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LGBT理解増進法🛴⛄🌞

いわゆる「LGBT理解増進法」の成立の意義や今後の展望について、LGBT超党派議連の事務局長を務め、公明党「性的指向と性自認に関するPT」座長として議論を進めてきた谷合正明・参議院幹事長に話を聞いた。
(「第三文明」9月号から)

全ての人にとって「性」は多様なもの
 「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(以下、「理解増進法」と表記)が先の国会で与党と維新・国民などの賛成多数で成立し、6月23日に公布・施行されました。

 公明党は、2012年4月に性的マイノリティに関するPT(プロジェクト・チーム)を党内に設置し、当事者や有識者から約30回にわたるヒアリングを重ねてきました。

 日本で性的マイノリティと自認している人の割合は、およそ7・6%で13人に1人といわれています。一方で10代の当事者の約半数が、過去1年間に自殺を考えたことがあり、自分の性の問題について、9割以上が教師や保護者にも安心して話せないと回答しています。

 こうした当事者たちが抱える深刻な生きづらさの根本原因は、やはり「性の多様性」について社会の理解が進んでいないことにあります。実は性的指向(どんな性を好きになるか)やジェンダーアイデンティティ(自分の性をどのように認識するか)などは、全ての人のなかでグラデーションがあるとされています。まさに誰にとっても「性」は多様なものなのです。

 今般の理解増進法の目的は、これら性的指向やジェンダーアイデンティティの多様性への理解を深め、多様性に寛容な社会の実現を目指すことにあります。「全ての国民」が性的指向やジェンダーアイデンティティにかかわらず尊重されること。性的指向などを理由とする不当な差別はあってはならないこと。これらを基本理念として明記しています。

 政府に対しては、理解増進のための基本計画の策定や関係省庁からなる連絡会議の設置、施策の実施状況の毎年の公表を義務づけました。また、国や自治体の相談窓口など施策の作成と実施、事業者や学校における環境整備を努力義務として盛り込んでいます。

法律ができた意義と誤解に基づく“批判”
 これまでパートナーシップ制度など、性的マイノリティの権利や理解増進に向けた取り組みは自治体などで独自に進められてきましたが、先進的なところと遅れているところと、かなりバラツキがあります。今回の法律によって改善が期待できるという声は当事者からも寄せられています。

 今までは、こうした性的マイノリティに関する法律がなく、トイレのあり方や同性婚について議論しようにも、所管省庁も大臣もいないので、どの委員会でやるかということさえ、たらい回しになる状況でした。法律ができたことで、さまざまな議論をする場ができます。それ自体が非常に意義あることだと私は考えています。日本において幅広い合意を得ながら初めて理解増進法ができたことについては、国内外からも評価をいただいています。

 一方で、誤解に基づいた懸念も聞かれます。たとえばこの法律によって女装した男性が女子トイレや女風呂に侵入しても排除できなくなり、女性の安全が脅かされるという話です。

 まず、理解増進法は「理念法」であり、個々人の行動を制限したり、逆に何か新しい権利を与えたりするものではありません。すでに公衆浴場や旅館等の共同浴場については、「おおむね7歳以上の男女を混浴させない」となっています。この「男女」は、トランスジェンダーも含めて身体の外形的な性で判断します。

 この取り扱いは憲法14条の「法の下の平等」に照らしても合理的判断の区分であり、差別には当たりません。仮にトランスジェンダー女性と偽って女風呂に侵入しようとする男性がいれば、犯罪者として対処するまでのことです。

 また、法律の第12条に留意事項として、「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする」と入ったことについて、“マイノリティの尊厳を踏みにじる”“マジョリティへの配慮だ”といった誤解に基づく批判があります。心と体の性が一致している人をシスジェンダーと呼びますが、法案提出前の段階で一部政党の議員が「シスジェンダーへの配慮規定が必要」などと語ったことも、こうした不安や批判の要因となったのだろうと思います。

 しかし、そもそもこの法律には「LGBT」とか「性的少数者」といった文言は一言も入っていません。特定の人々について何かを定めた法律ではないのです。多様性についての理解を増進しようという法律のなかで、マイノリティとマジョリティの差異をことさら強調すること自体がナンセンスだからです。

 法律の第3条でも、「基本理念」として「全ての国民」が差別なく尊重される共生社会を実現すると謳われています。であるならば、第12条も同じ意味でしかあり得ず、“シスジェンダー=マジョリティへの配慮”など、どう考えても導き出せないのです。同様の目的規定は障害者差別解消法にも置かれています。

立法者と政府から言質を取った公明党
 こうした法文解釈上の不安を払拭するため、公明党は国会審議の場でこれら懸念されている点をつぶさに挙げて、立法者や政府から答弁として言質を取りました。

 たとえば「性自認」「性同一性」「ジェンダーアイデンティティ」という言葉も、公明党の質問に対し、「法制的な意味は同じ」だと立法者から明確に答弁がなされました。先進的な地方自治体の取り組みがかえって阻害されるのではないかという懸念についても、「国が影響や制限を及ぼすことはない」との答弁を引き出しています。所管省庁が内閣府になることも明確になりました。

 むしろ、これまでは各自治体でのパートナーシップ制度の現状や評価を国会で政府に質問したとしても、答弁してもらえなかったのです。この法律によって所管省庁や連絡会議が設置され研究も進みますから、政府は答弁しなければならなくなるでしょう。

理解増進法に関して、反対派のなかからは誤解や不安を増幅させるような言説が見受けられます。しかし法文解釈では、法案提出に関わった立法者や政府の答弁だけが意味を持ちます。無責任な“外野の声”を不安材料にしてしまっては、法律の意図するところを見誤ってしまうでしょう。

 公明党が動かなければ、この理解増進法は今国会で成立しなかったと自負しています。そして、すでに法律が施行されているわけですから、共生社会に向けてこの法律を大いに生かしていくことが重要です。公明党は今後も当事者に寄り添いながら、幅広い合意形成を促し、法律の運用面でも責任を持って取り組んでまいります。




新聞記者たちの言葉遊び

性同一性障害とトランスジェンダーを敢えて混同させている




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