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2024年 1月 みたもの

去年の年末に思ったんですよ。
1年間分のみたものをまとめるのめっちゃきつい。

ので、月ごとに細かくやってやろうということで。やります。今月は結構少ないですね。


十三夜

2024年の舞台はじめは伊波杏樹さん主演の舞台でスタート。
彼女が演じるミランダを中心に、いつもの街の日常が賑やかに描かれていく序盤から中盤。
そして終盤に向けて突如崩されていくとりとめのない日々。安らかな未来をミランダに託し、託されたミランダが苦しみながらも前を向くまでの鮮烈な有様が見る者に爪痕を残していく。強烈な一作でした……。
数年前からこっちディスグーニー作品を何本か鑑賞していまして。この座組の放つ「人の剝き出しの感情」が大好きなのですが、この「十三夜」の演出は今まで私が見てきたディスグーニー作品の中で今のところ一番好きかもしれない。感情爆発の前のタメのフェーズのバランスの良さ、それによって生まれる爆発力になすすべなく胸を貫かれたんですね……。
伊波杏樹さんは勿論のこと、田中良子さんもやっぱり素晴らしい役者さんです。
そこに限らず、心を動かす芝居をなさる方ばかりの座組であっという間の公演時間でした。

今回のディスグーニーの公演。意味の分からないことになぜか同時に3本の別の作品が上演されてるんですけれども、3本とも本当に見たくてでも仕事の関係で見れずじまい。
こんな無茶な上演してるのに配信も無いんですよ???なんてこった。
本当に円盤の購入を考えている。桜もチックジョ~も見たいんですよね。

コンクリートユートピア

1月5日公開という運命の女神が中指立てる憂き目にあっている作品。本当にとんでもないタイミング。誰も悪くないのがただただかわいそう。

権力という力を手に入れた人間の移り変わりを繊細に演じきったイビョンホンに拍手を送りたい一本。
崩壊した世界やなりふり構わない民衆の演出など、迫力と恐怖満点な映像にハラハラする一面もありました。
が、正直なところ物語の流れや結末などはあまり目新しいものは無く、予測出来てしまった展開が続いてたなぁという印象が残ってしまいます。
別に面白かったんですけどね。あとあれだ、ソウルって寒いんだって思いましたね。

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

見たほうがいいと聞いたので墓場鬼太郎の1話だけ見てとても良かったんですが、結構なんも知らない状態で観に行っても楽しいと思います。

SNSで話題だったのである程度の想定はしていったんですが、その想定を遥かに上回る程度には最後まで胸糞救いの無さたっぷりの一本。たがやすの技エフェクト並みに想定の上を行くと言えば分かる人にはわかるかもしれない。
幸せになって欲しい人も報いを受けてほしい人も平等に痛い目に遭う(婉曲表現)というなんとも心の置き場が迷子になってしまう作品何ですけど、どこか希望が奥の方に見えるところがこの作品の良いところのひとつかもしれませんね。沈むところまで沈み切らないというか。
水木とおやじのバディものとしての純度は折り紙付きです。やっぱり私はふたりが一緒に煙草を吸うシーンが大好き。見た直後は俺もタバコ吸わせたいとなりましたね。
煙草をくわえたら火をつけに来てくれるつるべ火くんのカットがこの映画で最も癒されるポイントだということは声を大にして言いたい。

アニメ「アイドルマスター シャイニーカラーズ」

テレビアニメの先行上映の第3弾。1.2と見てきたので期間ギリギリに滑り込み。
正直ずっと「放課後クライマックスガールズなんだよなぁ」くらいにしか思ってなくて、単純に 「俺は今これ何を見ているんだろう……」って気持ちになる時間が多かったんです。ライブシーンとかは完成度高かったですし楽しかったことは楽しかったんですけどね。
この作品全体としての目的が掴めなかったというか、シャニマスというIPへの入り口としてのアニメという印象が強すぎて。私はゲームの方をしっかりやってないので、もしかしたらゲームとの何かしらの関連があったのかもしれませんけどいったん置いておきます。

