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自由を制限したら、行動の質が高まった

先日、新しく手帳を買いました。本を読んでいると新たな考えが浮かんで、メモしたくなります。スマホにメモってもいいんですが、「紙に書いたほうが記憶の定着がいいかな」と思ったんです。

そこで雑貨店を何軒かまわって、トラベラーズノートのパスポートサイズを購入しました。

この手帳はパスポートサイズだけあって、大きくありません。文庫本をふた回りほど、小さくしたサイズです。そのため、思ったことを思ったように書いていると、すぐスペースがなくなってしまいます。書く場所が狭い分、不自由なんですね。

ただ使ってみると、「この不自由さがいいな」と思いました。

大きい手帳の今一つな点は、スペースがありすぎることです。

不思議なものでスペースが空いていると、なぜかそこを埋めたくなります。部屋の空いている場所に、なんとなく観葉植物やラックを置いたりしませんか。余白があると埋めたくなる。それは人間の習性のようです。

その習性は手帳でも発揮され、白いスペースが残っていると、埋めないと落ち着かないんです。

これまでにA5サイズの手帳を何度か買いましたが、どれも続きませんでした。その理由は、どうやら「書くスペースが、自分にとって大きかったから」とわかりました。

手帳を使っていると、見開きに1つのテーマを書きたくなります。でもA5サイズだと、自分の場合はちょっと大きいんです。

すべてを埋めるほど書くことがないのに、習性的に「余白を埋めよう」としてしまう。そうして、重要でないことまで無理して書きます。その結果、ノイズの多いものになるし、無理やり埋めようとして億劫にもなってきます。

その点、今回購入したパスポートサイズであれば、そもそもスペースが狭いので、書く内容を厳選します。書こうと思った瞬間に、「いやちょっと待てよ、この程度のことを書いていたら、すぐに埋まってしまうな…」と躊躇するんです。

一旦、考えた上で、「いや、それでも、これは大事だから」と書き留める。これを繰り返すと、メモする内容は自分にとって大切なものばかりになります。

つまり、あえて書く範囲を狭くして、大切なものを浮き彫りにしているんです。

この考え方は、いろんなことに応用できますね。例えば、仕事時間。

「定時内に終わらなければ、残業すればいいか」と思っていると、結局、夜遅くまで仕事するはめになる。そんな経験は、会社員の方なら誰しもあるでしょう。

その日に終わればまだいいですが、「終わらなければ、明日の午前中に時間を作ろう」なんて思うと、結局明日も残業することに。時間の許す限り、ズルズルと引き伸ばしてしまうんですね(これを「パーキンソンの法則」と言ったりします)。

ズルズルと延ばさずに、「クリエイティブな仕事は、午前中の2時間しかやらない」と範囲を限定するとどうなるか。時間が限られているため、まず、不必要なことはやらなくなります。SNSのチェックを我慢するでしょうし、CCで届いたノイズメールは開封すらしないはず。

範囲を狭くすれば、その分だけ自由度は少なくなります。でも自由がなくなると、「その範囲内でどうするか」と考えるようになる。制約を設けることによって、行動の質が高まるんです。

まあ何が言いたいかといえば、「パスポートサイズのトラベラーズノートを買ってよかった」ということでした。


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