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「ドライブインまほろば」を読んだ

「ドライブインまほろば」 遠田潤子 双葉文庫 を読んだ。

山深い秘境を走る旧道沿いにぽつんと佇む「ドライブインまほろば」。店主の比奈子が一人で切り盛りする寂れた食堂に、突然男の子が幼い妹を連れて現われた。憂と名乗る少年は「夏休みが終わるまでここに置いてください」と必死に懇願する。困惑する比奈子だが、事故で亡くした愛娘の記憶が甦り、逡巡しながらも二人を受け入れてしまう。その夜更け、比奈子は月明かりの下で激しく震え嗚咽する憂に気付いた。憂は、義父を殺し逃げてきたことを告白し——。「生きる意味」を問い、過酷な人生に光を灯す感動長編。

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読みながら途中で、いったいどのような終わり方をするのだろう…と考えた。
だって、登場人物みんな不幸な親子関係を背負ってるから。
その上小学6年生が殺人。

クライマックスへ向かう途中ね、逃げ切って、このままひっそりと暮らし続ける方向へいくのかな…なんて思った私は浅はかでした。

文庫の解説に、別の場での著者の言葉が載っている。

「私は最後に救いがない話でもいいと思っているんです。編集者に『救いはいれてください』と言われますし、読む方にとっても救いはあったほうがいいんでしょうけれど、正直、私は気にならないんです。安易な救いを与えるくらいだったらない方がましだし、実際に世の中を見渡した時に救いなんかないことの方が多いですよね。救いがないならないで、そういうことはきっちり書くべきじゃないかと勝手に思っているんです。」
「どんなに悲惨だったとしても、悲惨だから駄目とは言いたくないし、その悲惨な目に遭った人に失礼だと思うし、その悲惨さと向き合って、とことん書く方がいいんじゃないかな、と」

P401

あぁ、安易な救いを考えてしまった。
ひっそり暮らしたところで、誰の傷も癒されないし、生きることを心から肯定なんて、できないよなぁ。

安易な救済は描かない。だからといって、絶望のどん底に突き落とすわけではない。

P401

解説者の言葉どおり。

十年池の光が、美しい。


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