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2024年 11月 みたもの

 今月ちょっと別の予定が多すぎて本当に全然見れてなくてびっくり。
 でも今クールはドラマがハチャメチャに豊作でですね……。全領域異常解決室みんな見てくれ


劇場版「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」

 平成ライダーシリーズでも根強い人気のある「仮面ライダーW」。そのコミカライズ作品であるのが「風都探偵」という漫画。
 そもそも風都探偵のクオリティの高さはとても好評で勿論私も大好き。そんな風都探偵が質の高いアニメになり話題になったのも記憶に新しいですが、さらに劇場アニメが作られるとなってこりゃもうお祭り騒ぎです。

 TVアニメ版からそうですが漫画原作の映像化として、そして仮面ライダーWの続編として、とにかく丁寧に作られてて安心して興奮できるんですよね。

 基本的な流れは原作の展開をしっかりとなぞり、かといってただ漫画を動かしているのではなくて。アニメーションならではの演出や、原作のコマとコマの間をどう補完するのか。「仮面ライダーW」らしいアクション、音楽、テンポやカメラワーク。全てに愛を感じるアニメ化となっております。

 ことこの映画としてはキーパーソンの鳴海荘吉をどれだけ格好良く、そして人間味溢れたキャラクターとして魅力を描けるか。ここが一番重要で重大で。
 絶対的なヒーローとしてこれまでも象徴であり続けた仮面ライダースカル/鳴海荘吉という存在をより深く、彼の葛藤や苦悩が描かれることでただカッコいいというところ以上の魅力が表現なされる今作。今までWを愛して作り上げてきた人から送る、これからもWを好きなファンへの最高の贈り物なんです。

 マジ、原作も勿論面白いですが、この熱量のアニメーションを最後まで見たいですよねほんと。良い作品。

舞台『少女☆歌劇 レヴュースタァライト The MUSICAL 別れの戦記』

レヴュースタァライト、最高~~~~~~~

 その昔稼働していたスタリラというゲームがありまして。この「少女☆歌劇レヴュースタァライト」のキャラクターたちが色んな演目を演じるということがひとつ目玉として展開されていたゲームなんです。今年サービス終了してしまいましたけど……。

 そのゲーム中のストーリーでも折に触れて登場していた「別れの戦記」という演目を実際のミュージカルとして興行するという、当時からのファンとしてはそれはもう首を長くして心待ちにしていたスーパー有難コンテンツが今回のこの作品で御座います!!!!

 実は少し前にこの演目が朗読劇となったことはあったのですが今回は本意気の歌劇、しかもコンパクトだった前回と違って参加する役者もレギュラーメンバーほぼ勢揃い!!(三森すずこさんが渡米しているため)

 いや本当にずっと冗談でも比喩でもなくずっと言ってたんですよ我々は、別れの戦記をやってくれと。夢が叶ってしまった。
 スタァライトシリーズは劇場版・舞台版とかなりひと段落がついてしまい、シリーズの継続を後進の別グループに明け渡す形と今までなっていたのですがこうなってくるともう話は別ですね。無限です。演目のストックはかなりあるのです。こうやってシリーズが続いてくれるのは1ファンとして本当にうれしい。

 さて肝心要のその内容ですが、ひとことで言えばお腹いっぱい大満足な出来栄え!!

 我々がこれまでも見てきた「レヴュースタァライトらしさ」も感じつつ、「馴染みのあるキャラクターが別のキャラクターを演じている」ことで今までとは全く違う演者の異なる一面を見ることが出来る。というところで一点、新鮮さを感じます。
 
 そして演目としては中世をイメージしたような世界観。衣装・劇伴・セットも壮大さが強調されるようなテイスト。
 特に衣装は本当に感動したんですが、ゲーム内の装飾がそ~~のまんま!
 ゲームということもあり現実に遠慮しないデザインしてると思いますし、前回の朗読劇の際の衣装も別にチープだなとは思わないくらいの仕上がりしてましたが今回が文字通りレベルが違う。
 鎧が放つ輝きが凄まじい。土日取れなかったから月曜休んで現地行って本当に良かったよね。

 ということに始まりとにかく豪奢なイメージがありました。手抜き、一切なし。(今までが手抜きしてたとかいうわけではなく)

 演目の筋書きとしてはまぁゲーム内でも触れらていましたし、確か大きく際はない筈。かなりシンプルです。命を賭して悪政を討ち、道を違えた親友と心を再度通わせるのがメインの流れ。

 メイン総大将以外のそれぞれのキャラクターにも相方と呼べるキャラクターがいて、それぞれの因縁や関係性やらが一通り描かれ、最終的に国は平和になってエンド。

 これがまたす~~~ごい宝塚然としているというか。
 一度しか見ていない分際でこういう表現は烏滸がましいとも思うのですが、構成がすっごい宝塚の匂いしてるんですよね。とにかくストーリーはシンプルで、メインディッシュは演者とキャラクターが織りなす感情の圧力。
 いやぁ、今年一度でも経験しておいて本当に良かった。いろいろと解像度が上がる。レヴュースタァライトというコンテンツの、根源のモチーフに対してのリスペクトをひしひしと感じました。
 私前から(ぶっちゃけ今でも)ライブパートの尺のぶん本編の描写もうちょっとしてくれないかな~って思うことがままあるんですけど、あれって結局本家でいうところのレヴューパートの踏襲になってるんですよね。
 というのを体験したので、今までよりも更にライブパートにも思いを馳せることが出来てお得だったというお話。

