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タレントさんとのお付き合いについて

放送作家というと
夜な夜なタレントさんと六本木西麻布あたりを飲み歩いている
というイメージがあります。

座付き作家、といってタレントさんのブレーンの作家さんだと
そう見えるケースもあると思います。
私は番組だけのお付き合いがほとんどで
タレントさんとお酒など、行ったとしても打ち上げとかくらいでしょうか。

とはいえ、ほんの数人だけですが、大先輩の方から後輩まで
お付き合いさせて頂いているタレントさんはいらっしゃいます。

そうなりますと、この方々の世に出ていない情報は
絶対に口外しない、という責任を負うものだと
私は考えています。当たり前ですけど。

ところが、仕事柄のイメージのせいで、伝手を辿って
お付き合いの有無に関わらず「XXさんの噂って本当ですか?」など
取材が来たりする。

そういう場合は全て
「知らないです、知らないけどウソです!」
と力強く答え続けております。

中には謝礼を申し出てくる記者さんもいらっしゃいますが
それっぽっちの金額で仲間を売るような人間だと思われたのだと
不徳を恥じ、枕を涙で濡らしてしまいます。

しかし、タレントさん絡みのゴシップ記事などに証言として
(放送作家)って言う表示を見かける事が多い。

まず、本当に放送作家なのかい?と思うし
大間違いなとんちんかんコメントであるモノが多い。

なにより、タレントさんサイドに
放送作家が内情を喋るんだ!と言う誤解が生まれて
しまうのが、本当に迷惑。

ですので、私はタレントさんとは楽屋とスタジオ以外のお付き合いを
増やさないほうが良いと考えています。

その昔、10年ほど一緒に番組をやっていた
今も大人気のMCさんが、ある日突然私のお腹の肉をつかんで
「最近太ったんじゃないの?」
「あうあう」

という事がありました。
仕事以外の会話はそれだけでした。

今でも時折、局などですれ違う際に
「お!」と目配せをくれたり
「元気でやってる?」くらいのお付き合いがありまして
また一緒にお仕事したいな~と思うのであります。



最後に、明治の名劇作家菊田一夫の至言を
ー「演劇余話 芝居づくり」よりー
芸能界ほど浮沈の激しいところはない。
そしてまた浮沈ともどもに、それなりの理由が、芸能界ほどはっきりしたところはない。〝浮〟を見るのはひとごとながら楽しいが〝沈〟は胸がしめつけられる。
あすはわが身の上であるかもしれない。と感じるからでもあろうか。しかも浮き沈み、それぞれの理由と原因はいろんな形で身のまわりにうろうろとうろついている。

努力をしながら、その足を力みすぎて踏みすべらせてころぶ人があり、反省過剰で考えこみすぎて暗夜のアナぼこに落ちる人もある。
努力してうまい芝居をやりながら、落ち目になることもあるのが芸能の道なのである。
が、なによりも珍しいコトワザは
「役者殺すにゃ刃物はいらぬ。ものの三度もほめりゃよい」。

私は興行師として、私の担当のもとにいる役者が世間から無条件にチヤホヤされることが一番恐ろしい。うまい役者に出演料を居直られることはなんでもない。ギャラをあげてやればそれでいいのだ。それでなくても浪費好きの私である。
恐ろしいのは無条件にほめられ、チエをつけられて頭でっかちとなった人間が、頭の重みに耐えかねて、足を踏みすべらせることである。

寄ってたかってほめて落とすのは他人だが、立ち上がるのは自分一人である。


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