「教え子」という言葉はよく耳にするが、「学び子」という言葉は普段耳にしない。
私は、指導する立場にある学生を「教え」子とは言わず、「学び」子と呼ぶ。

一、気持ちの良い挨拶をすること
一、感謝の気持ちを忘れないこと

これらは、
「人に親しみ、人に親しまれる人を育てたい」
という私の教育理念の2本柱である。

挨拶を忘れた人間は心を閉ざし、感謝を忘れた人間は傲慢になる。
この二つは、何としても身に付けさせてから社会に送り込みたいとの、強い信念を以って指導に当たっている。

私の口やかましい指導に対する学生たちの初期反応は、様々だ。
前向きかつ貪欲に吸収しようとする者。
自分のテリトリーを犯されまいと、必死で抵抗を試みる者。
頭ばかりが先に働き、行動に移せない者。
時には自己否定されたかのように、殻に閉じこもる者。

まさに十人十色であるが、自分を成長させたいというもがきの中から、確実に変化していく。

そして、そのもがきから脱した一つ一つの変化は、痛烈な戒めとなって私自身に還って来ることとなる。

己は、礼儀正しい人間であるか。
己は、傲慢になっていないか。
己は、感謝の気持ちを忘れていないか。

人にものを申すとは、己への戒めとなって戻ってくるものなのである。
これ以上の「学び」があるであろうか。 

学び子たちに感謝。

2001年4月

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