作品「帰宅」


帰宅              
 
 
春風は
野原に生まれる
鹿と静かに見つめ合い
苔の道を歩く
馬酔木の白い花は
薫りのトンネル
小川のささやき
耳に優しく
水と光が流れてゆく

どこまでも青く

どこまでも穏やか
気がつくと
家に着いていた





「馬酔木」・・・あしび

『歩きながらはじまること』(七月堂)収録
『朝のはじまり』(BOOKLORE)収録


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