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西野キズナ / Nishino Kizuna
2022年11月9日 03:04
まるで、青の絵筆で塗りつぶしたような空だ。 中天に浮かぶ太陽にうすらと雲がかかっている他は、はるか高く澄みわたっている。 時刻は、昼をまわったところで。 はばたき飛ぶ鳥のシルエットが、黄色の大地――地平まで続く砂漠地帯を、すべるように横切っていった。 その影を追うように錆交じりのオフロードバイクを走らせていたのは、ベージュ色の髪を風になびかせていた旅人――緑茶だった。 丈の短いタンクト