英語学習は4技能のバランスが大事。気を付けたいポイント。
英語の4技能とは
英語4技能とは、「読む」「聞く」「書く」「話す」という4つの技能を指します。
英語学習において、これら4技能をバランスよく身に付けることがとても重要になってきます。
学校教育においても、4技能のバランスは一層重視されてきており、2020年からの教育改革で、英語教育は大きく変わっていきます。
これまでの学校英語は「読む」「書く」偏重
これまでの日本の英語教育は、どちらかというと「読む」「書く」に比重が置かれていました。
これまでの一般的な英語の授業では、教科書に載っている英文を日本語に訳して解釈するという内容が中心で、試験も筆記によるものがほとんど。
発音の練習は多少するものの、会話の練習はほとんどなく、聞くのも教科書に載っている文章を申し訳程度にという内容でした。
センター試験の英語で、リスニングの配点がリーディングの配点よりも圧倒的に低かったということからも、4技能の偏りが良くわかります。
「読む」「書く」の技能への偏重は、英語をコミュニケーションとして用いることへの障害にすらなりかねません。
文法知識が豊富で、リーディングの試験が得意な子ほど、英会話に対して消極的になるケースがあります。
これは、正しい文法で正確な発音をしなければいけないという意識によるものだと言われています。
また、英語の文章を日本語に翻訳して理解する習慣がついてしまうと、英語‐日本語間の変換に時間がかかり、会話に追い付くことができなくなります。
このように、英語をコミュニケーションの手段として有効に用いるためには、「読む」「書く」だけではなく、「聞く」「話す」力もとても重要になってくるのです。
「聞く」「話す」ばかりの学習にも注意
逆に、「聞く」「話す」力のみに偏ってもいけません。
文字に慣れることも、英語を学習するうえでとても大切なのです。
子どもを英会話スクールに通わせた際の失敗として、「読む」「書く」技能の欠落という例があります。
外国人講師との触れ合いを楽しむというコンセプトで、文法学習をほとんど行わないような英会話スクールの場合、子どもは講師の英語を聞くことで耳が英語に慣れたり、物の名前を理解したりするようになるのですが、何年経っても英語の綴り字が理解できないままというケースが良くあるようです。
リンゴの絵を見て「アポ―」と発音できるのに、「apple」という文字を読めるようにならないということです。
さらに、何となく知っている言葉を口に出す習慣がついてしまい、文法的にも意味的にも間違った悪い癖がつくというケースもあります。
確かに、母語は「聞く」「話す」でほぼ完璧に身に付けることができますが、外国語に関しては母語と比べ圧倒的に耳にする時間が短い上に、言語獲得の最適な期間を超えてから学習するケースが多いので、同じようには身に付きません。
週1~2回、数十分から1時間ちょっと外国人と話をしただけでは到底身に付きません。「読む」「書く」を交えた体系的な学習がどうしても必要になるのです。
コミュニケーションは表情や身振りで補えば、完璧な文でなくとも何となく伝わります。とはいえ、正しい文法知識は必ず必要になりますし、複雑な構造の文などはきちんと読む練習をしなければ理解するのは難しいです。
「聞く」「話す」だけでなく、「読む」「書く」の力もしっかりと身に付ける必要があります。
英語教育改革
2020年からの教育改革で、英語の4技能をバランスよく身に付けるために、英語教育が大きく変わりつつあります。
まず、小学校で英語が正式な教科として採用されました。
これまでも外国語活動という名前で、小学5・6年生は英語に触れる時間がありましたが、これからは小学3・4年生で外国語活動を行い、5・6年生で教科としての英語を勉強します。
早い時期から英語の発音を聞き、それを文字と結びつける練習をすることで、「読む」「聞く」の基礎を作ろうという意図です。
それを踏まえ、中学校の英語の授業がオールイングリッシュで行われるようになります。英語で体系的な知識を享受することで、「読む」「書く」だけでなく、「聞く」「話す」ことにも慣れさせようという意図です。
さらに、高校では英語を使ってのプレゼンテーションや、ディスカッションなどが行われるようになり、大学入試も4技能すべてが試される内容に変わっていく可能性があります。
これらの英語教育改革は、上手くいけば生徒の英語力を向上させる素晴らしい内容になりますが、英語の基礎ができていない生徒を置いてきぼりにしてしまう危険性もはらんでいます。
学習の早い段階から、英語の4技能がバランスよく身に付いているか、十分検討しながら学習を進めていく必要があると言えるでしょう。