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客をだましたのか。農家の苦悩と農機販売店・所長のぼったくり

客をだます農機販売店の社員

農業関連産業の世界に階層があるとして、
その最下層は生産者になっているらしい。

だから、ときどき、最下層なりの被害にあう。

ご承知のとおり、日本には一部上場の立派な農業機械メーカーが何社も存在しており、農家は、その系列の販売店から商品を購入している。

今回は、その農機販売店の社員による詐欺の手口を紹介したい。

一般の方は、自動車販売店と農機販売店は同じような印象があると思う。
メーカーが農業機械を作り、販売店が売る。販売店は、修理も行う。
違うのは、メーカー出資の農機販売店には、なぜか、ガラの悪い社員がいること。

ある日、この地域を担当する農機販売店の営業に、麦を栽培することを伝えた。
麦を栽培するには、トラクターの後部に設置する、専用の麦まき機が必要だ。
60万円くらいするという。

新品では買えないので、中古で安いのはありませんか、と聞いた。
「我が社は、新品の農機を売る会社です。原則として中古は扱っていないのです」
営業はそう言って、中古はない、と回答した。

しかし、私は、農機販売店で中古農機を売っていることを知っていた。
おかしいなと思ったが、別ルートで探すことにした。

しばらくして、その営業が自宅にやってきた。
「麦まき機、中古の安いのがありましたよ。たまたま見つけたのです」
それはよかった。で、いくらですか?
「程度がいいです。6万円です」

その時、私は、農機販売会社の正社員によって、中古の麦まき機で詐欺を仕掛けられているとは夢にも思わなかった。

それなら買います。
6万円は安いから、私は前のめりになった。

「ただ、ですね。この中古農機は、取引形態が違うのですが」
どのような取引ですか?

「中古で現状渡しですので、経理を通さない取引になります」
それで、何かが変わるのですか?
「領収書がですね、出ないのです」

私たちは、確定申告をしますので、メモでもいいから売買を証明できるものがあればいいのですが。
「大丈夫ですよ。私の名刺に裏書きをして渡しますが、それでいいですか」

数日後、麦まき機が納品された。農機販売会社の社員が2人きた。
ひとりは上記の営業、もうひとりは、のちに私の家に怒鳴り込んでくることになる彼の部下だった。
2人は、この詐欺を共有している仲間だった。

私は、言われたとおり6万円を現金で支払い、裏に「60,000」とだけ書かれた名刺を受け取った。
日付なし、件名なし、宛名なしなので、領収書としては通用しないことも後で知った。

おまけに、この名刺、よく見たら、正規のものはなくパソコンで作った手製の名刺だった。
私は、彼らに舐められていたのだ。

実は、もう一度「経理を通さない取引・領収書が出ない取引」をさせられた。
家庭菜園用の中古耕うん機「ガッツくん」で、やはり6万円だった。

この農機会社には、経理を通さない取引があって、それは中古農機で現状渡しだから、と思い込んでいた。
私は、連中のカモになっていたのだ。

だまされた、と知ったのは、しばらくしてからだ。

ある日、その営業が、修理対応で手を抜くので、軽い苦情を本人に言った。
それが気に食わなかったらしい。

そりゃあ、そうだろう。
彼らは、私のことを馬鹿にしていて、二度も詐欺を成功させている。
12万円も自分の懐に入れて、しかも、いまだにバレていない。
そんな私に苦情を言われて気分が悪かったのだ。

営業の対応が変わったころ、たまたま、麦まき機の修理について質問した。
「それはなんのことでしょうか?」
営業は、麦まき機と小型耕うん機「ガッツくん」のことは、頭の中から消し去った態度をするようになった。

今度は、こちらの気分が悪かった。
「修理はうちが責任を持って対応します」と言ったじゃないか。
今頃になって「なんのことですか?」はないだろう。

そう思ったが、よく考えてみたら、その証拠がなかった。
ほら、これを見てみろ、ちゃんとやれ、というだけの書類がひとつもなかった。

本人が無視するのなら、上司に文句を言いたくても、その取引の証拠を提示できなかったのだ。
だまされた、とやっと気づいた。

農機販売会社の社員が、担当している自分の客をだますなんて、考えていなかった。

数年後、この営業は別の営業所の所長になった。
そして、彼の部下のあいつが、ここの営業所長になってトラブルが起こる。

新所長が詐欺被害者に追い討ち

前担当者の詐欺の時に同行していた営業が、このエリアの営業所長になった。
この人事は社内でも話題になった。
「今度の所長には気をつけてください」と営業とは別ルートから、客に注意喚起されるほどだった。

