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西崎景
2019年9月30日 21:45
城慧一・2 ここんところの休日、轍はいつも一人で出かける。 限定スイーツの行列で知り合いができたらしく、以前より頻繁に買いに行くようになった。スイーツの行列で轍と仲良くなる奴がいたのは意外だし、轍が仲良くなろうと思ったのも意外だった。一九〇センチで辛口の顔立ちは、女子どもにはおっかないだろう、というのが轍のコンプレックスを差し引いても出てくる想像だ。だから、単純に嬉しかった。それは、轍
2019年9月23日 21:52
国吉轍・1 もうすぐ三月になるといっても、朝の冷えこみはまだまだ真冬だ。 ふとんを出た時のひんやりとしたフローリングと居間の冷たさに体がふるえる。 テレビをつけると、ワイドショーのキャスターが今日は風が強いと告げていた。定休日の水曜日、重い腰を上げてスイーツ巡りに出かけようというのに、この予報はあまりに酷だ。自分が寒さに弱いとは思わないが、長時間屋外で並ぶ時に風は堪える。 カジュア
2019年9月20日 13:42
城慧一(きずきけいいち)・1「なあ、轍(てつ)。オレ、ラブレターもらった」 閉店作業の後、休憩室から調理場の轍に振り返ると、オレはおもむろに口を開いた。 床にモップをかけていた轍の腕が止まる。「マジですか!?」 帰る支度をしていたバイトの濱が色めきたつ。同じくバイトの茅野(かやの)ちゃんは、へえ、とクールな反応だった。 黒髪のつむじを見ながら、オレはにやにやと次の反応を待った。