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伝えるべきを形にする

『伝えるべきを形にする』

人はある時期から、そのために人生を捧げていくのかも知れない。 

母はこの1か月もまた、大部分の生活を古布を繋ぎ合わせる事に費やしている。

朝起きると、居間はいつもこんな感じ。

その古布は小林家に生きた代々の祖母、曾祖母らが残した衣類や日用品の端切れ。

酒蔵を支えてきた代々の女性達の想像も届かぬ労苦、情念、そして生きた証。
 言葉に出来ないその想いを繋ぎ、伝えようとしている。

このでっかいアイロン台の正体、それは!
アイロン台は50年前に、祖母が蔵人に特注して作ったものであった。

僕は正直、これらの古布をいったい、どこの何人が興味深く見てくれるのだろうかと思う。

けれども母にとって、受け継いだこの古布を残す事は『今を生きること、その確信』でもある筈だ。

今、母はこの名前で古布の展示をするらしい。
この旗を目にしたら宜しくお願いします。

僕は母の『伝える姿』を、ずっと見ている。
それだけでも『伝える事』の意味、かけがえのなさを充分に教えてもらっている。

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