JTのM&A
こんばんは。
とある経営企画マンです。
今日は先日読了した「JTのM&A」について読んでみたのでその感想と気づきを書かせていただければと思います。
JTのM&A 日本企業が世界企業に飛躍する教科書 | 新貝 康司 |本 | 通販 | Amazon
そもそも、なぜ私がこの本を読んでみようと思ったかというと、
①M&A業務に関わる機会があること
②メルカリの山田さんがおすすめの本として(2年ほど前だが)ブログに挙げていたこと
③将来的にCFOキャリアを目指していくうえで、日本のM&A(特に海外)をリードしてきたJTのCFOがどのような思考で意思決定を行ってきたか
上記3つのことを学びとして自分の中に蓄えたかったからである。
結果大きく2つの論点があるので1つずつ取り上げていければと思う。
①M&A後のPMIについて
よく言われるPMIが大事だという言葉。これはなんとなく頭に残っている人は多くいると思うが、優先順位がどこに位置付けられていて、どのようなスピード感で行えばいいのかを体で分かっている人は少ないと思う。
本書ではPMIは優先順位の1番目に位置付けられており、M&Aのディール検討の段階から、買収後の青写真を描いておくこと、その青写真を買収効力発生後100日間で成し遂げる必要があることについて書かれている。
ではなぜ優先順位が最も高いのか。これは買収自体が目的ではなく、買収によって事業を伸ばすこと、特にシナジーを創出して事業成長を加速させることが目的であるからである。この問いについてはご存じの方が多いと思う。
ではなぜ100日間で成し遂げる必要があるのか。これはなかなか経営企画や投資業務に関わる人たちの解像度が低く、その観点がない人が多いと思われる。理由としては、従業員に目指すべき方向性を明確に示し、買収という機会を活かして、短期間で強烈に推し進めることが、後ほどのシナジー創出に大きく寄与するからである。買収される従業員にとっては、統合プロセス自体が多くのオペレーション変更や自分の役割変更の可能性など不安にさらされることが多い。また買収される経営陣にとっては、心情的に買収されたタイミングのほうが買収された心理により、オペレーションの変更を行いやすい。オペレーションの変更や、従業員のモチベーション維持は時間をかければかけるほど、大きな課題になる可能性が高いため、買収直後のタイミングで出力を上げ一気に課題を解決することが大切というわけで。なお著者は、PMIの期間では通常行に加えた負荷がかかっていることに注意し、お互いを気を使いながら業務を進めること、買収後のPMIの過程でレポートラインの明確化のために、決済基準の見直しの重要要請についても特に大切だと書かれている。
②理想のCFO像について
②のように記載して、いきなり別の話になるのだが、本書を読んで、特に大切だと感じたのは、リーダーとして目的を誰にでもわかる形で明確に示すことである。人は時として、業務に忙殺されると業務をこなすことが目的となってしまうが、仕事は目的達成のための手段であることがほとんどであり、
目的を持って働くことで、社員一人一人のモチベーションの向上であったり、敷いては強い組織に繋がるのである。CFOとして管理部門を率いるにあたり、まず組織の方向性を明確化すること。これはCFOに限らず、マネジメントにおいてはすべてに当てはまることだと思われるが、仕事に意義を持って取り組むことはとても大切だと考える。
大上段のマインドセットがあるうえで、CFOロールが何かという問いに戻った時に、会社のフェーズや規模によって役割そのものや優先順位は変わってくるかと思うが、共通して考えられるのは、
(1)収益管理
(2)事業成長のための投資余力の確保
だと考えられる。
本書では特に(2)について述べられていることが多く、私自身についても学びになる考え方が多かったため(2)についてお話しできればと思う。
※(1)については、特にFP&Aや管理会計の仕組みなど、事業運営において必須の内容(むしろ(2)を経験できる人は少ないと思われる)であり、とても興味がある分野のため別の機会に書いてみたい。
CFOとして、どこにどの程度投資をして、どのくらいの期間で投資を回収できるのか、またHDオペレーションの場合は、最適なキャッシュマネジメントシステムを構築し、稼いだお金をどう吸い上げて(配当?経営指導料?なるべく税務リスクがない形で)どのように投資余力を確保するか、借入枠はどの程度確保できているのかに常に頭のリソースをさくことはとても大切である。
本書では常に現れうる投資機会に対して、投資できる体制を構築するためにキャッシュマネジメントと借入枠の確保、それを把握するための連結決算の早期化に対応していくかについて書かれていて、とても勉強になった。
総じてJTCのCFOとスタートアップのCFOでは求められるロールは異なるものの、優先順位の違いのみでいずれ必要なアジェンダになることから、
常に自分も意識をして取り組んでいきたいと感じた。
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