妊娠性痒疹の記録


ここでは、私が妊娠中〜産後に患った妊娠性痒疹について書いていきたいと思います。


⚫︎ なぜ書こうと思ったのか

「痒みって、ひょっとすると痛みよりつらいのかも」
けれど、ネットやSNSにもあんまり妊娠性痒疹やPUPPPについての記事はなく…。
そもそもなる人がそこまで多くないようで、産院の先生や皮膚科の先生にも曖昧な診断しかしてもらえず、孤独と不安に苦しむ日々を送りました。
そんな私と同じように苦しんでいる人の助けになればと思い、ここに痒みとの戦いの記録を残します。

⚫︎ 痒みのはじまり(妊娠36週〜)

はじめは「なんかお腹がかゆいかも」と思ったくらいで、そこまで強いかゆみを伴うことはありませんでした。

産院の先生に相談すると「産めば治りますよ」と言われ、私も「産めば治るなら、それまで我慢しよう」と思い、皮膚科には行きませんでした。(今思えば、これが悪手でした…)
ちなみに産院では弱いステロイド剤「スピラゾン」を処方してもらいました。が、気休め程度にしか効かず。
きちんとした病名も教えてはもらえませんでしたが、おそらく妊娠性痒疹PUPPPだったのだと思います。

はじめはお腹にしか無かった湿疹も、徐々にその範囲を広げてゆきました。
出産間近にはお腹にくわえて四肢にも広がり、見た目がなかなか可哀想なことに…。
臨月はいろいろなところにご飯に行ったりして、最後の夫婦ふたりの時間を楽しもうと思っていたのですが、痒みのせいでそれもままならず。最後の1〜2週間くらいはほぼ家で痒みと戦っていました。

前述したように産院でもらった薬は効かなかったので、藁にもすがる思いで市販のクリームやローションなども試してみました。
その結果、私の場合「メンソレータムADクリーム」が一番効きました!
お風呂上がりに塗ると、夜までかゆみが引いてくれてとても助かりました。
(ベタつきがすごいので、全身に塗ると多少不快感があります)
あとは、保冷剤もかなりよかったです。夜眠れないくらいかゆい人は、保冷剤を体にあてながら寝ると朝までぐっすり眠れるかもしれません。

それ以外の商品は、ほぼ効かず…。
ただ、人によってはユースキンやアルテニーニローションがすごく効いたという人もいるので、一通り試してみるのが良いかもしれません。(すべてステロイドは入っていません)


⚫︎ 地獄の毎日(産後〜)

「産めば治りますよ」と言う言葉を信じて乗り越えた、妊娠期。
子どもの産声を聞きホッとして、その次に「痒みから解放される」と思い、さらにホッとしました。
けれども、妊娠期の湿疹は始まりに過ぎなかったのです…。

産んだ直後は痒みをほぼ感じず、「本当に産んだら治るんだ!」と凄く嬉しかったことを覚えています。
ですが、それは産後ハイの影響だったようで、徐々に痒みが猛威を振い始めました。しかも、産前よりも強い痒みを伴って。
さらに、痒みの範囲はお腹・四肢に加え、胴体にも及んでいきました。
下着が擦れるのがダメみたいで、下着に沿ってひどい湿疹が現れ、胸にまで広がっていきました。痒くないところを探すのが難しいくらいに、全身が痒かったです。
特に背中の痒みは耐え難く、産前は効いたメンソレータムADクリームもほとんど効かなくなってしまいました。
産前に皮膚科に行かなかったせいで強い薬を持っていなかったため、とにかく保冷剤をあてて冷やす。それしか対処法がありませんでした。

産後4ヶ月経つ今でも、その時の湿疹の痕が残っています。(さすがに当時よりは薄まっていますが)

⚫︎ 皮膚科の通院記録

皮膚科(1回目/産後7日)

絶対に退院したら皮膚科に行こう、と心に決めて、退院した翌日に皮膚科に行きました。
そこで、ステロイド剤「ジフルプレドナート軟膏」と、抗ヒスタミン剤「レボセチリジン塩酸塩錠 5mg 武田テバ(ザイザル)」を処方してもらえました。

しかし、ザイザルは効いたけれどステロイドはあまり効かず…。
皮膚科に処方してもらったステロイドも効かないってどういうこと?と、絶望しました。ステロイドよりも保冷剤の方が効いていたかもしれません。

当然ステロイドを塗った手で赤ちゃんを抱っこすることはできないので、あまりたくさん塗り直しをすることもできないし、痒いし、赤ちゃんにステロイドが触れてしまったらどうしよう…と気が気じゃない。
授乳をするときにおっぱいを出すと、そこには真っ赤な湿疹がびっしり。
しかも湿疹が起きている箇所は肌触りがザラザラで、人間の肌とは思えない手触りに…。
あとシンプルに、全身にステロイドを塗るのってめちゃめちゃ大変なんですよ。
もう本当に、笑っちゃうくらい辛かったです。(笑)

