2024年4月3日-衆議院法務委員会-本村伸子議員(共産党)の質問、(岡村晴美弁護士がほとんど回答)

武部新議長

次に本村伸子くん。

本村伸子議員(共産党)

日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。先ほども大村参考人の方からですね、今回の法改定の趣旨は、やはり子の利益を確保するということが目的であるというご趣旨をおっしゃられたんですけれども、そこでちょっとお伺いをしたいんですけれども、岡村参考人と原田参考人にお伺いをしたいと思います。1人1人の子供の最善の利益に関して、今現状ではどういうふうに判断されているのか、という点をまずお伺いをしたいと思います。

武部新議長

岡村参考人。


岡村晴美弁護士

はい、ありがとうございます。子供の最善の利益の今の現状ということですけれども、面会交流に関しては先ほども申し上げました通り、いっとき、原則実施論に流れたものの、現在は安全・子の状況・親の状況・親子関係・親同士の関係・環境の六つのカテゴリーに属する事情を含めてその一切の事情を的確に把握して、最初は広く浅く、状況がわかってきたら掘り下げて児童虐待やDVが問題になるような事案では安全を確保を第1に考えようということでニュートラルフラット、同居親および別居親のいずれの側にも偏ることなく先入観を持つことなく、ひたすら子の利益を最優先に考慮する立場でやっていこうというふうに裁判所が決めて、2020年から運用が変わって、何となくそれを感じつつあるというところがあります。子供の最善の利益という言葉を何て言うかどちらかっていうところが今共同親権に関しては今私は面会交流の裁判所の宣言について行ったんですけれども、親権争いに関しても同様にそういう子供の立場というのを一番最優先して考えていくことが望ましいというふうに思っています。
あと子供の立場を考えるときにちょっと私今日の議論をずっと聞いていて子供の最善の利益を考えて計画を最初に立てるのが良いものであるということが何となく皆さん前提で思っているかもしれませんけれども、紛争の現場にいると、事細かく最初に決めると二つの弊害があって、一つはそれに従わせるのは子供であり、大人の決めた約束によって例えば来年の何月何日には父親と過ごしながら、***と過ごしみたいなものを決めると、それはすごく子供に対して私は虐待行為に近い、しかもウォラスタインさんというアメリカのたくさんの事案研究した方が「事細かに決めた面会計画によって従って面会を続けた子供は1人残らず、親を恨んだ」というふうに言っています。
子供にとって一番良い面会は「会いたいときに会う」という子供の意思を尊重するものになりますので。そのことがちょっと決めればいいということではないというのが弊害の一つ。
もう一つの弊害は、計画と違うと裁判をするみたいなことがやっぱすごくネットでもなんていうかすすめる人がいますし、裁判というのが、全体的にですけど気軽なものだみたいな形で、「それは裁判所で決めればいいことだ。そこで子供の利益を図るんだ」って言うんですけれども、私はたくさんの事件もダンボール1箱2箱記録があって、弁護士が引き受けてくれなくて、それが最後の砦で私に来たような事件をいくつも受けてるから思うんですけれども、裁判ざたというのは普通のお母さんにとっては極めて苦労するんですよ。だからその「裁判所で決めればいいでしょ」っていうのは、お母さんにとってはお父さんでもそうですよシングルで育てている人にとってはかなりの苦労で、それを繰り返すことが子供にとっては、もう養育の質を値下げてるんですよ。だからそのことをもうちょっと子供の最善の利益というときには、考えてもいいんじゃないかなと、何となく裁判所で適切に決めるからいいでしょって気軽な感じで進んでるのは非常にあの、違和感があります。


