気まずい宅配
いやぁ、気まずいと言っても、別にいかがわしい荷物を受け取ったわけではないんですよ。
受け取りの時に受領印を押すじゃあないですか。
普通、空中で印鑑を押す時には、その部分を裏から指で支えますよね。指を台代わりに。
親切な配達員さんだったんでしょうね。
いつものように、指を受領印の裏あたりに持っていったら。
そこには、紙ではなく配達員さんの指が。
えぇ、思いっきり押さえましたよ。
だって、ハンコ押さなきゃいけないんだもの。
かすれて読めなかったりするのも良くないでしょうし。
そしてね、今回の配達は荷物が二個あったんですよ。
さぁ、次の受け取りのハンコはどうする。
やはり、指のふれあいは避けたいでしょう。お互い。
指なしでいくか。
しかし。
正面から来た人に道を譲ろうとしたら、相手も同じように動いてしまう現象を思い浮かべてしまいます。
配達員さんが遠慮して、私に指を譲ってくれていたら。
ハンコはうまく押せないどころか、勢い余って、紙を落としてしまうかも。
しかし、そう考えた私が再度指を出して、またもや配達員さんの指を強く押してしまうのも、気まずい。
ここは、配達員さんの親切を信じよう。
そう心を決めた私が、グイッとハンコを押したら。
そこには、ちゃんと指がありました。
めでたしめでたし。
恐縮です