まあ、ダメな会社にはよくあることだ。
そう思っていたら、すぐに影響が出た。

その前に、ひとつ理解してほしいことがある。
私たち小規模農家は、低収入にもかかわらず、かなりの金額を農業機械に投入していることだ。

最近入手した農機販売会社のチラシから、農業機械の価格を紹介する。
この価格は、いま私が所有している農業機械に相当する新品の値段。
(主要な農機のみ)
チラシに表記してある価格なので、オプション等は含まない参考値となる。

コンバイン 3条刈り ーー 580万円
トラクター 33馬力 ーー 500万円
田植え機 4条植え ーー 180万円
乾燥機 ーー 120万円
もみすり機 ーー 70万円
計量選別機 ーー 24万円
もみ運搬機 ーー 30万円
合計 1504万円

他にも軽トラック100万円など、農業に必要な資材や設備を考慮すると膨大な金額になる。
よって農家は、専業・兼業に関わらず、農機代金の支払いで苦しんでいる。

おまけに、農業機械はすぐに壊れる。
維持費と修理費も高いので、農業収入は農業機械と修理代金に消えてしまうのだ。

農業でなくとも、設備投資や経費のかかる仕事は他にもたくさんある。
私が、ここで理解しておいて欲しいこと。
それは、農機販売会社にとって、私たちは「客」だってこと。

農業機械メーカーが一部上場の企業に成長したのは、農家という客がいたからだ。

農機販売会社は顧客対応するのが仕事であり、そのコストを含めて農業機械の価格や修理代金が算出されている。

販売会社の社員が、客をだまして入手した現金を自分の財布に入れるなど、あってはならないことだ。

その連中が何の処分も受けず、所長になった。
さすが、一部上場会社の系列企業だ、というしかない。

ある日、農機会社から請求書が届いた。
コンバインの点検費用だったが、金額がおかしい。

5万円で依頼していた軽点検が、何の連絡もなく30万円になっていた。

いよいよ始まった。
客を客と思わない、金は奪うものだと考える、新しい所長が動き出したのだ。

「ぼったくりバー」より悪い、農機販売店

ある日、農機販売店から請求書が届いた。
コンバインの点検費用だったが、金額がおかしい。

5万円で依頼していた軽点検が、何の連絡もなく30万円になっていた。

農機販売店に電話して、
この請求書はなに、金額が間違っている、と電話した。

すると、あの営業所長がやってきた。
車から降りる時から、もう怒っていた。

「請求書に文句つけるなよ」と所長。
5万円で軽点検を依頼したのに、30万円になっている。
どうなっているのか。

「5万円なんかで、点検できるわけないだろう」
いや、これまで何年も5万円の軽点検でやってきた。
今回もそのように依頼した。

「だから、もう軽点検なんてないんだよ。そんな安い点検はやめた。おたくのコンバインなら50万円でも安いぐらいだ」
やめた? やめたなら、事前に説明しないと。
それが仕事だろう。

一方的に5万円を30万円にした農機販売店・所長。
「文句をいうな。払え」と怒鳴り続けて、帰った。

これが、農機販売会社・営業所の所長だから呆れる。

以前にだまされた経験から、私は、この会社の社員が
法律を無視しているのを知っている。

それにしても、客に言いがかりをつけて6倍の料金を取るなど、
反社会的集団が経営している「ぼったくりバー」と同じではないか。

本体の農業機械メーカーは、系列の販売店が違法行為をしていても
知らないふりをしている。

生産者から搾取する、ことは、企業が成長する秘訣と考えているのだろう。

このトラブルは、私が農水省に伝えた。
「事実確認の調査とメーカーへ指導した」と聞いたが、メーカー、販売店とも何も反省していない。

ーーーー

その後も、同社社員の車による当て逃げ、闇金を真似た追い込み集金など、
信じられない事件ばかり起きる。
このような反社会的企業は、上場廃止にすればいいのにと思う。

生産者 VS 農機メーカー・販売店 については、
今後も続けて記事にする予定だが、第一弾は今回で終える。

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