい。


この結論に至った経緯を順を追って解説していこうと思います。
繰り返しますが、エビデンスのない個人の感想であることに留意してください。

■知能テスト(WAIS-IV)の結果

そもそもテストの結果はどうだったん?の部分について。結論、頭は悪くなかった。少なくとも「知能」が足かせになっていることはないっぽい。

WAIS-IVの結果

 言語理解     …119
 知覚推理     …120
 ワーキングメモリ …114
 処理速度     …121
  ⇒ 総合IQ …123

IQ120は全人類の上位6%くらいらしく、東大生の平均IQが120とか言われている。数字としては高い部類に入るため、知能指数(IQ)が低すぎて下手とかそういうことはなさそうだった。
と言うか数字だけ見れば何でも上手くやれそうな人間な感じすらある。
しかし、自分は公共料金すら期限内に支払えないしFPSは万年ゴールド帯のポンコツ人間なので大草原である。そうか、あれは高いIQを持って合理的に判断した結果の滞納だったんだな……?(ちゃんと全部払いました)

今までIQが高い人間をファンタジー世界の異能力者のように捉えていたが、自分という人間のポンコツっぷりを知っているので、「なんだ、IQが高いって別にこんなもんか」ととても地続きなものに感じた。
(頭が良い人を舐めている訳じゃないですよ。ファンタジー感が薄れて地に足ついた捉え方ができるようになったという意味です。)

※ 補足すると、IQが高いのと一般的な「頭が良い人」像は一致しない。
実際、IQと学歴/収入は相関関係がないらしく、IQ130を超えると入れるMENSAの会員にも学校中退やニートはたくさんいるとのこと。
むしろ学歴は親の収入と相関しているというデータもあった。実家が太い人間が次の太い実家の親になれるのである……ああ無情。

■ワーキングメモリの低さ

本題に戻る。

この結果で注目してほしいのは「ワーキングメモリ」の低さだ。
他の検査項目に対して若干低い。

「いやいや、低いといっても若干だし114は十分高くない?」と思うだろう。

しかしIQというのは基本的に「各項目が同じような数値になる」ようになっており、差があればあるほど能力が偏っていて脳の動作が不安定になるらしい。
例えるなら「F1カーにノーマルタイヤを使っている」「ゲーミングPCのメモリが8GB」みたいなもので、他のパーツ性能に高負荷をかけられてパンクしてしまうようなイメージだと思う。

では、他の項目に比べてワーキングメモリが低いとどうなるか?
頭に一時的な情報を置いておくことが苦手になるので、口頭で指示されると聞き漏らしたり覚えられない、うっかりが多い、注意力散漫、などが起こり、これが酷いといわゆるADHD(発達障害)として診断される。

▼参考 ワーキングメモリについての解説


目安として、高い項目と低い項目の数値ギャップが15以上だと発達障害を疑われるらしい。
ただ必ずしも知能テストだけで判明するものではなく、差が少なくても他の心理検査と総合的に判断して発達障害と診断されるので、15というのはあくまで目安とのこと。

検査をした心理士さんによるとギャップ7程度なのでこれだけで発達障害とは診断されないとのことだったが、自分の場合はワーキングメモリが低い場合に起こる「不注意」「衝動的」などの症状はしっかり現れていた。
日常生活では公共料金の滞納がそうだし、交通事故やケガもよくする。

FPSで言うと例えば「敵が出てくるとテンパって視線がガタガタになる」「焦って冷静な判断ができず突っ込んでしまう」「周囲の敵味方の情報を落ち着いて視認できず状況が読めない」などだ。

「テンパるのとADHDって関係あるの?」と思うが、以下の記事を参考にしてほしい。

こちらの記事も憶測を含む内容だが、恐らく脳の前頭前野の活動(ドーパミン量)とFPSの注意力は関連があるように思う。

▼参考。ADHDの治療薬がスプラの大会で禁止になった話

接敵時にテンパるのをどうにかしたく、なるべく落ち着くように自分に言い聞かせたり場数を踏むように練習したこともあったが、一向に改善しなかった。
しかし脳の仕組みでそういうことが起こるのであれば納得が行く。

自分の場合はワーキングメモリがFPSをやる上で足かせになっているようだと理解した。

■FPSの上手さは何と関係するの?