武部新議長

それでは、原田参考人


原田直子弁護士

どの場面で子の最善の利益というのかによって違うと思うんですけど、今回、負の問題になっている家事事件のにおいては、今家庭裁判所で一定の類型においては子供の意見を聞くというふうになっておりますが、実際に例えば15歳以上の子供であれば、子供に何か書面を出させるようなことで終わってしまっているというようなこともあって、親権の争いになったときは調査官が子供さんに話を聞くということになっているんですが、小さい子供さんの場合は1回例えば家庭訪問をして、今度このおばちゃんとかお姉ちゃんがつっこんで聞くからねみたいな話をして仲良くなってからもう1回聞くというやり方で多分、小学校高学年ぐらいになったらもう最初から家庭裁判所に連れてくる。
で、ほとんど1回ぐらいしか会わない。
そういう意味では私は本当に子供さんに今どういう状況で何で今日は家庭裁判所に来て、あなたたちがどんなふうなことを思っているのか、ちゃんと聞きたいよっていうのをきちんと丁寧に説明して話をするという意味でのですね、手続きが必要でそういう手続きをされることによって、子供が親の紛争は自分のせいではない、そしてこれから自分はどうなるかについて不安を持たずに進めるというのが子供の最善の利益なんじゃないか。もちろんその前提としては安全安心というのありますが。なので私はちゃんと子供の人格ではなくて意思を尊重してほしいということを入れてほしいというふうに言っております。


武部新議長

本村くん。

本村伸子議員

ありがとうございます。子供の意見表明、意見意思の尊重ということで非常に重要な点だというふうに思います。この点に関して岡村さんは岡村参考人はどのようにお考えでしょうか?

武部新議長

岡村参考人。

岡村晴美弁護士

お尋ねいただいた子供の意思の聞き方というのは、今原田参考人がお答えになったことに全く異存がないことです。基本的には子供に一度会うだけで意思の把握について十分されているというふうには私はあまり思いませんし、今回の改正で子供の人格を尊重するという言葉が入ったんですが、法制審議会の議論を見ておりますと、それは意思を尊重するという特に弁護士を中心とした意見が出ていたにもかかわらず、それを切り捨てる形で、人格を尊重する。
その人格の尊重の中には当然意思の尊重も入ってるんだ、みたいなことになっていたので、それは非常にやっぱり問題があるというふうに思います。子供は理路整然と喋れるばかりではありません。そういう子供の声が切り捨てられないかがとても心配です。
私の経験でも幼少の子供が大変かわいがられていて、すごく弁解をしたがるんじゃないかと他の兄弟を持っていたけれども、すごく頑なに拒んでいた。
たまたまですけれども、半年経った時点で親しく喋るようになった心理士の人に話ができたからよかったんですけれども、実は同居中に性虐待に遭っていたことが発覚した。でもそれはすぐには言えない。それは別居してだいぶ経ってからようやく言えたっていうようなこともあります。
その子からしてみると「大人が寄ってたかって会いたくないと言っているのに何で? かわいがられてたじゃん。こんな写真もあるよ」とか言われたことが恐怖でならなかったと、だからその何で会いたくないかとかそういったことを理路整然と喋れる、その合理的に喋れる子ばかりではないということをやはり考えますと、その子供の意思を尊重するということは非常に重要なことだというふうに思っています。

武部新議長

本村くん。


本村伸子議員

ありがとうございます。原田参考人にお伺いしたいんですけれども、原田さんには家族法制部会の最後のところですね、棄権ということがございましたけれども、その理由について教えていただければというふうに思っております。もしよろしければ他の反対された方の理由についても教えていただければというふうに思っております。


武部新議長

原田参考人。


原田直子弁護士

やはり反対された方は、共同親権ありきの議論だったというふうに大村先生には申し訳ないですけど、共同親権に今導入することはやっぱり、時期尚早だと反対だということだったと思います。私もそれは同じ思いでした。ただですね、やっぱりあそこで議論をして、この法文上要項の解釈について、議事録できちんと残せばそんなふうになるんだというふうに説明を受けて、それで私はここは後者解釈するんですねこういう意味ですねって何回も言いました。それに対してあまり反論されることもなかったです。そうするとここで私反対すると、その議事録に残ったことにも反対したことになってしまうんではないかという懸念がありまして、でも賛成はできなかったので棄権しました。以上です。


武部新議長

本村くん。

本村伸子議員

ありがとうございます。続きましてDV被害者の方が岡村参考人にお伺いしたいんですけれども、DV被害者の方が子供さんを連れ去られてしまったケースに関しまして、今回の法案、共同親権との関係についてご見解を伺いたいと思います。


