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30代後半でIT業界に転職した理由を話します(長いです)


わたしが転職をしようと思った理由は、もっと新しいことを知りたくなったからです。前職でも勉強を続けることはできました。もともとは、前職で事務仕事をしたときにわからないIT用語が多くあった(例えば、KPI・PDCA・排他ロックなど)ので、全体的に大まかにIT用語の勉強をしたいと思ってITパスポートの試験を受けたのが始まりです。けれど、ここ2年くらい勉強を続けていくうちに、別の場所で仕事をした方がもっと速いスピードで新しいことを吸収できるのではないか、と気がつきました。

ここnoteにはIT関係の職業に就いている(or就いていた)ひとが結構いて、わたしはインターネット上、あるいは現実に会うことで彼/彼女たちと接するのが本当に楽しかったのです。皆仰天するくらい真面目で、かつ個性豊かで面白い。「真面目で個性豊か」というのは一見相反するような気がするのですが、彼/彼女たちには不思議とそれが当てはまったのですよね。わたしは、こんな人たちがいるIT業界ってどんな世界なのだろう、と興味がわきました。上記にあげた「仕事のため」という事の他に、勉強を始めた理由はそれでした。面白い人たちのいる世界に触れてみたいと思いました。そして、やっぱりITの世界は面白かったので、のめり込んで毎日勉強するようになりました。

今年の春に「情報処理安全確保支援士(以下略称で、SC)」という試験を受けました。この試験はひらたく言えばIT分野における“専門用語の多い長編サスペンス推理小説”で、限られた時間の中で問題の文中から手がかりを掴み、正解を導き出すという、ハラハラドキドキの手に汗握る国家試験(※個人の見解です)。


ただ時間と手がかりが限られているので、合格ラインにたどり着くのはかなり難しい。ここ2年、ITパスポート→基本情報技術者試験(FE)→応用情報技術者試験(AP)→SC とステップを踏んで試験を受けてきたのですが、やはり断然に難易度が高く、準備に時間がかかったのがこの試験です。大変だったし、午後問題で基準点に達することができずに試験には落ちてしまったのですが、大変だった面も含め、とても楽しい時間を過ごしました。

勉強時間の確保は、下記のように確保しました。
<平日>
問題:午前の選択問題が中心
時間:始業前の1時間と、往復1時間の通勤時間
場所:職場近くのカフェ、電車の中
<土日>
問題:午後の長文問題が中心
時間:2〜3時間
場所:自宅付近のカフェ

土日はとくに母が「(子どもたちは見ておくから)カフェに行ってきて良いよ」と背中を押してくれたのが有り難かったです。病気のときにも看病してもらいましたし、勉強のことや転職のことでもすごく助けてもらったので、これから少しずつ恩返ししていけたら良いなと思っています。

試験当日は、時間に余裕を持って会場に向かいました(そうした方が良いと参考書に書いてあった)。早すぎて一番乗りで自分の場所に着席だったのですが、2番目にきた男性が、わたしの席のそばを通り過ぎる時に、穏やかな声で「おはようございます」と挨拶をしました。わたしも挨拶を返しました。だんだん会場の席が埋まっていきます。会場内のうち、女性の割合は5%〜10%くらいといったところでしょうか。ほとんど男性です。「IT分野の中でも、セキュリティやネットワーク関係の職業においては、特に女性の割合が少ない」というのは本当なのだなあ、と実感しました。

会場内はとても静かでした。緊張感ももちろんあったのですが、それも含め、わたしはこの会場の空気は好きだなと思いました。2番目に着席した、さっきの穏やかな挨拶をした男性、ああいう人たちと一緒に仕事ができたら良いなぁと、ふと思いました。わたしは子供の頃、男の子とサッカーや秘密基地を作ったりして毎日泥んこになって遊んでばかりいました。大人になり、そういう機会はほとんどなくなってしまいました。でも、「仕事」という形で彼らと適度な距離を保ちながら一緒に過ごしたら楽しそうだなあ、と思いました。

