手に入れた5坪

僕の人生が発酵する5坪の物件をついに手に入れた。

　僕は東京のここに居て、ここで何をしようとしているのか？

　僕は飲食店をやりたい訳でも、酒小売店や食品販売店をやりたい訳でもない。

　ただ、どうしたら残りの人生を発酵させて生きるのか？

　自分も含めて人と人とが発酵する空間を作りたいのだ。

　やりたい事が多すぎる。

　ここで、希望のため息をつきながら、楽しく途方に暮れて、これからの事を考えよう。

　まずはここにある、あらゆるものを撤去して、そこに段ボールの椅子を置く。

ここは相当古くて、多くの人に愛された空間だ。
この場所に多くの人の想いが詰まっている。

　そこに1人座り、両親と姉兄、北海道の人達と仲間、故郷の栗山の人達、そして小林酒造の皆の事を噛み締めて考える。

天井の味わいも、ザ.昭和！撤去するのも複雑な想いだ。

　しばらくは全力で北の錦を売りながら家賃を支払っていけばいい。

　大切な人達に笑って欲しいし、その為なら想像できる結果は求めない。

　ただひたすら自分らしく生きる事が全ての恩返しだと思う。

　そしていつか『やっぱりお前は楽しい変態だな！』とか言われながら、ここで皆をお迎えできる様に、毎日を丁寧に、そして感謝しながら北海道に帰る日を想って頑張ろう。