 本当にとにかく、このシリーズ出来るところまで続けてほしい。三森すずこさん含めて9人揃うくらいまでなら待ちますよぼくたち。

 あとなんか、ライブパートで突然佐藤日向さんが右後ろ直ぐの空いてる席に座って「月曜日にわざわざありがとうございます~~」ってこっち側に話しかけてきて二度見したり、左方少し先の空いてる席に座って女性のお客さんに向かって自分のパート普通に歌ってる小泉萌香さんの距離感バグっててStar Paradeでにじみ出た涙が引っ込んだ。殺す気かよ。

ヴェノム:ザ・ラストダンス

 マーベルのコミックシリーズをソニーが実写化した「ヴェノム」シリーズの第三作目にして一旦の最終作。
 ヴェノムシリーズは、自由自在の寄生生物“シンビオート”のその柔軟な形態変化由来のアクションの自由さが画面を賑やかし、主人公エディを宿主とするヴェノムの2者間の不思議でかつ強固なバディ関係の描写がストロングポイント。今作でもその魅力は如何なく発揮されていたと思います。
 
 特に終盤。ヴェノム以外のシンビオートが多数登場して共に脅威と戦う場面があるのですが、こちらはもう歴代シリーズでも指折りで好きなシークエンス。そこら中にいる人間に寄生していろんな姿かたちのシンビオートがそれぞれの個性的なアクションを次々と見せていく。さながら寄生戦隊シンビオージャー。
 クライマックスなシーンであることも踏まえ、常に移り変わる画面に目をキラキラさせてしまうような素晴らしい映像で御座いました。

 エディとヴェノムの凸凹コンビ然とした掛け合いにもじっくり尺がかけられ大満足。
 一つだけ気になったことがありまして。何かっつーとソニーのユニバース展開の今後についてめちゃくちゃ布石を置いて行ったんですよね最後。
 プロモーション的にも「ヴェノムの最後!!」みたいな感じで打ってましたし、映画の内容としてもぶっちゃけ最後はヴェノムとの別れが描かれたわけなんですけど、その前後で本当にいろんな未来への種が蒔かれてるんですよこれが。
 仮にもさ、あれだけ人気も実力もある「ヴェノム」シリーズが結末を迎えるっていう大事な一本なのだからさ、ラスト10分くらいはエディとヴェノムのことだけ考えさせて欲しかったなって、さ……。
 この作品群はまだまだ展開するよ!!!って言われちゃうとさ……こう、情緒ってもんがさ、あるじゃないの……。

 という気持ちでエンドロールを眺めていた。これだけは本当に良くないと思ってるよ私は。これでヴェノム復活しなかったら怒るぞマジで。


八犬伝

日の本が誇るファンタジー古典として名高い 南総里見八犬伝の作者を主人公として、この作品を書き上げた彼の半生を描く一本。

 この作品の特徴として。作品を書く主人公・馬琴のドラマのみが進行するわけではなく、途中途中でその綴った八犬伝が映像として表現されるパートが挟まるということ。
 八犬伝パートに出演しているメンバーが特撮に出ている方が多かったりして個人的に嬉しいというところもそうですし、物語が佳境に向かう=馬琴の人生の終わりに近づくという図式が出来上がっていたことで、パートの切り替わりが明確に場面転換になる良いテンポを生んでいた気がします。

 私が観測する限りではあんまり話題にはなってないかなとは思うんですけど、これは中々オタクが好きになる要素が結構あると思うんですよね~。

 物語を綴ることは虚構を生むということ。馬琴が持つ理想は現実には叶えられないことが多いことは事実で、だからこそ馬琴は理想を描くために物語を紡ぐ。「虚」と「実」の狭間で揺れ動き葛藤する馬琴が、それでも28年の歳月をかけて完成させた物語。基本的に「生み」の苦しみの物語だったんですよ。好きじゃん……。しかもそれを表現するのは日本を代表する大名優役所広司ときた。

 この映画はラストシーンが本当にキレイで泣いちゃうかと思ったんですけど、
 最後 八犬伝を書き上げた馬琴が人生を終える時に見たもの。それが今まで人生で向き合い続けた、己の正義の理想を体現してきた物語の登場人物たち。
 物語に苦しんだ人間が、最後には物語そのものに肯定され救済されたかのような純粋な演出。あの瞬間、馬琴の中では虚構がれっきとした現実となった瞬間であったような気がして。
 私個人としても物語を、虚構を愛している立場の人間であるので。物語は現実に何を齎すのかという思考がじっくり描かれ、人が救われる瞬間。そんなラストシーンがとても好きですわたくし。


 


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