(試験は落ちましたが、今回受けた試験には免除制度というものがあり、午前試験までを突破できた人に関しては3年間、4つある試験区分のうち1つが免除となるので、免除が有効なうちにまた試験を受けたいと思います。)

そんなわけで、SCの試験を受けた直後から転職活動を始めました。本当は、前職の部署内の作業手順を改善してから転職したいと思っていたのですが、異動を希望していた品質管理の部署(当初は「歓迎」と言われていた)のうちの誰かからあまり快く思われていないようだ、ということに何となく気づきました。異動の話はうやむやになり、品質管理では人員を増やす事で業務をこなす、と決めたようでした。

作業手順のうち、いくつかを改善すれば人員をそれほど増やさなくても効率は上がるという見込みはある程度ありました。でも、品質管理の部署の方でわたしを必要としていなくて、別の方法で改善すると決めたのであれば、それはそれで良いかなと思いました。人手は増えたので、わたしが今抜けても大きな問題はなさそうだ、とも。だったらなるべく早いタイミングで転職しようと思いました。

そのとき所属していた部署の人たちとの人間関係に特に不満はありませんでした。皆優しかったし、病気のこともあるので、このままここでのんびり仕事を続けるという選択肢もあるのではないか、と迷いました。けれど、どうしても「もっと新しいことをたくさん学び続けたい」という欲求に逆らうことができませんでした。だって新しい世界を知るというのは、好奇心の満たされる、とても楽しい行為なのです。

人間は遅かれ早かれ、皆いずれ死にます。数年前がんに罹り、その事を痛感しました。わたしの命は主治医を始め、多くの方々の力添えがなかったら今は存在しないものです。先のことはわかりませんが、助けていただいた命を大切に、自分の気持ちに忠実に生きたいと思いました。

転職活動ではITに特化した(かつ、未経験可。知識が少しあっても実務経験はゼロなので)転職エージェントを利用しました。このとき担当だった方と、わたしが希望する分野(ネットワーク、セキュリティ)の仕事に就き、それを続けていくためにはどんな勉強が必要かを教えてもらいました。この担当さんが元SEだったので、具体的な話ができて楽しかったです。

転職の条件で重視したのは
① 新しいことを学べる環境である
② 残業がない、もしくはとても少ない
③ 自宅から近い
の3点でした。①は一番の転職の動機なので、これが満たされないと意味がありません。②③に関しては、体の負担がなるべく少ないように、です。

当初、同居している母にはIT業界への転職を反対されていました。応援したいけれど、(治ったとはいえ、がんに罹ったあとの体調を考えると)無理をしてほしくない、と言われました。最初は反発する気持ちが強かったのですが、よく考えたら全く言う通りだなと思いました。いくらもっとたくさんの事を学びたいとは言っても、転職して無理をして体を壊してしまったら元も子もありません。ですからできるだけ無理なく働ける職場である必要があります。

介護→事務OLの転職をするときもそうだったのですけれど、転職の際に自分の希望を伝えることはとても大切だと思っています。自分の希望とマッチしない職場に転職しても、あまり長く続かない可能性が高いからです。自分にとって優先したい事を考え、取捨選択していく必要があります。

(わたしはこのnoteで実名公開する予定はないので)具体的な社名は伏せますが、何社か面接を受け、複数選考通過した会社のうち、一番無理なく働き、学べそうだと思える会社を選びました。いまのところ希望通りの条件で働けています。

これは、転職活動中に見ていたとあるwebサイトに書かれていた事なのですが、「IT業界の中でもネットワークやセキュリティの分野で働く女性の割合はとても低く、かつこの業界は慢性的に人手不足であるために、未経験で中途入社であっても(前提知識がある程度あり、学ぶ意欲があれば)優しく教える」のだそうです。この方の言う通りでした。