で、12話まで見てその理由が自分なりに納得できまして。このアニメ、12話丸ごと使って「櫻木真乃がアイドルに憧れを持ち、向かっていく道を決める」瞬間を描きたかったんだなぁと思ったわけです。
途中途中で差し込まれる各ユニットの描写とかが「アイドルって何やってんの?」というところを幅広く表現することでなんとなくぼんやりとした像を形作って行く。「何を見てるんだろう……」の正体はこのぼんやり感で、この曖昧さが、突然この世界へと足を踏み入れて右も左もわからないままただ努力している真乃がアイドルの世界を見ている視界と重なって感じることが出来たのかなぁ~とか思ってます。
それまで描写されていたアイドルという存在が積み重なって積み重なって。最後の最後で目の前の観客の熱量をその身に受けたことがトリガーとなって、ぼんやりと見えていたアイドルの世界が苛烈なほどに光り輝いて憧れを持った瞬間。櫻木真乃がアイドルになった瞬間を表現したいんだ というような解釈を持って私はこの作品に納得したんですよね。
ずっと分からなかったんですよ本当。なので、最後まで見てあ~~そっかぁそういうことなのかな~~~とすごく納得した。

なので大きい枠で見ると結構好きだったんですけど、このアニメ日常の細かい描写がいちいち引っかかるというか。
序盤の甘奈が甜歌ちゃんは寝顔もかわいい~~みたいなこと言ってたシーンで、甜歌ちゃんが全然甘奈のほうに寝顔見せて無かったり。3章で衝撃的だったのは、イルミネがカフェでツバサグラビティ(だったと思うんですけれど)の歌詞が良い~~とか言って合唱してたとき「いやいやいやいや未発表曲じゃねえのかよコンプラ意識どうなってんだよ」って気持ちで頭がいっぱいになってしまって映像に全く集中できなかったり。
結構私そういうの創作だと思ってスルーしちゃうタイプなんですけど、なんかそういうの細かい気になるところが多すぎてそこは明確に残念だったなぁって。思うんですね。

ゴールデンカムイ

これ本当に、劇場でめっちゃニコニコしちゃった。いい実写化として今後真っ先に挙げられて然るべき作品だと思ってます。ちなみに当方、原作は一通り読み終わり済み。

本気を感じるんですよ。キャラクターが本の中からそのまんま出てきてるような錯覚に陥る。
見てくれのクオリティの高さも抜けているものがあると思いますが、それ以上にキャラクターの魂をそのまま表現してやろうという覚悟を感じるんですよね。
今となっては恥ずかしながら、そのほかのキャスティングは心配していなかったものの山崎賢人氏に一抹の不安を覚えていたんですよ。そういう人は多いと思いますが。

蓋を開けてみたらなんということか、これがもう杉元佐一にしか見えない!!素晴らしい。
戦争帰りの強く荒々しい一面もしっかりと表現していたと思いますが、私がここでなるほどと膝を打ったのは杉元のピュアな部分。アシリパさんとキャッキャするシーンの杉元って本当に純粋でどこかガキっぽいところもあるじゃないですか。あの可愛らしさすら感じる純粋さを表現する場面の山崎賢人氏のハマりっぷりったらそりゃもう感動すら覚えましたよ私は。当然のようにアクションシーンもバッチリと仕上げてきていて、「成程~こりゃあ山崎賢人がキャスティングされるわ!!」ともうニッコニコです。

アシリパ役山田杏奈氏、こちらもとても良かった。
原作と大きく年齢が違うキャラクターということが少し物議を醸した記憶もありますが、彼女の表現力もさることながら「アシリパさんをアシリパさんたらしめる部分は年齢という属性にあまり依存していない」という点がとても大きく作用していたかなと思います。子熊を懐に入れた杉元にやいやい言うシーンが好きすぎる。山田杏奈さん、ゼイチョーでも良かったですけどいい役者さんですね~~。

