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思い出流星群

皆さんは、昔嗜んでた物、例えば、音楽やドラマ、映画、漫画を聴いたり、観たりした時、懐かしい気持ちが起きませんか?

僕は、懐かしい気持ちと同時に、当時の思い出がフラッシュバックをする事がたまにあります。
僕は、その現象を思い出流星群と呼んでいます。
頭の中に、昔の思い出が、当時の気持ちが、多数降ってくるからです。
そんな、僕の流星群が起きた1日の話をしたいと思います。

「起きたくないなぁ」
朝、アラームの音が部屋に鳴り響く。
何だか最近元気がない。環境が変わり、やる事が増え、頭が混乱し、疲れているのだろうか。将棋の中継もちゃんと観れてない。
元気がないと、朝は楽しくない。だから、起きるのは勿論楽しくない。とは言え、仕事があるから、仕方なく身体を起こし、支度をし、部屋を出る。気怠い気持ちで満員電車に乗る。現実逃避で、スマホを開きTwitterをなんとなしに開いた。
スクロールをしていると、山崎八段覚悟の挑戦pvという文字が目に止まる。
pvを見る。

山崎先生には、奨励会時代の長い間、とてもお世話なった先生だ。沢山将棋を教わり、自分が緩い態度で将棋に向かっていると、厳しい事をよくいって下さった。
ごく稀に褒められたりもして、こそばゆい気持ちになったりもしたっけ。
将棋以外では、僕が塞ぎ込んでいる時に、気分転換に何人かで、山登りに連れて行って下さったり、山崎先生の仲の良い、阪口先生と服部君を誘って、香川県にうどんを食べに連れて行ってもらったりもした。香川県に連れて行って下さった時は夜、宿泊場所で、西山君を鍛えると山崎先生は言い、夜遅くまで皆さんに、何局も稽古つけてもらった。
僕が、三段リーグにいた時は300局位は教わった気がする。もっとかもしれない。
山崎先生の好きな所は、将棋に真剣でギラギラして怖い時である。練習対局では、もの凄い緊張感と殺気があって僕は、雰囲気に飲み込まれないように、山崎絶対倒すという気持ちで指していた。僕は熱い気持ちで指していた。
だから、三段リーグの退会が決まった日に山崎先生に電話をした時は、泣きまくって、言葉にならなかった。


pvを見終わる。心が熱い気持ちになる。将棋の中継アプリを開き、前日にあった山崎先生のタイトル戦の第一局を観る。何だかさらに、熱い気持ちになる。修行時代の山崎先生と指した将棋が、思い出が、気持ちが、蘇る。

こんな今の緩い態度を見たら山崎先生に、
西山君弱くなったね。前は良かったのに。もうダメか。
って、言われそうだ。

その日、仕事を一生懸命打ち込めた。帰り道、新宿の星のない、真っ暗な夜空を見上げると、山崎先生との昔の練習将棋の局面が浮かびあがった。
夜空に山崎先生との思い出が流れ落ちた。

明日は第二局、とても楽しみだ。

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