英語脳を鍛えるポイント
英語脳
「英語脳」という言葉を聞いたことがありますか?
英語脳とは、日本語を介さず、英語を英語のまま理解する思考回路のことです。
イメージできるでしょうか?
例えば、英語があまり得意でない人は、「cat」という英単語を聞くと「猫」という日本語に変換して理解します。
一方、英語脳を使うと「cat」という単語を、日本語を介さず直接猫のイメージと結びつけられるんです。
英語をいちいち日本語に変換していると、とても時間がかかってしまいスムーズに文を読んだり会話したりできません。
英語力を向上させるには、英語脳を獲得する必要があるのです。
しかし、日本語を介して理解することになれている人にとって、これは簡単なことではありません。
日本語と英語の違い
なぜなら、日本語と英語では、単語の意味する範囲が異なり、その構造も大きく異なるからです。
英語の単語が意味するものを、日本語の単語で完璧に置き換えることは、実は相当難しいんです。
例えば「have」という単語の意味を考えてみてください。
「持っている」と訳すのが自然に感じます。
ですが、「have」は持っていることを意味するだけでなく、朝食をとる(I have breakfast.)ことも、頭痛がする(I have a headache.)ことも表現できます。
同様に、「高い」という日本語は英語では区別される高度の高さ(high)と価格の高さ(expensive)をまとめて表現できたりします。
このように、日本語と英語では単語がカバーする意味の範囲は異なり、英語を日本語で100%完璧に翻訳するのは不可能だとする翻訳不可能論という考え方もあるほどなんです。
英語と日本語の違いはこれだけではありません。
皆さんもご存じの通り、英語と日本語では語順が違います。
“I have a friend who lives in Tokyo.”
上の英文を自然な日本語に訳すと「私には東京に住んでいる友達がいる。」となり、大きく語順を入れ替えることになります。
そのため、英語を日本語に変換しながら解釈しようとすると、文を遡りながら読む、いわゆる戻り訳をしなければいけません。
このように、言葉の指す意味とその構造が異なるため、英語を英語のまま理解するのは難しいのです。
英語脳を育てるには
では、どうすれば英語脳を育てることができるのでしょうか。
英語脳の鍛え方に関して、様々な方法が提案されています。
スラッシュリーディング、シャドーイング、ディクテーションなどがその一例です。
しかし、どんな方法を用いるにしろ、結局は英語の構造に慣れるまでたくさん英語に触れる以外ないのではないかと思います。
とにかくたくさん聞いて、とにかくたくさん読むことで、英語の構造を自然と脳が解釈するようにする他ないのです。
とはいえ、やみくもに英語を読んだり聞いたりするのでは意味がありません。
まずはとにかく簡単な文に触れることから始めるのが良いと思います。
“The philosopher conceived of mind and nature as two abstractions that are in fact indivisible.”
いきなり上のような文を読んでも、内容的にも構造的にも複雑で英語のまま理解するのは少し難しいです。
ですが、次の文ならどうでしょう。
“He is reading a book.”
日本語に訳さなくとも、本を読んでいる男性のイメージを思い浮かべることができるのではないでしょうか。
このように、まずは簡単な文から、日本語に変換しないでイメージと直接結びつける練習をしていき、多少わからない単語が出てきても、文脈から意味を推測し、とにかくたくさん読んで聞くことです。
英語の文の構造が頭に染み着き、語彙も自然と増えていきます。
最初期に使う教材は、絵本やアニメなどを使うのが良いかもしれません。視覚的なイメージと英語の言葉を結びつけられるので、日本語を介さなくとも内容が理解できますし、子ども用の絵本などでも意外と面白くてどんどん読み進められるものです。
他にも、最近はレベルや語彙数別に分かれている英語の読み物も本阿讃にたくさん並んでいます。
ある程度そのレベルの文に慣れてきたら、もう少し難しい文章へとステップアップしていきましょう。
英語脳は一朝一夕には獲得できません。
継続してたくさんの英語に触れることが大切です。
そのために、読んだり聞いたりしていて楽しいと思える簡易で身近な文章から学習をスタートしましょう。
英語脳の感覚が身に付いた日には目の前に新しい世界が開けてきます。これは冗談ではありません。
子どもの方が英語脳を作りやすい
さて、英語脳を鍛える方法についていろいろお話ししましたが、じつは、英語脳を鍛えるもう少し効率的な方法があります。
それは、小さな子供のころから英語で英語を学ぶことです。
英語を英語のまま理解するのが難しいのは、一度日本語に変換して解釈する習慣がついてしまっているからです。
なので、その習慣が身に付く前に、英語を英語で解釈する感覚を身に付けてしまえば良いということです。
そのために、英語で英語を学ぶことが重要なのです。
英単語を日本語と結びつけるのではなく、英単語をそれが指すものや動きなどのイメージと結びつけます。
文法事項に関しても、その文法が関わる例文にたくさん触れることで帰納的に獲得させるのです。
こういったことを意識してか、2021年から、中学校での英語の授業がオールイングリッシュで行われるようになりました。
このような取り組みは上手くいけば利点がたくさんある一方、小学校での基礎的な学習が身に付いていないと難しく感じ、挫折や英語への嫌悪感につながってしまう可能性があります。
オールイングリッシュの授業では日本語での説明がない分、大量の英語に触れることが必要になりますが、それを学校の授業が担保してくれるかも定かではありません。
結局、学校以外でプラスαの英語に触れる機会は作らなければならないかもしれませんね。
英語脳を鍛えるたった一つのポイント
簡単に即座に英語脳を鍛えたいという欲は捨て、楽しみながら、時間をかけてコツコツと英語に慣れ親しんでいきましょう。
英語脳を作る唯一のコツは継続です。
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