ということで、自分がなぜFPSが上達しないかはなんとなく答えが出た。

しかし、
「FPSの上手さはワーキングメモリやIQと相関するってこと?」
と言われたら、答えはNOである。

IQが高ければ高いほどFPSがうまいなら、プロ選手はみんな高IQになるし東大生はみんなFPSが上手いことになってしまうがそんなことはない。
IQはもしかしたら関係するのかもしれないが、それ1つだけが理由というわけではない、ということだと思う。

自分の場合もワーキングメモリを改善したら直ちにFPSが上手くなるわけではなく、別のボトルネックが複数共存している可能性もあるので1つずつ原因を潰していかないと上手くならないだろう。

では何がFPSの上手さに関連するか?

自分は「センス」とか「才能」とかいう説明放棄が好きではない。

色々と考えた結果、大きく分けて「ハードの性能」と「ソフトの性能」と考えた。

  • ハードウェアの性能(肉体、脳などの物質的な性能)
    「知能」「動体視力」「神経」「努力」

  • ソフトウェアの性能(後天的な学習によって得た性能)
    「経験」「知識」「学習機会」

これらの複合的な結果が「実力」という形で現れるのではないだろうか。
軽く説明をしたいと思う。

■ハードウェア性能

◯「知能」 =IQ、思考力、賢さ ≒戦略理解や俯瞰的な見方の思考力

知能が発達していない幼稚園児は複雑なルールのゲームが理解できないのを想像してほしい。知能指数は単純に「ルール理解」「戦略理解」に必要だ。

大衆に向けたゲームで成人のIQ100前後で理解できない内容になっていることはほぼないので、理解が難しいということはない。
ただ、IQというのは「理解できるか」だけでなく「理解の早さ」も指標だったりする。例えば知能検査では答えの正誤だけでなく、正解にたどり着くまでの時間も測られているらしい。
つまり、同じ戦略理解をするにしてもIQが高いと理解が早いし、IQが低いと勝ち筋に気付くまでに時間がかかったりする。

前述した通り、プロゲーマーがみんな高IQなわけではないので上手さの絶対条件ではないが、IQが著しく低かったり、知能指数の内訳に差があったりすと足を引っ張る(ボトルネックになる)可能性はあると考えている。

◯「動体視力」 =周辺視野の広さ、物を目で追う能力

eスポーツがスポーツと名の付くゆえんだが、FPSも体の性能は切っても切り離せない。素早く動く敵を視認できるかどうかなどは体のスペックに依存する。
視力の中には「動体視力」「深視力」「周辺視野」「瞬間視」など様々なステータスがあり、どんなに戦略が優れていてもフィジカルが足を引っ張ると対面で負けてしまうこともあると思う。

▼参考 目と脳のトレーニングについて
野球などの球技をやってきた人は聞いたことがあるかもしれない。


◯「神経」 =反射神経と体の扱い。神経系の発達。

動体視力が良くても体がついていかなければ意味がない。
見た情報に素早く対応できる反射神経(腕の神経の発達)の良さも必要になると思う。

▼反射神経とは
https://www.itsuki-hp.jp/radio/kako-111113

▼筋トレでも神経系の発達は重要

▼球技やると反射神経のことめちゃくちゃ言われる

鍛えられるという面でソフト側っぽいが、例えばASDは運動障害を併発しやすく、手先が不器用という話もある。

脳と神経と筋肉はひとつながりであること、AIMをするための手先の不器用さが脳の発達と関係があるケースがあることから、これも努力と同じで、ある程度生まれ持った脳のスペックもあると判断してハード面に入れた。


◯「努力」 =試行錯誤を繰り返すことを厭わない能力

いくら動体視力や頭の良さを持っていても、努力をしなければ凡人にも負ける。
藤井聡太が将棋を覚えて1年くらいした頃でも練習を一切しなくても他のプロに勝てるだろうか?
大谷翔平は練習や筋トレをやめてもメジャーリーグで好成績を残せるだろうか?
そんなことはないと思う。

能力10訓練50を上乗せして60の実力で戦っている人、能力100訓練0で才能だけで戦っている人など色々いると思うが、上に行けば行こうとするほど訓練による上乗せが必要になるので努力ナシとはいかないと思う。