もちろん、そうでない会社もあると思います。わたしは30代後半なのですが、この年齢で未経験からIT業界へ転職することは、たぶん簡単ではないと思います。正直30代前半、20代で転職する方がずっと難易度は下がると思います。面接を通過する会社の数よりもずっと多く、お祈りメール(選考を通過しなかったお知らせ)をもらいました。順風満帆ではありませんでしたが、転職活動が進んだのは転職エージェントの担当さんが良かった事、家族/親族の助言があった事、お祈りメールにめげなかった事などの要因が重なった結果であると思います。

転職して一ヶ月が経ちました。前提知識が少しあるくらいで、業務に沿ったスキルはまだまだこれからなのですが、日々新しい事を吸収できる生活は楽しいです。わたしは介護の仕事をしていた関係もあり、自宅で支援を受けながら過ごす人たちへの気持ちが今もあります。

たとえば、ここ最近実用化されている、自宅で過ごす高齢者向けの見守りシステムや、在宅で遠隔地にいる医師から診療を受けられるシステムについて考えます。高齢化社会が進み、医療・介護業界では深刻な人手不足が問題となっていますが、これらの仕組みは、人手不足の解消手段になる可能性があると考えます。

わたしの願いは、これらのシステムが止まることのないように/外部から不審なアクセス(悪意を持った人たちからのサイバー攻撃など)がないように・あるいは、アクセスがあってもブロックできるように見守り、直接的な関わりではありませんが、以前わたしが仕事上で関わっていた(日常的に介助が必要な)人たちが、安心して自宅で自分らしく生きていくための一翼にささやかながらなれたら良いな、という事です。

そのために、まず私自身が健康でいなくちゃいけません。心身に無理のない範囲で地道に仕事と勉強を続け、家族や友人たちと日々の生活を楽しみ、自分らしく生きていきたいと思います。

今回転職活動をしてみて思った事は、何歳になっても可能性はあるという事、それから、わたしやはり、人との関わりの中に喜びを見出す種類の人間なのだな、という事です。わたしの大切な人たちが穏やかに過ごしていく手伝いがしたい、わたしの大切な人たちが取り巻く世界がどのようになっているのか仕組みを知りたい。そういった気持ちを抑えきれない人間なのだなという事がわかりました。実名は公表していませんが、もしお仕事関係でニシノだなと思う人物を見かけたときは、皆様どうぞよろしくお願いします。






<おまけ>
勉強するときに使用した/現在進行で使用している参考書・ウェブサイトをここに並べておきます。

※追記:この記事を書いた当初から現在は古くなっている情報があるため、紹介している書籍に関しては、わたしが勉強していた頃とは別に、新しくなったバージョンのものを掲載しています。


・どうしてIT用語は横文字やアルファベット3文字とか4文字とかの略字が多いんですか?エスカレーション=報連相(ほうれんそう) じゃ駄目なんですか?と叫びたくなる人向けのwebサイト

分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典

ITの勉強を開始してから今に至るまで、ずっとお世話になっているサイトです。IT用語の初心者、非IT業界の人にも取っつきやすいんじゃないかなーと思います。イラストを交え、易しい言葉でかみ砕いて解説されていて、かつ無料という、超絶良心的なwebサイトです。

下の画像をクリックすると、このような索引ページにたどり着きます。

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ここからアイウエオ順に並んでいるボタンをクリックし、探したい用語を見つけていっても良いですし、あるいはこのページの右上に「キーワードを入力してください」と薄い文字で書かれた検索窓があるので、ここに探したい用語を入力すると、解説が出てきます。

たとえば「DOS攻撃」と入力した場合は、このような結果が出ます。(Dos攻撃というのは、悪意のある人がおこなう古典的なサイバー攻撃の一種です)

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複数の検索結果が出ました。DDos攻撃・EDos攻撃など、Dos攻撃にもいろいろ種類があるようだ、という事がわかります。今回はこのうち基本の「Dos攻撃(検索結果の上から2番目)」をクリックします。すると、下記のような解説が出てきます。

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こんな感じでわからない用語を調べていくと、おおまかに意味をつかんでいくことができます。


