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アナカリスのお引越し

急に朝の風が冷たく感じた。最近はよくメダカに向かって声をかける。「寒いね〜」「元気?」と言いながら餌を与える。

メダカ鉢の中で新芽を沢山伸ばしてジャングル化していたアナカリスを少し整備するために、鉢の中にあるアナカリスを全て鉢の外に出した。
元々あったアナカリスは葉っぱをスネールパイセンに食べられているものが多く、青々しいものは少なかった為、新芽だけ残して後は処分することにしたのだ。

アナカリスを取るために鉢の水面近くに手をのばす。すると、メダカ達が指先の近くに寄ってきた。しかも1匹ではなくほとんどのメダカが寄ってきたのだ。私は、今から人間が水の中に手を入れるよ〜ビックリしないでね〜という合図を込めて、敢えてすぐに水の中に手を入れず、水面の近くで手を止めていたのだがメダカには全く伝わっていなかった。その後も驚かさないように、ゆっくりとアナカリスに手を近づけようとすると、メダカ達が指先や手に群がり、時には接触してくる。

水に指を入れてメダカがその指に触れるようだったら信頼されている証、という風に聞いたものだが、水の整備作業をしたい時は少し困ってしまう。これは意思を持ってアナカリスに向かわないと、メダカが群がるばかりだと考えたため、意思を持ってアナカリスを取っていった。その時も「アナカリス取ってますよ〜取ってます〜」と言いながら作業していた。まさに、舞台の仕込み現場で「暗くなりまーす」「音鳴りまーす」と同じようなトーンだ。しかし、そんな努力も虚しくたまにポチャンと言う。だから何度も言ったのに〜!と思いながらも、我々は基本的に意思疎通が出来ない生き物同士であることを悟る。

アナカリスの新芽だけを残す作業でスネールパイセン達の卵を発見する。透明だったが、きちんとスネールパイセンの子どもたちが確認できた。水の雫と見間違うほど、透明度が高く二度見をして初めてこれが卵である事が分かった。いつか飼うエビのために導入したアナカリスであったが、結果としてはスネールパイセンのメッカとなっていたのだ。

植物は昼間は日光によって光合成するが、夜は呼吸のために酸素を吸って二酸化炭素を吐く。そのため、水草を入れすぎると鉢の中で夜間に酸欠状態になってしまう事がある。今まで何もないようにメダカ達は生きていたが、みんな夜に死んでしまう事が多かったのは、少し鉢の中の水草が多く、夜に酸素が薄い状態だったのかもしれない。
そう考え、思い切ってアナカリスを鉢から出してみることにした。全て捨てるのは勿体ないので、新芽だけ残して別の容器で育てる事にした。

メダカのテリトリーを少し広げる為に、ホテイアオイの親株も2株から1株に減らそうかと考えたが、いつもホテイアオイが彼らの隠れ家になっている事を知っていた為、アナカリスだけにした。
来年の春はもう少し広いお家(トロ箱)に引っ越ししたいね〜と話しながらメダカの隣でアナカリスを観察していた。

新芽から根っこを生やしているものもいて、植物の力を感じさせられる。植物って本当に面白い。ビオトープはいつも新しい発見に溢れている。

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