武部新議長

岡村参考人。

岡村晴美弁護士

私はDV事件を中心的にやってきましたので子供を連れ去られてしまったりとか、あと追い出されてしまって別居親になっているDV被害者の事件をいくつもやっています。別居親となってしまったDV被害者というのは、もうこれ一番激烈なDV加害ですね。子供と引き離されるということになります。ただですね。私の依頼者は共同親権を望んでいるかというと、この共同親権の導入に反対している私の活動をすごく賛成してくれています。
というのもですね結局、監護者指定の申し立てをすることになるんですよ。子供を連れ去られたり、追い出されたときに自分で育てたいと言ったら、それはもうむしろ単独親権を求めるんですよ。そんな人と共同でやっていけないんですよ。
それをそうしない場合というのは私が見たところ主に一つ、子供の意思に反する場合です。子供の意思に反するという場合は当然ですけど、同居親に忖度してる場合もあります。ただ同居人と全く一体化して、加害的になっている子供もいます。
DVっていうのはすごく深いので子供に与える影響というのは非常に大きいというところがあります。それを共同親権にしても全然救えません。
面会交流を私は小さく産んで大きく育てるというふうに言いますけれども、子供との一定の関わりを確保したいというふうにDV被害者の多くは言っています。
面会もできないのに共同親権が与えられて同居親と子供が決めたことにノーと私の意見を伝えるのかと言ったらそんな権力関係ないんですよ。拒否権の発動なんてできないです。
なんなら同居人からハンコがいるから、これになんていうか同意してくれっていうことで説明を聞かされることも、なかなか苦痛だろうということが多いです。
で1人の依頼者がですね、私は子供に拒否されてる状態でね私は何とかちゃんにずっとあなたの味方だよ応援するよと言ってきたと、その子が今私を拒否してるなら、その拒否してるあなたに寄り添いたいということで身を引くということがあります。とっても悲しいことだけどそこで連れ去りだ何だかんだ刑事罰だというふうにやってみたところで、子供の意思に反することを続けたら、子供の気持ちはどんどん離れて断絶する一方なんですよ。
だから、それは今何々ちゃんはそう思うんだねというところで、ぐっと1点ここだけっていうところを守って、そこから必ずチャンスあります。
私はすごく長く寄り添って、そういう人たちの事件を本当にやってきた。(やや泣きそう)。そういう人たち、弁護士は私以外にもいるんだけれど、そういう弁護士に対する攻撃がすごいから、もう本当にみんな続けられないし、どうか綺麗ごとじゃなくて、本当に生の人が動いてて、弁護士もどういう人が連れ去りの弁護士だとか言われてるかっていうのも本当によく調べてほしいし、すごくそれはそう思います。DV被害者にとって共同親権というのはほとんど役に立たないし、むしろその怯えてます。そのことだけは申し上げたい。


武部新議長

本村くん。


本村伸子議員

はい。続きまして「DVは除外できる」という話がありますが、その点どうかという点。これも岡村参考人にお伺いしたいと思います。ポストセパレーションアビューズということで日本語で言うと離婚別居後の様々な嫌がらせとか虐待行為ということなのでしょうか。そういう実態ですねどのような今扱われ方になっているかという点ご協議をいただければと思います。

武部新議長

岡村参考人。


岡村晴美弁護士

共同親権を今やっていこうという場合で除外すべき事案がまずDVを除外するって話が当たり前みたいに出てくるんですけど、一番除外した方がいいのはDVじゃなくて、話し合いができない関係性のケースです。
DVがあってもそのDVをすごく悪かったなと思って被害者の方も「そうかそうかともう今から環境をやっていこうということであれば、共同はできるんですけれども話し合いがもうほとんどできないということが一番問題かなというふうに思っています。
そんなところでDVを除外するっていう言ってみたところそのDVが何なのかによって、共同親権を推進したい人はDVをすごく狭く理解するところがあります。やっぱり共同することが一番いいことだと思ってると、それに邪魔なものはなるべくない方がいいかなっていうところで軽視するというのが問題だというふうに思います。
ポストセパレーションアビューズというのは、結局DVの中のバイオレンスというVの部分もドメスティックとドメスティックのこの家庭内という部分もなくて離れてもずっと暴力が続くんだっていうものです。
それについて全然なんかそのDV防止法では全く手当もされていませんし、この問題の解決、対応なく共同親権制度を導入することにすごく懸念を持っています。

武部新議長

本村くん。

本村伸子議員

はい先ほどもですね、岡村参考人から弱者側が説得されやすい実態があるということで、そこでそのDV事件など含めてですね。担当する弁護士の皆様の力が必要だというふうに思うんですけれども、そこのあの弁護士さんは十分足りているのかという点、あるいは法テラスの実情についてご教示をいただければと思います。

