root がデザインに関わる人の育成支援にこだわる理由
デザインファーム root の代表をしている西村です。
root は主にデジタル領域の新規事業やスタートアップの立ち上げからグロースフェーズを伴走しながら成長支援するお仕事をしています。
最近、デザイナーの採用をしたいけれど、なかなかよい人が見つからないという課題をよく耳にするようになりました。業界としては若手のデザイナー数は増えており母数は増加傾向にあると実感していますが、事業サイドが求める戦力になる人材が見つけられないという課題が顕在化しているように感じます。自分もデザイナーを採用する立場でありこの課題感は日々感じていますが、この問題は単に人材不足という以上に根深い課題が含まれており、その課題を解消していきたいという強い思いもありnoteに書いてみました。
このnoteは主に、2つの立場から見た考えをまとめています。
ご興味ある方はぜひ読んでみてください。
1. デザイナーを採用したり仕事を任せる立場の人々(小規模であれば創業者や事業責任者、中堅クラスの組織以上ならPOやPdM , マネージャー等)
2. 自身がデザイナーであり育成や成長の観点に興味がある方
その前に root は何をしている会社か
root をご存知ない方もいらっしゃると思うので簡単に紹介させてください。
root は、デザインファームとして「芯を問い、成長に貢献する。」をミッションにクライアントの成長支援をお手伝いするお仕事をさせていただいています。
具体的には創業まもないスタートアップや大手企業の新規事業など、持続的に関わりながらプロダクトの成長やチームの組織づくりなどをデザインで支援し拡大していく過程を支える役割を担っています。長い場合だと3年ほどご一緒しながら伴走するケースもあり、その間デザイナー不在だった組織から組織内でインハウス化されたデザイン組織の立ち上げをご一緒していくケースもあったりします。
詳しくは、別の記事でも取り上げていますのでご覧ください。
採用したいけれど、いいデザイナーが採用できない問題
冒頭でもお話したように業界内では、デザイナー不足が日に日に顕在化しており今の採用市場ではエンジニアよりもデザイナーの方が採用しずらいとも言われているくらい戦力人材が不足しているのが実情です。
この要因には大きく分けて3つの課題があると捉えています。
1. デジタルプロダクト領域におけるシニアデザイナー母数の限界
UI/UXデザインという領域は、国内だとスマートフォンが普及する2010年前後から認知されるようになり市場が形成されてきました。最近では、UIやUXというテーマで専門的な学習を行える教育機関も増えてきており一定の知識を体系的に学ぶ機会は増えてきていますが、そもそも求められる経験者層の母数が少ないのが課題となります。
新規事業やスタートアップといったデジタルプロダクト領域では実践現場の方が、先を進んでおり求められるデザイナー要件は、現場から生まれ常に変化しているのが現状だと思います。
そういった観点から、教育機関において体系化された知識を身に付けただけでは、現場で活躍しづらい問題を抱えているとも言えます。
2. 教育機関から輩出される若手デザイナーの実践経験不足
僕もスクールでデザイナーの育成をお手伝いする機会もありデザイナーを志望する学生と接点を持つことがよくあります。
近年、UI/UXデザイナーを志望する学生の数は増えてきている実感があります。ただしそこで課題となってくるのが、リアルな実践経験を得られず、受け入れる側が求めるデザイナー要件とマッチしない若手デザイナーが大量に生まれていると言うことです。
ここは教育機関だけで解決できる問題ではなく、受け入れ側の環境として実践経験をトライアルできる機会創出やプログラムの提供など行っていくことが必要でこういった機会創出をしないことが、将来的に戦力人材となるデザイナー母数を増やせずデザイン自体の評価や成果を上げずらい要因となっていると捉えています。
3. 組織内でデザインを理解し活用できる人材の不足
最後に大きい問題がデザイナーを受け入れる側の課題です。
多くの成長過程にある組織では、デザイナーを1人採用できればデザイン課題は解消され、いい感じに解決してくれると思っている方が多いのではないでしょうか?