その他にも迫力のアクション、動物の表現、ロケーションや主人公二人以外のキャラクターの再現力などなど本当に良いところをあげれば枚挙にいとまがありません。
年配のキャストさんも多く、時間という制約がかなり大きいですけど心の底から最後まで見てえなぁという気持ちにさせてくれます。とにかく続きが見たいと思うので本当に良い作品になっていると思う。
ハイローからこっち久保監督には足を向けて寝れない。

王様戦隊キングオージャー ショー 第3弾「伝説の力がチキューを滅ぼす!」

目の前でヒーローが大立ち回りをするところなんか何回見ても良いんだから。
前回見た第2弾ではバグナラクがまだ敵役だったころだったりジェラミーが出始めだったりして、オリジナル怪人を倒さないヒーローショーとしては結構珍しい回だったのかなと思うのですが(そんなにショーに詳しくないので断じることが出来ない)。
今回はまぁなんというか想像してた直球のヒーローショーって感じでしたね。安心感ある。
でもやっぱアレですね。敵役が5道化だけで中級怪人が存在しないのでオリジナル怪人を作ることも出来ず、かといってカメジムをショーで倒すわけにもいかずでなんかいろいろ難しそうだなとか思っちゃいます。本編でも思うところですけど倒すことの爽快感が無いのはちょっと寂しい気持ちもあったり。
素顔の戦士登場の回を見に行ったので、カグラギがでかかったりヤンマが客煽りにどんどん慣れて行ってたりギラのジェラミーモノマネが上手すぎたりリタが笑ったりで。キャスト登壇独特の楽しさってありますよね。

PERFECT DAYS

日々を粛々と生きる清掃員の、一見代わり映えしない地味な日常を瑞々しく映像として切り取ったような作品。海外で評価されていることも話題になってますね。
前半なんか特に主人公全然喋んないんですよ。全てが行動で表現される。
大きく変化のない日々、でも彼が日常の中でほんのりと楽しみにしていることが見る者にも伝わってくる感覚がとても心地よい。
朝出勤する時、スカイツリーが見えた瞬間にカセットの再生を始めるシーンとか大好き。自分なりの最大限の楽しみ方を毎日心待ちにしていることが手に取って分かるようで、大なり小なりこういうルーチンって多くの人が持ってると思うんですよ。 私も車で職場から帰る時、とある橋を渡るときに空がとても広く見えてキレイなんですけどそれがすごく好きなんですよね。自分しか持ってない景色があるっていう感覚がよく分かる。

そんな同じような日々の中でのちょっとした変化があると本当に楽しいんですけど、それを見てる側も追体験出来るのがこの映画の愛らしいところ。
仕事をして休日があって っていう大きな流れをこの作品内で何度もやるわけですけど、2週目以降は観客もある程度主人公と同じ気持ちになれるようになってるんですよね。
顔も知らない誰かとトイレを通じて〇×ゲームをする流れとか本当に大好き。見てるこっちまで「書いてくれてるかな~……?」ってウキウキしちゃうあの感覚、そういうのが大好きなんですわ。

後半になるにつれ主人公の過去が少しだけ垣間見えて。
勿論今の人生にだって十分に満足しているけれど。彼の中にはどうしようもなく残ってしまった後悔だとか、あったかもしれない別の未来だとか、考えてもしょうがないことをふと思ってしまうこともあって。
満足していることと後悔していることが同居してる煩雑な心の動きがとてもリアルで、情緒を揺さぶられる作品でした。
後半のシーンって色んな登場人物がいろんな想いで感情を揺らす場面が多いんですけど、その揺らぎもあくまでも主人公からの目線からしか垣間見えないものだったのも好き。多くを語らないし、立場を考慮すると語ることがそもそも出来ない塩梅がちょうどいいんだ...…。

しっかしこの作品に出てくるトイレ、見に行きたくなったな……。


というわけで1月はこれだけ。忙しくてちょっと少な目でしたね。
頑張って毎月続けられたらいいな~。


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