武部新議長

岡村参考人ですね。岡村参考人。

岡村晴美弁護士

はい。先ほども言いましたけれど、やっぱり弁護士が付く上での障壁に、DV被害者側に付く障壁はやはり非常に値段が安くて経営が困難になりがちである――という点と、それからやはり業務妨害です。業務妨害についてはやはりSNS等などでその実子誘拐ビジネスモデルの弁護士だ。みたいなことをやっぱり言われて、非常にそれに焚きつけられた人がですね、苦情を言ったり懲戒請求をしたりということもやっぱりある中で、それに怯えてなるべくそういう事件を受けたくないなと真面目な弁護士ほど、もし共同親権制度が導入されたら、もう撤退しよう離婚事件から。そういう声がすごくたくさん上がっていて、やはりその加害的な人を何とかしてもらわないと、私はそのそういうことがきちっとやっていただけるのであればこんなには反対しないんです。やるべきことがやれていないのに、それで結局共同親権制度がもし導入されて一番頑張るのって誰ですか。そのことを考えていただきたいなというふうに思っています。お答えになったかどうか。


武部新議長

本村くん。


本村伸子議員

もう一つ岡村参考人にお伺いいたします。海外では共同親権がスタンダードだというふうに言われることについてご教示をいただきたいと思います。


武部新議長

岡村参考人。

本村伸子議員

海外が共同親権制度であると言われることについては、この最近、「現代思想」という4月号に掲載された憲法学者の木村草太先生の指摘を見て、なるほどなと思った部分がありました。一つは日本は非常に子供を産むときの婚姻率が非常に高い。授かり婚という言葉がある。これをフランス人の人と喋ったら何それと言われました。その子供ができたから結婚する子供のためにならないから離婚する、という考えがなくて、フランスでは愛が冷めたら離婚する、という私から見ると驚愕な、そんなこと言ったら離婚家庭だらけになっちゃうんじゃないと思ったら、そしたらフランスは離婚家庭だらけだ。なんなら結婚もしませんって言われたんですよ。
木村先生が何とおっしゃっているかというと、日本は非常に婚姻共同親権率が高い国であると。そして子供が18歳になるまでに離婚する人が他国に比べてすごく少ないんであると。そうすると、子供の立場になって考えたときに、親が共同親権であるという確率は世界に比べてむしろ高いんだと。
なるほどなと思いましたね。だからここは離婚が結構たやすく1人が嫌よ。あなたの愛が冷めたの嫌いじゃないんですよ。もう愛が冷めて離婚してるんだからあなたの子供のためにやれる人がいっぱい残ってて、でも日本はそんなことではあまりみんな離婚しなくて、何とか子供が大学卒業するまでは離婚せずに頑張るの、とかいう人がいますって言ったら、フランス人の人が何それって。本当に話通じないねっていうふうにね、なったんですよ。だからこの何かパッチワーク的に離婚後共同親権というものを当てはめられても、海外と婚姻の状況も制度も文化も違う離婚に考える。銀行に対する考えも、日本ではお互い〇と〇で結婚して、×と×が揃わないと離婚できないんですよね。基本的には、よっぽど何か事情がないと。
だけど海外では1人が嫌って言ったら、もう一人が〇でも一人が×になったから離婚できるっていう、そういう状況で共同で子育て共同親権の子育てできる人たちの割合っていうのは、日本でいう婚姻中共同親権の割合と似てくるというふうに思いますし、例えばフランスなんかだと親権制限の確率割合が人数が10万件あると、日本なら20万系ないといけないということなんですけれども、日本の場合だと100件とかそれぐらいしか親権制限なんてないわけで離婚件数が20万件だと。
なので各国の制度で、それぞれ子供が共同親権のもとでできる人とできない人の割合というものがあって、それを日本は婚姻というものでやってるという面があるので、世界は共同親権というからには、共同親権状態で育てられている子供の割合で見るという視点も必要なんじゃないかなというふうに思いました。

武部新議長

本村くん。

本村伸子議員

貴重なお話、本当にありがとうございました。審議に生かしていきたいというふうに思っております。聞けなかったおふたり大変申し訳ありません。ありがとうございました。

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