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子どもの文法学習に関して

文法の学習


英語の勉強と聞くと、動詞の活用やSVOといった語順、現在完了形や過去分詞など、様々な文法事項を一生懸命覚えるものというイメージを持っている方が多いかと思います。


こうした学習は、英語の一般的な規則を覚えることで、個別の文への対応の仕方が身に付くため効率の良い学習だと言えます。

しかし、誰にとっても良い学習法というわけではなく、小さな子どもにとってはあまり効果的ではありません。

子どもに抽象化は難しい

まずは、小さな子どもに向かない理由を説明します。

英語の文法とは、英語の様々な文に共通する特徴を取り出して抽象化したものです。この抽象化が小さな子どもにとっては少し難しいんです。


例えば、幼稚園児に素数とは何かを説明することを想像してください。

1とその数以外に約数がない正の整数について、どんなに簡単な言葉を使って説明しても理解させるのは難しいです。


文法を文法それ自体として教えるのも同じような感覚です。主語が3人称単数の時、一般動詞にはsを付けるということを説明しようにも、3人称の概念、一般動詞の概念など、子どもには理解しづらい抽象化がたくさん含まれています。

たくさんの文に触れることで規則に気付く

では、どうやって英語を教えたら良いのでしょうか。

答えは、とにかくたくさんの英文に触れさせることです。いきなり抽象的な文法概念を教えるのではなく、具体的な文をたくさん見聞きすることで、それらに共通して存在する一般的な特徴を‘何となく’理解させるのです。


‘何となく’で本当に良いのかと疑問に思う方もいるかと思いますが、我々の母語の知識だってはっきりとしたものではなくぼんやりとしたものなのです。

皆さんの中に、助詞の「は」と「が」の違いを説明できる人がどれくらいいるでしょうか。「私は学生です」、「私が学生です」。2つの文がなんとなく違うのはわかりますが、なぜ、どう違うのか説明するのは困難です。たくさんの文にふれることで、何となく仕組みを理解するという感覚は、言語習得において実はとても自然な状況です。

こうした言語の特徴をぼんやりと身につける能力は、小さい子どもの方が高いともいわれています。

英語はたくさん聞いて覚える

とはいえ、そのためにはとにかくたくさんの文に触れることが大事なってきます。

ここで問題になってくるのが、どうやってたくさんの英語に触れるかということです。

小さな子どもにとって、文字の習得も大きな課題となります。3歳児が言葉を上手に喋れるようになってきますが、読み書きはまだ難しいです。

英語初学者の子どもにとっても同様で、たくさんの英語に触れる手段として文字で書かれた文を使うのは困難です。

なので、子どもの英語学習では、まず音声としてたくさんの英語に触れること、そして、できるだけ早く文字と音を結びつけられるようにすること。この2点が大切です。日本語と英語では、文字と音の関係が全然違うため、英語の音と文字の結びつきを覚えるにはフォニックスの練習が大切になってきます。

理解可能で体系的な英語に触れる

また、触れる英語はどんなものでもいいというわけではありません。四六時中英語に触れられる環境であれば、どんな言語資料でもそれを参考に言語知識を獲得できますが、日本で生活している限りそれは難しいです。

なので、子どもに触れさせる英語は子どもにとって理解可能であり、かつ特定の文法に関係した文に集中的に触れさせることで、効率よく英語の感覚を身に付けさせることができます。


上記の内容はあくまで一例ですが、このように言語学習は、言語習得理論をよく理解したうえで、学習者の特性に合わせた工夫が必要と言えます。


さて、抽象化が難しい子どもには具体的な文を与えた方が良いと述べましたが、抽象化の能力を身に付けることもとても大事です。

算数の勉強などは典型的な抽象化の訓練ですが、そうしたときに、抽象をイメージするための土台はしっかりとした言語能力なのではないかと個人的なは思ったりします。

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