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【世界考察19】先に見つけた方が偉い?/アインシュタインとポアンカレ/アインシュタインとヒルベルト

●先に見つけた方が偉い?

人類は先に見つけた方が偉いという価値観がある。科学的発見でも著作物でもアイデアでもなんでもいいのだが、1秒でも早く先に言ったほうが勝ちらしい。勝ちとは何なのか。勝ちの定義は置いておくが、とにかく勝ちである。

1秒でも早く。ここに非常に違和感がある。1秒早く言った方が全てを手に入れる。1秒遅れた方が全てを失う。そのたかが1秒で、何ゆえそれほどまでの違いが生じるのか。なぜヒトはこの違いを許容するのか。その1秒(でも1分でも1時間でも1日でも構わないが)に何ゆえそこまでの価値を見出すのか。考えてみても全くわからない。

唯脳論では、新発見とは脳内にあるものを自覚的に見出す作業にすぎない。この考えによると、新発見も、図書館を調べて情報を見つけることも、大して差がない。創作物であれなんであれ、元から脳に入っていた何かである。もはや著作権という概念すら怪しくなりそうな考え方だ。

先に見つけた方が偉いという決まりは、どこからやってきたのだろうか。後から出したほうが、パクりを働いた可能性があるからだろうか。先に出した方がパクった可能性も大いにあるので、これはあまり根拠にならない。勝ち負けをとりあえず決めるための約束なのか。もう二人の発見にしてしまえばよくないか。別にどっちでもいい。

どっちでもいいということで、アインシュタインの話に入る。

●アインシュタインとポアンカレ

先日の記事でも触れた人たちである。特殊相対論の萌芽はアインシュタインより先に何人かが関与していた(とある理論にこの世で一人しか関与していない、ということは、そもそもあり得ないが)。よく出てくるのがローレンツ、ポアンカレあたりか。ローレンツはそもそものアイデアが違うということで、そこまで突っ込まれていないと思うが、ポアンカレに関してはアイデア自体がかなり近いものだったため、特殊相対論は誰が先に発見したか問題が浮上した。それを論ずる書籍もある。色々経緯はあり、お互い言い分もあるようだが、真相は誰にもわからない。どちらが発見したかなど、特に興味はない。どちらも(そもそも関わった人物全員が)特殊相対論に対して重要人物であることには変わりない。

●アインシュタインとヒルベルト

今度は、物理学は物理学者には難しすぎる、という名言(迷言)を残した数学者ヒルベルトと、物理学者のアインシュタインである。この二人は一般相対論の重力方程式の先取権を巡って争っていた。従来はヒルベルトが先とされていたらしいが、詳しく調べると若干アインシュタインの方が早かったらしく、アインシュタインの勝利となった。とはいえ、アインシュタインとて、一切他人の影響を受けなかったことなどありうるのだろうか。山にこもって一人で思索に耽り、10年後に現れて論文を出した、とかでもなければ、何かしら誰かしらの影響を受けていると考える方が妥当だと思える。グロスマンもその一人だろう。誰が誰の理論かなど、厳密に決めることができるのだろうか。

唯脳論的に考えれば、みんな図書館で本を調べているだけである。

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