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六本木ヒルズのクモの彫刻〈ママン〉をつくったルイーズ・ブルジョワの作品が自然をテーマにしたユニクロのTシャツに登場。#UT #MoMA

六本木ヒルズのランドマークとなっている、巨大なクモの彫刻〈ママン〉。作者のルイーズ・ブルジョワ(1911-2010)は、ほぼ1世紀にわたり活躍した、世界的な現代アーティストです。

そんなブルジョワの作品から「自然」をフィーチャーしたのが、今年3月に発売されたUniqlo「オブ・ゼアー・ネイチャー UTグラフィックTシャツ」です。

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ルイーズ・ブルジョワのUTグラフィックTシャツ3種と
伝記絵本『ルイーズ・ブルジョワ 糸とクモの彫刻家

Tシャツのモチーフは、晩年に制作された布の本〈Ode à la Bièvre(ビエーヴル川に捧げる歌)〉からとられています。

ブルジョワはビエーヴル川のほとりで育ちました。伝記絵本の冒頭は、この川の場面から始まります。
「川は あたりのなにもかもを まるで糸のように つないでいました」

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少女時代、ブルジョワは、家業でもあったタペストリーの修復を、母から教わりました。川の水は羊毛を洗って染める際に使われており、川の土手には父が植えたポプラ並木がありました。

ルイーズ・ブルジョワ-1-ケイ無し


大きくなってパリの大学で学びはじめたころ、ルイーズはまだ知りませんでした。川がまもなく埋め立てられて、思い出のひとつに変わってしまうことを……。

母を亡くし、打ちのめされたブルジョワは美術を学ぶようになり、創作を始めます。巨大なクモを何体もつくり、どれにも「ママン(おかあさん)」と題をつけました。織物職人だった母のイメージが重なります。

布と糸をつかったドローイング作品や、布の本を制作したのは、現代アーティストとして認められた後の晩年の10年間だけです。

「こどものころに愛したものを なにひとつ 忘れたくなかったので
忘れてしまうかもしれないものを 本のかたちに したのです」

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▲作品名〈Ode à la Bièvre〉や布の本のページが
伝記絵本にも描き込まれている。

ニューヨーク近代美術館(MoMA)に所蔵されている〈Ode à la Bièvre(ビエーヴル川に捧げる歌)〉は、美術館サイトからもご覧いただけます。最初と最後に文章があり、ほかはイラストで表現されています。No.1とNo.9、No.14、No.20とNo.23が、UTに取り入れられています。

ちなみに、絵本の原書タイトルは『Cloth Lullaby(布の子守唄)』。やさしくゆれる川の音色は、ブルジョワの耳に、まさに子守唄のように聞こえていたのかもしれません。