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デビュー戦の記録

今回は記念すべき初授業(デビュー戦)を終えた感想を書こうと思う。

私は現在の職場でPhotoshopやillustratorといったグラフィックデザイン関係のことを教えている。と言っても、日本語ではなくシンハラ語で教えるのだから日本で教えるとは訳が違う。
ていうか、なんなのよ?教えるって。シンハラ語を3か月ビッチリ勉強した外国人が現地人に対して現地語で教えるって異常にハードルが高くないか?と思う。しかし、行動しなければ何も生まれないことも事実な為、とにかく早くやって早く失敗しようと思った。

HTML&CSS デビュー戦(1day)

当初の予定ではPhotoshopの授業を最初にやる予定だったが、Aレベル・Oレベルテスト(スリランカの試験)のスケジュールが遅れている関係で、隣のクラスのHTML&CSSの授業を先にやることになった。
「やることになった」と、ここではサラッと書いたが、授業をやるまで、授業用のドキュメントを英語で作り、それを担当の先生に見せ、家に帰ってひたすらシンハラ語の練習をする日々が続いた。私は学校で生徒たちに教えた経験がなかったのだが、このような経験をすると、やっぱり学校の先生って凄いなぁと思う。

そして、いざやって来たHTML&CSSのデビュー戦は、やはり言葉の壁を感じざるおえなかった。しかし、概念のような抽象的な話は難しいが、生徒達と一緒にパソコンを使いながら説明することは意外と出来た。とにかく、今の自分が辛うじて出来ることと、難しいことが分かったことは大きな収穫である。

Photoshop デビュー戦(5days)

HTML&CSSの週1授業に比べて、バライ(重い)のがPhotoshopのフルタイム授業5daysである。とにかく喋り続けることはシンハラ語がそこまで上手ではない自分には難しい。だからこそ、なるべく多くの資料を作り、なるべく多くの練習用素材も用意して、抽象的な話も資料を使って乗り切れるように準備した。幸い午後からは生徒たちが一人で練習問題を解く時間として充てられているので、授業として行うのは8時半から12時までの3時間半だけである。

初日は「グラフィックデザインとは?」のような抽象的な話を1時間ほどして、それから基礎的なPhotoshopの使い方の説明に移る。「グラフィックデザインとは?」みたいな話も日本語ならもっと喋れるのに、シンハラ語になると、こうも話す内容も量も少なくなってしまう。やっぱり言語と思考って連動してるんだなぁ、と思いながら、初日はひたすら大きな声でブラシツールの説明をしていた。

HTML&CSSの授業で発見したこととして、自分も一緒にやりながら説明するのは多少出来ることが分かっていた。だからこそ、2日目以降は午後の練習問題で出てくる新しいツールを中心に午前中は一緒にパソコンを使いながら授業を進めた。しかも、これが意外とサクサク進まない。生徒達はPhotoshopなんてソフトを初めて使うものだから、何をするにしても全部説明が必要で、1回じゃ聞いてくれないから2~3回言う必要がある。(たぶんこれでもマシな方な気がする、逆に1回で全部できちゃう子もいるもんだから、それも驚き)しかし、そうこうしているとすぐに3時間半なんて過ぎるので、3日目まではこの戦法で行った。

4日目以降、同様に練習問題をやっても良かったのだが「普通の練習問題だけじゃなくて、もっと実践的なことをしていいのよ」と同僚講師に言われる。まぁ、確かに練習問題はツールの練習をするのには良いけど、実際に仕事で使うかと言われると難しい。何故なら、制作したいものによって使うツールも全部変わってくるからだ。
それなら、ある程度ツールの説明を終えたタイミングで、実際に使われているようなWEBサイトのバナーを一緒にトレースしてみようと思った。実際に見たことあるような素材がどうやって作られているか、一度体験することで、生徒の中で今やっていることと社会が少しでも繋がればいいな、と思ったからだ。

しかし、教えるということは本当に難しい。今まで自分が誰かに教えられることなくPhotoshopを使ったりしてきたこともあって、何となく子どもを崖から突き落とすような、そんな少々ハードな教え方になっている気がしてならない。これはどうしたものか…と思いつつも、それは実際に教えられている経験がないからだよな、と思い始め、動画学習サイトに課金した。(でも、実際に勉強しなおすのは大事だと思った)

私のいるクラスはICTのクラスなので、デザインだけを注力して教えている訳でもない。さらに、専門学校みたいに皆がモチベーションを持って入って来ているかと言うと、それも少し謎な所がある。例えば「1人でデザインを考えてみな」と一度無茶ぶりをしてみた時、授業の終わりまでデザインを作っている子もいれば、早々に終わって睡眠学習に移行する子もいる。さらには別の授業の課題を始めちゃう子もいて、まぁ本当に色々ある。(流石にタバコは吸ってない)

私が最初にグラフィックデザインのクラスに行った時、生徒から「シンハラ語分からないでしょ?」と言われた。あの時の生徒はもうカリキュラムが終わっていないのだが、それでもあの時みたいに舐められないようにしないと…!とデビュー戦までは意気込んでいた。結論から言うと、あの時よりもシンハラ語を多少は理解できるようになったものの、現場の先生と私とではポジションが違うことを生徒も理解しているのか、多少は舐められているように思う。とは言え、こればかりは先生達よりも生徒との方が年齢が近くて、スリランカ的な教師と先生の関係性を知らない外国人なのだから、最早どうしようもない。ちゃんと授業をしている時は話を聞いてくれるし、一応ミスって言ってくれるし(帰り際はバーイだけど)、とりあえず5daysをちゃんとやり遂げたってことが凄いんじゃないかってデビュー戦を終えた感想としては感じている。

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