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【243/252】便利屋稼業

わけあって、知人友人のおうちをそうじさせていただく日々。修行なので、無料です。
今まで3件のご依頼に応えた。ふたりからは、次は絶対お金払うから知らせてねと言っていただいた。残るひとりのオーダーは、そうじではなく片付けで、一度で済まなかったから、月一回でしばらく通うこととなった。
反省は、山ほどある。けれど反応は、上々と思う。

いきなり主語の大きな話になってしまうけれど、結局のところ世界をどう捉えているか、の問題なのだと思う。
ひとはそれだけで、完璧と思う。どんなひとであっても。
もしもうまくゆかないことがあるならば、そのひと自身に問題があるわけではない。そのひとが問題を抱えているからにすぎない、と思う。
そしてそのひとが何にも囚われず、十全にそのひとであるならば、きっと、どんな問題でも解決できる。
だから、目を曇らせているもの、手に絡みついているもの、足を止めさせているものを、祓いたい。
そのあとは、知らない。手を振って別れて、お互い次の目的地へ向かう。
そういうことがしたい。
し、そういうことしかできないと思う。思った。思ったのだった。
咲きほこるミモザを下から見上げて、ここを去ろうとしているひとのことを心に浮かべて。

辞めます、と言ったそのひとは、まだここにいてくれる。今はまだ。
応援します、と言ったこのひとは、ここを去る算段をはじめた。もうすでに。
何しろ足が遅いので、そろそろ歩きはじめないと間に合わない。

この前GBが「人を救おうとすることは、支配しようとすることと同じ」って言ってた。誰にでも自分で立ち上がる力が備わっている。先に手を差し伸べてしまうことは相手を信用していないことになる。

間に合わず、気も合わないひとたちの作る囲いのなかに、今はいる。
望んで飛びこんだのは、自分。
他人を救おうとする彼らに助けられたことも、この身分だから叶えられたこともたくさんあった。だから、わるくちは言わない。

写真は、来月に引き続く依頼をくれた友だちが、お駄賃がわりにくれた絵。友だちは絵描きだ。
敬愛する画家、オディロン・ルドンの「神秘的な対話」の色遣いを思わせるそれが、とても気に入っている。

屋号は、susuharaiにしようと決めている。

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