No.254 「出会いは一瞬、きっかけは些細」

学び子Eから便りが届きました。師走の慌ただしい中、心洗われる想いです。新年を迎えるにあたり、清らかな風をお届けします。感謝。

つい昨日「人生はたらいの中の水と同じ」という言葉をテレビで観て、本当にそうだなと思いました。

その言葉の意味は、たらいの中の水を自分の方にばかり集めようとすると、どんどん水は手や腕の隙間から逃げて向こう側にいってしまう。
けれど、たらいの中の水を向こう側へ向こう側へと流すと、自然とこちらにかえってくる。
色々なことに当てはまるなと考えながら、胸に響いた言葉でした。

つい最近、感慨深い出来事が3つありました。

ひとつ目は、子供の担任の先生が喉を痛め、ほとんど声が出なくなっていたのを保護者面談で知り、その日のお迎えの際に喉に良さそうなものをいくつか持参致しました。
そして、喉がどんなに辛くても休めない大変なお仕事であることや、私も喉が弱く痛めることが多いので、辛さがわかる気持ちを伝えたところ、担任の先生は今にも泣きそうなお顔になり、有難うございますとの御言葉を頂きました。
私は、感謝されたかったのではなく、辛さが少しでも軽減できたらという、どちらかというとお節介だったのですが、こんな私の小さな存在がその先生の気持ちを少しでも楽にできたのかなと思うと「伝えること」の大切さを強く実感した出来事でした。

ふたつめは、一ヶ月に一度通う爪を整えてくれるお店で初めて担当頂いた新米のネイリストさんとのやりとりです。
以前は熟練のネイリストさんにお願いをしてたのですが、応援の気持ちを込めて最近は新米のネイリストさんにお願いをしています。
そんな中、先日初めて担当頂いた方は私より3つ年上の3歳の娘さんをもつネイリストさんでした。
最初はとても緊張と集中をなさっていた為か会話はなく、私もそれはそれで心地よく、お任せをしていました。
後半になり、熟練の方々が先にご帰宅し、二人きりになり、ふとしたきっかけからお話ができるようになり、その方は育児の大変さやご自身の生い立ちから学んだ我が子の育て方、お姉様が同性愛者であることの心配を話して下さいました。
私は、何も上手い事は言えませんでしたが、その方がお話して下さったことをゆっくりと聴きながら、たまに私も育児での悩みを話したり、お姉様の御様子から、お姉様ご自身の思いを自ら貫いていることの素晴らしさをただただ伝えました。
すると帰り際、「今日はとても癒されました。有難うございます。」と、全く私が言うべき言葉を先におっしゃられ、驚きと同時に、こんな私でそんなお気持ちを抱いて下さったなんて、とても嬉しく、感謝の気持ちがわく中、「聴くこと(話して頂ける自分でいること)」の大切さを教えて頂きました。

みっつめは、子供の保育所の近くに長年営業されていそうな小さな本屋さんがあり、いつか覗いてみたいなとずっと思いながら通り過ぎていたある日、そのお店のシャッターに「閉店のお知らせ」と書かれた一枚の張り紙を見つけ、とてもショックを受けた出来事がありました。
もっと早く行っていれば…と後悔していた日々が続き、昨日いつもより早く保育所のお迎えに行けた夕方、ふと見ると、シャッターが閉まっていたはずの本屋さんに明かりが灯っていました。
営業されているのか店内の整理をされているだけなのかは分かりませんでしたが、思いきって入ってみたところ、いわゆる「閉店セール」のような、お店と共に年月を重ねた本達や文房具類達が数十円から売られていました。
ちなみに、文庫本は全て一冊三十円(三冊で五十円)、消ゴムや鉛筆は十円、装丁がしっかりした本は少し埃を被っているからと無料で、その他にも子供用の本の付録や雑貨類は、「ご自由にお持ちください」という優しい言葉が書かれた紙が張られた段ボールに入れられ、子供が見やすい低い場所に沢山置かれていました。
そのお店中に溢れる優しさから、本や文房具を買わせて頂きながらもあまりの価格に申し訳ない気持ちが募り、店内にいらした店主さん(80代位のおじいさま)と娘さん(40代位)と少しお話をさせて頂きました。
すると、そのお店は今年で創業96年目で、跡継ぎの予定だった息子さんと娘さんはお二方とも持病があり、これ以上お店を続けられない為、閉店を決められたとのことでした。
店主さんも娘さんも本当に温かいお人柄で、子供が色々選んでいる間もずっとそばで話し掛けて下さり、あぁもっと早く来店していたら良かった…と、なんとも言葉にならない寂しさを感じました。

出会いは一瞬、きっかけは些細。だからこそ、逃しちゃいけない。
そんな大切なことを、痛感した出来事でした。

日々、悩み葛藤しながらも、なんてことない日常には予想外の学びや感動や、感謝が溢れていて、本当に有り難いなと感じる今日この頃です。


2021年12月

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