ちなみに、努力はソフトウェアじゃないの?と思うかもしれないが、個人的にはハードウェアだと思っている。

▼よく擦られてるやつ。
個人的にこの漫画の説明は誤解を招きそうな気もしているが、脳の仕組みとして努力できる人とできない人がいるという例としては分かりやすい。

▼似たようなやつ。双子実験で、努力できるかできないかは環境より生まれつきのものが大きかったという話。

こういう遺伝子の話をすると「才能がないから」「遺伝子で決まっているから」という結論になりがちだが、遺伝子は100%ではないという話もある。

▼同じ遺伝子を持っているからと言って、違う環境で100%同じ結果になるわけではない。

一応、努力にも生まれ持った脳の報酬系の強さというハードウェア面の特性があるらしいのでハード面に入れたが、上手くコントロールする方法もないわけではないので、気持ち的にはハードとソフト半々という認識。

しかし努力をソフトウェア面に分類すると、「努力できない自分はダメな人間なんだ」とか「はいはい、努力できない俺が悪いのね(うんざり)」という人が出てきてしまうのであまりソフトに分類したくなく、こちらにした。


■ソフトウェアの性能(後天的な学習によって得た性能)

◯「経験」 =様々な場面展開での経験値。パターン学習の履歴。

FPSでもはやり経験者と初心者は立ち回りや危機意識の差が出る。
今これをしたら危ないという学習の積み重ねがないので、どんなに上手い人も最初は経験者に負けてしまう。

ハード面で述べた「知能」や「神経」などが秀でていたり、才能があったとしてもこの「経験」がないと勝つことが難しい。

ただ、知能が高い人は関連する情報の統合が上手く、1の経験で人より早く様々なパターンの推測をできるので成長が早そうだとは思う。


◯「知識」 =ゲーム仕様の知識、戦術の知識など

経験に似た話だが、そもそも戦術を知っているかどうかが差になることもある。
例えばプロシーンで奇抜な戦術が出てくることがあるが、初見では対応できず負けてしまったとしても2回目3回目となると対応方法が確立されてやり返したりができる。
高所を取ったほうが有利だから予め高所に繋がるルートを押さえて対策しよう、などもそうで、知っているだけで対応が楽になるという場面は多い。
もちろんそれらを実際に「経験」して対策できるようになるパターンもあるが、経験できるかどうかは相手次第なので、「知識」は「経験」を先回りできるツールという意味で別項目にした。

◯「学習機会」 =経験、知識を得る機会の多さ

これについて最近思うところがあったので項目に入れた。
韓国のFPSゲーマーが非常に強く、最近開催されていたOverwatch2の公式大会でも韓国人チームが無双していた。

スポーツでは黒人の生まれ持った体格が有利になることも多いが、FPSで韓国人になぜそこまでのアドバンテージがあるのかと考えたとき、学習機会の多さかなと思ったのである。

こんな話がある。当然日本か韓国が勝つだろうと言われていたとある格ゲー大会で、突如謎のパキスタン人が優勝し「パキスタンには俺より強い奴が沢山いる」と言い、実際その後パキスタン人が無双し始めたという話である。

なぜかと言うと、パキスタンでは放課後にゲームセンターで腕を競い合う、昔のゲーセン格ゲー全盛期の日本のような文化があったため相互に教え合って非常にレベルが高くなっていたのだという。(しかし当時のパキスタンにはインターネットがあまりなく、ずっと世界には知られていなかったので突如現れたように見えたということらしい)

このパキスタンと同じく、韓国にはネットゲームカフェ的なものが存在する。日本で想像する「ひとりで利用するネカフェ」とは異なり、どちらかというと友達と一緒に放課後に寄る、ゲーセンやカラオケのようなイメージかと思う。

FPSでもスポーツでも学問でもそうだが、「プレイ人口の多さ」は単純に強さに繋がる。
例えばIQ130以上の人間の割合は2%らしいが、これは100人の学年なら2人存在するイメージだ。この2人がIQ135なのかIQ140なのかは分からないが、2人でIQ130以上の人間のIQバトル(なにそれw)をしたらどちらかが勝つ。
しかしそこに学年1000人のマンモス校が勝負を挑んできたら、そこには20人のIQ130オーバーの生徒がいる。20人いたらIQ135もいればIQ140、IQ150もいる可能性が高くなる。つまり数が多ければ多いほど、より抜きん出た生徒が存在する確率が高くなる。

