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中学入試で英語の試験が急増。試験内容と必要な英語力は?

入試で英語の試験を導入する私立中学が急増

英語入試を行う私立中学が増えています。
入試で英語の試験を課す私立中学は、2014年時点ではわずか15校だったのに対し、2021年は143校と、ここ数年の間で急増しています。

グラフ

一都三県に絞ると、実に全体の約半数の中学が英語入試を行っていることになります。

この傾向は今後も続くと考えられ、中学入試に英語が必須になる未来もそう遠くはありません。

英語入試増加の背景

英語入試増加の背景には、小学校での英語の教科化と大学入試改革があります。

これまでも、小学校では外国語活動という名前で英語に触れる活動が行われてきましたが、これは正式な教科ではありませんでした。
しかし、2020年から、小学5・6年生で英語が正式な教科となり、成績も付けられるようになります。

中学入試においても、英語は小学校の正式な教科ではなかったため英語の試験を課す学校は少なかったのですが、正式な教科になった今は、小学校での学習の成果を試すためにも英語の試験を課すことが主流になりつつあるのです。

さらに、大学入試の改革も中学の英語入試に影響しています。
2024年度から、大学入学共通テストでは、英語の「読む・書く・聞く・話す」の4つの技能を測るため、英語の外部試験を導入する計画があります。
過去のセンター試験などは、読む力に偏っていましたが、今後はより高いレベルで、バランスのよい英語力が求められるようになります。

私立の中学・高校でも新しい大学入試に対応するため英語教育に力を入れることが予想されます。
高度な英語の授業に対応できる、英語の基礎をしっかり身に付けている生徒を選抜するためにも、英語の試験が必須になるのでしょう。


それでは、中学入試の英語はどんな内容で、どれくらいのレベルが必要なのでしょうか。

中学入試の英語試験内容

試験内容は、大きく4種類に分けられます。

一つ目は、筆記によるテストです。
英語の会話文や音声を見聞きし、後に続く言葉を選択したり、語句を並び替えて文を作ったりするテストです。
英語の言葉をきちんと聞き取り、文字と結びつけられるか。
基本的な文法や英語の構造を理解しているか。
会話の流れをきちんと読み取れるかが試されます。

「どの国に行きたいですか?またその理由は?」というような質問に対するエッセイライティングが課される場合もあります。

二つ目は、インタビューテストです。
ネイティブの先生や、英語担当の先生と英語でやり取りをする試験です。
英語での自己紹介、その場で渡された絵を見てその説明をする、志望動機を答える、簡単な質問(誕生日、趣味、どうやって会場に来たかなど)に答えるといった内容です。

英語の読み書きだけでなく、英語をコミュニケーションに使う素養があるかが試されます。

三つ目は、ディスカッション形式のテストです。
試験官との1対1の対話ではなく、複数の受験生どうしで話し合いをするという内容です。
例えば、さいたま市の大宮国際中等教育学校の入試では、「自分が作りたいクラブ活動とその理由をみんなに伝え、みんなもそのクラブ活動を行いたいかをインタビューし、その結果を発表しよう。」というような課題が出されます。

インタビュー形式の試験より高い言語運用能力が試されます。

そして4つ目は、英検の成績に応じて加点ないし英語試験免除という内容です。
入試での一発勝負ではなく、これまでの学習の積み重ねが評価されるという形式です。

これら4つの試験形式は各校どれか一つだけというわけではなく、一つの学校で複数の試験形式が組み合わされることもあります。

中学入試で必要な英語力

中学入試で必要な英語力は英検の級を指標にするとわかりやすくなります。最低でも英検4級程度の実力が必要になり、英検2級程度の実力があればどんな試験でもほぼ問題なしと言えるでしょう。

英検4級はリーディングとリスニングの試験のみで、これに合格できれば、最も基本的な筆記試験に対応する素養があると言えるでしょう。
英検3級は加えて面接やライティングの試験があるので、これに合格できればインタビュー形式の試験やエッセイライティングにも対応可能です。多くの学校の試験において英語を強みにできるレベルだと思います。
ディスカッション形式の試験を課す学校や、英語に特に力を入れた学校や試験形式だと、もう少し高いレベルが求められそうです。

中学入試の負担は増加

これまで英語の試験が課されなかった学校で英語の試験が導入されるようになれば、当然、受験生の対策のための負担は大きくなります。
中学受験を始める時期や、一日の勉強時間など、中学受験に関するノウハウが関連サイトやブログなどでまとめられていますが、英語試験の導入により、こういった定石のようなものも変化してくるかもしれません。

他の教科の受験対策と同時に英語学習をスタートするのでは、これまでの中学受験より負担が純増しますし、他の教科と違い土台ができていない英語の学習はネックになる場合があるかもしれません。

英語は基礎的な内容であれば、小さい子どもでも楽しく学ぶことができます。将来、もしかしたらするかもしれない中学受験に向けて、早いうちから英語に触れさせておくのは役に立つかもしれません。

早いうちから英語を始めれば、小学生のうちに英検2級合格も不可能ではありませんから、そうなれば中学受験に際しても強力な武器になります。
それに何より、子どもにとって得意なものがあることで、他の教科の勉強や、勉強以外の面にも良い影響があることでしょう。


2020年からの教育改革で、小・中・高校の英語のカリキュラムは大きく変容しています。
中学入試に関わらず、学校での英語教育事情は大きく変わっていくことになります。
今までの英語教育に対するイメージとは大きくかけ離れていくことが予想されますから、英語教育がどう変わっていくのか、アンテナを張り続けていく必要があるでしょう。

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