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「夜の道標」を読んだ

「夜の道標」 芹沢央 中央公論新社 を読んだ。

一九九六年、横浜市内で塾の経営者が殺害された。早々に被害者の元教え子が被疑者として捜査線上に浮かぶが、事件発生から二年経った今も、足取りはつかめていない。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受け、半地下で暮らす殺人犯から小さな窓越しに食糧をもらって生き延びる少年。それぞれに守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を見せていく―。

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殺人犯の阿久津弦に心をかっさらわれて読了。

「欲しくはない、欲しかったんだって」

ここに尽きるんだろうなぁ。
殺人も、匿われていた部屋を出るのも、最後の要求も。

ーいろんなものを見て、しまっておけよ。

阿久津は見たものをそのまましまっておける。
匿われていた生活では、テレビも観ない、本も読まない。頭の中で光景を再生している。
一番よく流す光景も、読み終わってから振り返ると切ない。

やるせなさが滞留。
でも、良い本だった。

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