ここには大きな誤りがあり、そもそもの組織やプロダクトチームがデザインに対してどの程度の理解や解釈を持っているか? が課題になってくるケースが非常に多いです。
デザインとは指示された制作物を作る行為ではなく、顧客との対話や観察、サービス全体の企画・設計など目には見えない活動の積み重ねによって成果物が生まれており、プロダクト開発全体のプロセスやチームのマインドに影響を及ぼすものです。
よく求められるデザイナー要件を聞くと、より事業の戦略的な過程やサービス全体の体験設計を策定する上流工程から設計することが求められているにも関わらず、任せる側の依頼する内容が具体的な制作物に指示をだしていたり、デザインのプロセスを遮断するスコープ設定を行っているケースが目立ちます。 その前提にたった時、迎え入れる側の組織やそのチームをリードする立場の人が、デザインを理解せず仕事を任せることで本来解決すべき課題をデザイナーが解決できない状況や環境が作られやすいのが現状です。
この問題は、デザイナーが頑張って解決できるものではなく組織やチームとしてデザインに対する期待値や役割を共通化しチームとして取り組む基盤を作れないことには、期待される成果やパフォーマンスは出せないことになります。採用要件に出てくるデザイナー要件の中には迎え入れる側が役割やデザイナーの活かし方を整備せず募集をかけていることが多く、ミスマッチが起こっていると言えます。
root がなぜその課題に注力しようとしているか
僕自身もデザインスクール出身でデザイナーのキャリアを歩んできました。そこから独立、創業し経営者へとステップアップしていった経験を持っておりデザイナーと迎え入れる側両方の経験を持っています。
今ではクライアント組織を支援する立場にあり成長していくスタートアップや新規事業組織を見る中で、同様の課題を抱える組織は多く1人目のデザイナー採用が上手くいったとしても多くの組織はデザイナーが定着する組織にならず、期待する成果を出せずに苦労しているケースを見かけます。
root が掲げるミッション「芯を問い、成長に貢献する。」で目指す世界は、志を持った事業それぞれが、世の中により本質的な価値を届けられる事業となることで、事業活動に関わる人々とそれを享受する人々をより豊かにしていきたいという思いがあります。
そのためには、デザインを活用できる組織を増やし、その環境の中でより本質的な価値を問えるデザイナーの数を増やしていくことが、必要であると考えています。
1. 組織内にデザインを活用、理解できる人材を増やす取り組み
具体的な活動として、事業の立ち上がりから伴走しながらクライアント支援を行っていくことで、組織内にデザインを活用、理解できる人材を増やすことに注力しています。
まずは迎え入れる側の環境や組織に、デザインマインドを定着させデザイナーが増えてもプロダクト開発が円滑に進むための素地を構築することで、採用されたデザイナーがパフォーマンスしづらい状況をできる限り生まないよう整備していきます。
実際の事例は下記でもご紹介していますのでご覧ください。
事業の立ち上がりをプロダクトのデザイン面で支援するのと合わせ、我々root が1人目のデザイナーの役割を担うことで組織的にも成長できるようその素地を作っていく活動と言えます。
2. デザイナー志望の求職者に学習機会と実践経験の場を提供
一方で、デザイナー志望の求職者で成長意欲の高い人材に対し実践知を提供しながら組織の成長に貢献できるデザイナー数を増やすことにも注力しています。こちらは、デザイナー不在の組織にいきなり転職して活躍するのが難しい課題を持っており、root のようなデザイナーが集まる組織体の中で、実践知を学び経験を積むことで可能性の芽を育てることにつながると考えています。
結果的に、支援するクライアント内にデザインを理解・活用できる人を増やし今後増えていくデザイナーがより働きやすく最大限のバリューを発揮できる土台を作っていくことが、事業成長においても非常に重要になってくると捉えています。
これは、外部から支援するデザインファームだからこそ実現できるミッションであり、今の業界課題に対して個社ではなくデザインを柱とする集団として向き合っていくことが必要だと強く思います。
現在の root とこれから
現在 root は、組織体制を整備しており、より強固な支援を行える体制を作るためクライアント・人材それぞれに成長支援をしていくためのモデル構築とその再現性を高めるための取り組みを牽引してくれる仲間を募集しています。
デザイナー育成については、デジタルハリウッドをはじめとした教育機関との連携を強化し初学者向けの機会提供を行っていくのに合わせて、半実績経験を積める機会提供の場を開発しており、デザイナー育成に再現性を持たせる取り組みを行っています。
また、root 社内で最も重視しているデザインナレッジを体系化し事業の成長プロセスに応じた再現性を高めていく取り組みを組織カルチャーとして定着していくことで、個人の経験や学びを自社・クライアント問わずチームに還元し、組織的にデザインを通じて事業成長に貢献していける組織を作りたいと考えています。
マネジャー、UXリード、UIリードなど、共にミッションを実現していく仲間を募集しています。
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