ケンタッキーボックス
部屋は夕方の穏やかな静けさに包まれていた。テーブルの上には、ケンタッキーボックス、バーベキューソース、そしてメープルシロップがきちんと並んでいる。冷蔵庫から取り出したコーラをグラスに注ぐと、炭酸の弾ける音が静寂を心地よく切り裂いた。手に伝わる冷たい感触が、一日の疲れを優しく癒してくれる。
黄金色に輝くチキンが目に飛び込んでくると、自然に手が伸びた。箱を開けた瞬間、香ばしい香りがふわりと鼻先をくすぐり、食欲がさらに刺激される。ひと口かじると、カリッという音が耳に心地よく響き、じゅわっと広がる肉汁が舌を包む。まるでチキンが「今日は私が主役だ」と言わんばかりの堂々とした風味だ。
メープルシロップをとろりとかけると、甘さと塩気が見事に交わり、口の中で新たな味わいが生まれる。「これは意外と合うな」と驚きながら、次の一口を楽しむ。甘さが程よく広がり、予想を裏切る変化が、食べるたびに新しい発見をもたらしてくれる。
続いて、バーベキューソースをかけると、スモーキーな香りが広がり、今度はチキンがぐっと大人びた味わいに変わる。濃厚な風味がしっかりと舌に残り、「これもまた一興だな」と、食事の楽しさをさらに引き立ててくれる。
ふと視線を向けると、サラダがこちらを見つめているようだ。シャキシャキとした食感が、これまでの味の余韻を一気にリセットし、次の一口をさらに待ち遠しくさせる。サラダの爽やかさが、濃厚な食事のバランスを見事に調整してくれる。
最後に、冷えたコーラを喉に流し込むと、シュワシュワとした炭酸が体中をさっぱりと満たしていく。空になったチキンの箱とわずかに残ったソースが、食事の終わりを静かに告げる。満腹感とともに心地よい疲労感がじわりと広がり、夕方の静けさが再び部屋を包み込む中、自然とまどろみが訪れた。