・ITパスポートの勉強

ここに過去問題がります。選択問題形式です。スマホで隙間時間に解いたりでき、無料です。神ですね。アカウントを登録しなくても問題を解くことはできますが、登録をしておいた方がどのくらい問題を解いたか?どの問題で間違えやすいか?などを確認することができるので便利だと思います。


書籍はこれ。ITに関する知識が全然ない人にもわかりやすいように作られている良書です。でも、ITパスポート試験に受かることだけが目標であれば、書籍を買わなくても、上記に挙げた過去問道場だけで合格できると思います。

(基本情報技術者試験は、がんの治療で入院する直前に受けた試験だったので、あまり勉強できずに不合格でした。ので、参考書籍などは省きます。そのあと飛ばして応用情報技術者試験を受けています)


・応用情報技術者試験の勉強

応用情報技術者試験は午前・午後の区分があります。そのうち午前の部に関してはこのサイトだけで完結できると思います。また、午後問題も(全てではありませんが)解説付きで過去問題が掲載されています。隙間時間にこつこつ解きます。これも無料。神ですね。


書籍に関してはこれ。イラストが多くてわかりやすいです。抗がん剤治療の入院中、繰り返し読んだ本のひとつです。「治ったら試験を受けるんだ」と思って治療の励みにしていました。

もうひとつの本がこれ。過去問道場のwebサイトで午後問題を解いていて、わからないことが出てきたのでこの書籍で補完しました。補完しましたって言ったけどすいません、わたしこの試験午後問題が1点足りなくて不合格だったんですけど。たぶん、もうちょっと早くこの本を買って午後問題対策にかける時間を増やしていたら合格していたと思います。

・情報処理安全確保支援士(午後Ⅰで不合格)

とことんこのwebサイトにはお世話になりました。この試験では午前Ⅰ・午前Ⅱ・午後Ⅰ・午後Ⅱの4つに区分がわかれています。そのうち、午前Ⅱに関してはこのサイトで完結すると思います。(午前Ⅰに関しては、応用情報技術者試験の過去問.comを利用すると良いかと思われます。そこの午前問題が出題範囲です)スキマ時間にひたすら解く。午後問題に関しても、自分で勉強していてわからないことがあったら、サイト内の掲示板で質問をすることもできます。そしてここもやはり無料です。神でしょう?

過去問道場で問題を解いていて、わからない用語などがあったときはこの本を読みました。なんかでも、情報処理技術者試験もここらへんまでくると、ハイパー難しい専門用語が増えます。用語の意味がわからないから書籍やwebサイトで調べるでしょう?そしたらそこに出てきた解説の中にまたハイパー難しい用語が混ざったりするんですよね。堂々巡り。「分からないこと」にめげずに地道に勉強を進めました。

(わたしあんまり根性論は好きじゃないのですが「分からないことがたくさんあってもめげない」は結構大切だと思います。あきらめずに地道に勉強を続けていけば、少しずつ道は開けます。)


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午前Ⅱ、および午後Ⅰ・Ⅱ問題の解説を細かいところまで掘り下げて丁寧に解説されている超良書です。紙媒体の価格は2750円ですけれど、断然値段以上の価値があります。個人的に感じるこの書籍の一番良いところは「この試験を受けるにあたり、どんな箇所でつまづきやすいか」を対話方式で取り上げ、図解なども多く織り込み噛み砕いて解説されているところです。

<上級者向け>

午後問題を何度か解いて慣れてきた人には、上記のような書籍で回答の書き方のパターンを頭に入れるのが良いかもです。問われていることは何か、どこの情報を拾ってどのような表現で回答すれば良いか?をこの本は教えてくれます。言い方を変えると、この本は初学者向けではありません。基礎をしっかり身につけてから読み始めると良いでしょう。


ここまでいろんな本を紹介しましたが、可能なら書店に行ってどの本が読みやすいか、何冊かぱらぱらめくってみて、自分に合うと思うものを買うのが良いかと思います。

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