皮膚科(2回目/産後9日)

その後、顔にまで湿疹が広がっていきました。
ですが、顔だけはステロイド剤「ロコイド軟膏」を塗るとすぐに痒みがひいていきました。
顔はステロイドが吸収されやすいようで、その影響もあったのかもしれませんが、これで顔にまでびっしり湿疹が出てしまったら心が折れてしまう…と思っていたので不幸中の幸いでした。

皮膚科(3回目/産後16日)

この頃は手足の痒みが酷く、手が1.5倍くらいの大きさに。
手の痒みが一番つらかった…。かきこわし過ぎて、水脹れのようなものが破裂したりしました。
手足はステロイドが効きにくいそうなのですが、そもそも手足にステロイドを塗っていたら日常生活もままなりません。

先生に相談したところ、「クロベタゾールプロピオン酸エステル軟膏」という、もう1ランク強いステロイドを処方してもらえました。(このステロイド剤が最強らしい)
「ジフルプレドナート軟膏」を塗ってもどうにもならなかった痒みが、このステロイドを塗るとおさまるように!本当に嬉しかったです。
特に、寝る前ベタベタに塗って、手袋をして寝ると効果は絶大でした。

また、手足意外に塗るステロイドとして「ベタメゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏」というものが処方されました。

なぜこのステロイドが処方されるようになったのかというと、マツキヨのプライベートブランドで展開されている「メディエード軟膏」を母が買って来てくれて、そしてそれがたまたま私にはとても合っていたようで、それを先生に伝えたところ、それに近しい成分のステロイドを処方してもらえたのです。


皮膚科(4回目/産後30日)

ここにきて、今度は湿疹でもない謎のニキビ?出来物?のようなものができました。
見た目は大きなニキビという感じで、痒みはありません。ただ、擦れると痛いので、「ナジフロキサシンクリーム」という細菌の感染を抑える薬を新たに処方してもらいました。
この出来物の正体が何だか最後までよくわからなかった…。この軟膏が効いているのかどうかもわからず、いつの間にか良くなりました。

湿疹の進捗は変わらずのため、3回目のときと同じステロイドをもらってこの日はおしまい。

皮膚科(5回目/産後34日)

このあたりから、だんだん痒みがマシになっていきました。
変化としては、「湿疹」から「蕁麻疹」に変わったこと。
湿疹は痕が残りますが、蕁麻疹は一時的なもので、しばらくすると何事もなかったかのようにおさまります。
新たな湿疹はほとんどできなくなり、これ以降新たにできるのは全て蕁麻疹になりました。
ただ、この蕁麻疹のできるエリアが毎度変わるのが謎で…。今日は腕、次の日は太もも等、ころころかゆい場所が変わるのが地味に辛かったです。
それでも、耐えられない湿疹の痒みと比べたら格段にマシでした。

ステロイドの処方量もだいぶ減りましたが、ザイザルだけは欠かせません。
これを飲まないとすぐブワーッと痒みが襲ってきます。ザイザル強し。

皮膚科(6回目/産後65日)

もうだいぶ良くなって来て、基本的には保湿をこまめにすればかゆみはおさまってくれるようになりました。
ただ完治したわけではなく、痒みが強く出ることもまだあったため、弱めのステロイド剤「オイラックス」を処方してもらいました。
これでも十分効くようになったので、快復に進んでいるんだ、と凄く嬉しくなったのを覚えています。

皮膚科(7回目/産後98日)

もうオイラックスも不要なくらい良くなりました!
抗ヒスタミン剤であるザイザルは引き続き服用していますが、これは私がアレルギー体質(花粉、犬アレルギー)なのもあるので、今後まだまだ飲むことになるかもしれません。

⚫︎ 最後に

結果的に、私は産後3ヶ月半ほどでほぼ痒みがおさまりました。
妊娠期間も含めると、痒かった期間は4〜5ヶ月ほどでしょうか。長かった…。

ですが、まだ蕁麻疹ができることもあるし、保湿を繰り返さないと(以前と比べて)肌がゴワゴワしてしまうので、肌質や体質が変わってしまったように思います。
妊娠・出産は命がけとよく言いますが、マイナートラブルも数え切れないほど起きます。
湿疹のように目に見えるものもそうですが、お腹が重いとか、呼吸が苦しいとか、当人じゃないとわからない辛さがこんなにあるんだ、と妊娠して初めて気づくことがたくさんありました。

色々調べましたが、多分私の症状はひどい方です。
産後一ヶ月で治る人や、先生の言う通り産んで治った方もたくさんいます。

私のように痒みが長引いて酷くなってしまった方。今はまだ長くて終わりの見えないトンネルの中にいる気分かもしれませんが、絶対にその痒みには終わりがきます!
かゆくてかゆくてかき壊してしまっても大丈夫。ゆっくりと時間をかけて、痕はなくなります!

ここで紹介した薬などが、少しでも参考になりましたら幸いです🙇‍♀️

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