話を戻すと、テレビゲームはオタクや子どものものだというイメージが根強い欧米や、そもそもゲーミングPCにあまり触れる機会がない日米に比べて、「カルチャー」としてFPSをプレイする環境があり、日本よりたくさんの中高生がFPSをプレイしている韓国はそれだけで上手い選手の発生確率が上がる。
また、それはパキスタンのように「日々友達や大人と情報交換やアドバイスをしあってレベルを引き上げやすい」という環境にも繋がる。

先に「努力」は生まれつきの面もあると述べたが、この「環境」は努力を努力と思わせずに上達させるのにもってこいであり、また環境によって同一遺伝子でも異なる結果が出るパターンの一例のような「環境」要因にもなると思う。
上記の理由から、FPSが上手くなるのに「学習機会≒環境」は大切だと考えた。

そして、例えばFPSを本気でやろうとしているコミュニティに参加するだとか、コーチングを受けるだとか、「学習機会」を自分で手に入れる行動は上達に貢献すると思う。
一人でやっても行き詰まる。



上記が、自分が色々考えた「FPSの上手さの要因となる項目」だ。

まあ、考えたところで全く活かせる予定はないんだけども!

単に物事を分解して分類するのが好きな人間の趣味的な遊びです。
分解遊び、楽しいよね。

■発達障害を治療したらFPSも上手くなるの?

説明が長くなったけど、ようは自分の場合は発達障害的な特性(ワーキングメモリのなさ)が原因っぽかったわけで、じゃあそれってどうにかできんの?という話をしたいと思う。

結論、よく分からん。
(「◯◯の過去は?恋人は?調べてみました!」的なクソまとめ記事みたいな回答だな)

発達障害の中にはASD、ADHD、LDなど色々分類があるが、ADHDに関してはストラテラやコンサータといった特性を抑え込むような薬がある。
が、これがFPSにも影響を与えるのかは服薬している当事者にしかわからない上に、あまり言及している人がいない。

前述したコンサータスプラトゥーンの記事も、実際のところどうなのかは分からない。

実は自分もなんやかんやあって最近ストラテラを飲み始めたので、もしそれでFPSが上達するようなことがあったらそれも記事にしたいと思う。
ただその場合、前述の記事にもあるように薬を悪用される危険性があり、FPSのために薬に手を出すといった人間を生み出しかねない恐れもあるため、そのあたりに配慮した書き方が思いついたら…になると思う。

▼前述のコンサータスプラトゥーンについての記事。
 薬は治療のためのものです。悪用だめ。


次に、ASDにありがちな手先の不器用さに関してだが、ASDに治療薬がないことから現状でスタンダードの治療法はないかと思う。

ただ個人的な思想を言うのであれば、理論が不明だから効果がないわけではないので、当てずっぽうで色々試してみるのは大いにアリだと思う。ADHDのストラテラも細かい作用機序は不明で、だから効く人効かない人の理由も分からんらしいしね。
俺が第一発見者になるんだよォ!の精神は良いこと。(違法薬物はやめようね)


■FPSヘタクソ民たちへ

2年前に知能検査を受けたあとは「IQは問題なかったから反射神経などの問題だろう」と結論づけていた。
まだその時は自分の中でワーキングメモリの低さとゲームの上手さの関連性が見つけられていなかったのである。

その後、2年間で発達障害についての知見が深まり、自分の中で結論が出たのでこの記事を書くに至った。

完全に憶測なのでほぼ陰謀論みたいなものだが、同じようなコンプレックスを抱えているFPSヘタクソ民に届いて「脳の仕組みならしゃーねぇか!ほんなら悩むだけ無駄だから楽しくやろ!」と肩の荷を下ろして頂けたら幸いである。そしてOverwatch2をやろう。

ちなみにADHDの薬(ストラテラ)を飲み始めた経緯だが、うっかりやテンパリを極めすぎて交通事故に合いまくり、とんでもない大怪我をしたり命を落としかけたり なんだかんだした結果、このままでは自分は長く生きられないと恐怖を覚えたためである。
「うっかりで死にたくねぇ!!」と精神科に駆け込み、お医者さんと相談して服用を始めた。
あと、友達がいない原因が発達障害起因なのではないかと思い当たったのもある。
やれることは何でも試したい、我ながら好奇心と探究心が旺盛なタイプ。

みんなも事故には気をつけよーね。

じゃあね!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?