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転生を巡って
起きている間、意識がずっとあるというのは実は錯覚で、意識はときどき、瞬間的になくなっているのではないだろうか。万事つつがなく生きてるように見える人も、実はしょっちゅう気絶しているのではないか。
別にそれ自体はいいのだが、問題は、意識をなくしたその一瞬の隙に、空っぽになった容れ物としての肉体に、別の人間の意識が入ってくる場合だ。その場合、いわゆる転生というやつが、現実世界で成立してしまうのではないだろうか。
今日の最高気温は、昨日をさらに上回る38度だった。熱の籠ったマンションのごみ置き場で、あまりの暑さに意識をなくす。その一瞬の隙に、容れ物(肉体)を奪われかける。視線の先には、誰かに捨てられたぬいぐるみの、揺るがない意志を秘めたみたいな黒い瞳。炎昼の、転生を巡る攻防戦。
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