見出し画像

ミニバスという”義務教育期間”をスキップしたなら何から練習すべきか?-「必修項目4選」-

「高校からバスケを始めたのだけど、成功できますか?」
という質問をもらうことがある。

「高校からバスケを始めることは、難しい。しかし…」

そう思う理由と、じゃあ何をすべきかって話をしたい。

***

そもそも「成功」とは何だろう。

ベンチメンバーに入ることなのか。試合に出ることなのか。県代表に選ばれることなのか。

また、「高校バスケ」一言でいっても、そのレベルによっても「成功」の難易度に違いが生じる。例えば、全国常連校のベンチメンバーに入ることはなかなか壁が高い。反対に、部員数がギリギリ5人のチームであればベンチ入りは確実となる。

そう。「高校からバスケを始めたのだけど、成功できますか?」という問題は、置かれている立場と望んでいる目標達成によって変わる。

****

多くの高校バスケチームは部員数は20~30名程度。小学校から、とまでは言わずとも、遅くとも中学校から始めている選手が多い。

大多数が置かれている環境は上記にあたる。”その中で成功を収めたい”と仮定する。

高校からバスケを始めることは、難しい。

下の図を見て欲しい。

雑でごめん。

左は小学校・中学校・高校とバスケットを続けてきた選手。
右は高校からバスケットを始めた選手である。

バスケットの技術は"積み上げモノ"である。

ピボットにしろ、レイアップにしろ、年月を重ねるほどそれは洗練され、無駄がそぎ落とされた技術となる。

ミニバスではいわゆる”基礎”を叩き込み、その期間は今後のバスケット人生の絶対的な『土台』となる。友人は、ミニバスでの基礎練習を”バスケットの義務教育”とまで表現した。

ミニバスでは「バスケットを上達させる上で、絶対に身に付けねばならないこと」を重点的に教えてもらえる。その"義務教育"を受けてきた選手と、それをスキップした選手には、基礎技術の定着に明らかな違いが生まれる。

上の図。2022年に「U18指導方法論」という資料公開された。

「いつ、何を、何処まで教えるべきか」という問いにJBAとしての指針として年代別指導カリキュラム等が掲載されている。

高校年代では高校年代で教えるべきものがあるし、「小学校で習ってきたよね?」というものに時間を多く割くことはできない(チームの状況によるが)。

この図から、日本のバスケットはある意味「U12からの継続した積み上げ」を前提としているともいえる。

「高校からバスケを始めることは、難しい。」という理由はそこで、「本来なら履修してきたであろうこと」がスキップされた状態でチーム練習が進むことなのである。フリーのレイアップの練習をしたことないのに、オンボールスクリーンという高度な練習に取り掛かるという非論理が生まれる。

数学に言い換えれば、かけ算ができないのに二次関数の勉強をするのと同じ。英語に言い換えれば、単語が一文字も理解できていないのに長文読解に取り掛かるようなものである。

チームで二次関数や、長文読解をするのであれば、自分でかけ算や単語の勉強をしなければならない。それがいわゆる”自主練”である。自分の不足している部分を、チーム練習以外の時間で埋めていく必要がある。

つまり、バスケを始めたタイミングが遅いほど「自主練習の時間の確保」が必須となる。もちろん、「高校部活動をやりきること」が目標であれば自主練習は必要ないが、「自チームのライバルに勝ちたい」のであれば、そのライバルよりも”積む”必要がある。根気がいる。覚悟がないと続かない。

だから難しいのだ。

しかし、捉え方によっては、「他の人が積んできたであろう基礎練習」を自身の力で積むことができたら、高校から始めようが、小学校から始めようが変わりないのである。そう、すべては積んできた時間の差なのだ。

じゃあ、どんな「自主練」をするべきなのかっていうのが今回の主題である。高校からバスケを始めた人を全力で後押ししたい。

個人的に『まずはこれでしょ』と思うものを4つ選んだ。いわゆる「義務教育」で多くの人がミニバスでやってきたものであると思うが、これをスキップしてチーム練習し続けるのは結構しんどい。バスケの根っこの部分だからである。ぜひ参考にしてほしい。

(たくさんYouTubeの動画を引用させていだきました。ありがとうございます!)

「必修科目」4選

①ピボット

バスケにおける、バスケ特有の、バスケっぽい動きこそが「ピボット」。軸足を固定して、フリーフットを自由自在に動かすという習慣を身に付けないといけない。

②ドリブルチェンジ


バスケットにおけるドリブルは以下の5項目からの派生である。
⑴フロントチェンジ
⑵レッグスルー
⑶ビハインド
⑷インサイドアウト
⑸ロールターン

動画では⑴、⑵、⑶の紹介がされているが、⑷、⑸も必要である。まずは以上の5つを「強く・速く・ボールを見ずに」つけるようになりたい。この5つさえできれば、あとは組み合わせ次第でいろんなムーブができるようになる。

技能の発達段階にも3段階あって、
➀意識してもできない
➁意識すればできる
③無意識でもできる
の上記。「強く・速く・ボールを見ずに」という項目さえも無意識に実行できるようにしてほしい。習慣化。

③ボールの持ち方

上の写真はトルソーである。トルソーとは、アパレルショップなどで販売用のアイテムを着せて、店頭でディスプレイするためのツールのこと。首から上、腕から先、もものつけねから下を除く体の部分

「トルソーから外してボールを持つ」ということを習慣づけてほしい。

初心者あるあるなのが、「トルソー内でボールを保持する」ということ。写真のマイケルジョーダンはトルソー外でボールを保持しているが、もしおへその前でボールを持っていたらどうなるか。おそらく、目の前のディフェンダーにボールをはたかれることになるだろう。

ボールポジションに関しては、練習というよりも「理解」に近い。もちろん例外はあるが、バスケを始めて1年以内は「ボールはトルソー外」を意識してもらって構わないと思う。ピボットと合わせて練習してほしい。

④マイカンドリル

これ。マジで大事。スリーを極めるよりもまずはこれを完璧に。

「フリーのゴール下は決められる」という事実だけで脱・初心者できるといっても過言ではない。10本連続は決められるように。

バックシュートも問題なくできることが目標。
リバウンドボールを落とさないようにすればキャッチの練習にもなる。

まとめ

「いつ始めたか」なんて本当は関係ない。

NBAで得点王になったジョエル・エンビードは、バスケットボールを始めて4年でNBAに辿り着いた。

UVERworldとAK-69は「今日という日は お前に残された人生の1番若い日」と表現した。

何を始めるにも、遅すぎるってことはない。

ただそんな言葉だけに踊らされて自分の「不足」から目を背けることは得策ではない。

必要なものを着実に積み上げていけば、その差は、確実に縮まる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?