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つづきものエロ小説(18禁)

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2話以上にまたがるエロ小説は、読みやすいようにこちらにまとめます。
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#人妻

インベーダー・フロム・過去 【1/11】

■  わたしはたまに、恥ずかしい夢を見る。  夢の中でわたしは、髪を短く切っていた、二十歳の頃に戻っている。  上はノースリブのピッタリしたTシャツを着て、下にはジーンズを履いている。  狭い、小屋みたいなものの中で、わたしは汗をかきながら誰かを待っている。  待っているのが誰なのかはよくわからない。  なかなか待っている相手が来ないので、わたしはイライラしてくる。  外からは蝉の声が聞こえて、 小屋のトタンの隙間からは夏のきつい日差しが入り込んでいる。  わたし

インベーダー・フロム・過去 【2/11】

前回【1/11】はこちら ■  なんとかいつもの電車には間に合った。  最寄り駅のローカル線から30分、一番近いターミナル駅で乗り換える。  毎朝のことだが、ホームは人でごった返していた。  夫の公一のように、ラッシュを避けて早起きをするような根性のない、わたしと同類の人たち。  わたしは人の波をかき分けて、売店のわきまで進んだ。    ここで毎朝、わたしは電車を待つ。  辺りを見回すと、毎朝同じ顔ぶれに取り囲まれていることに気づく。  たぶんわたしも周りの人々も

インベーダー・フロム・過去 【3/11】

前回【2/11】はこちら 初回【1/11】はこちら ■ 「どうしたの? ……会社休とか、珍しいじゃん」公一は帰ってきて開口一番、そういった。「熱でもあるんじゃない?」  公一が布団の中にいたわたしのおでこを触る。  ちょっと冷たい手だった。 「………ううん。大丈夫…」わたしは先に言った。確かに身体は熱かったが、熱があるわけではない。「ごめんね、今から御飯作るから……」  布団から出ようとするわたしを、公一が制した。 「いいって……具合悪いんだろ? ……おれがなんか

インベーダー・フロム・過去 【4/11】

前回【3/11】はこちら 初回【1/11】はこちら ■  電車で会おう、と男は電話でそう言った。  わたしは会いたくない。    いやほんとに。  冗談じゃない。  しかし会社には行かないといけない。  どうする?    対応その1…いつもとは違う車両に乗る。  対応その2…スマホの電源は切っておく。  対応その3…変装する(いつものわたしに見えないようにする)。  対応その4…いつもより周りの人に注意を払う。    とにかくわたしはこの4つの対応を、全て実行すること

インベーダー・フロム・過去 【5/11】

前回【4/11】はこちら 初回【1/11】はこちら ■  電車のなかであんなことをされたけど、ちゃんと会社には行った。  そして一日、まじめに仕事をした。  だて眼鏡とひっつめのヘアスタイルのことを何人かに聞かれたが、どう相槌を打ったのかは覚えていない。  お昼には、同僚の女の子2人と、近くの店でかきフライ定食を食べた。  ご飯も残さなかった。  午後もちゃんと仕事をした。  こんなに真剣に仕事したのは何年ぶりだろう。  確かに昨日休んだぶんの仕事がたまっていた

インベーダー・フロム・過去 【6/11】

前回【5/11】はこちら 初回【1/11】はこちら ■  明くる朝目を覚ますと、公一は先に起きていて、朝食を作ってくれた。  そういえば、昨夜はあの夢を見なかった。  朝の光の下でお互いを見ると、何だか少し気恥ずかしくなる。  お化粧をしていたときに気付いたけど、わたしの目の下にはうっすらと隈ができていた。  結局、わたしたちは昨晩に4回もヤった……じゃなくて、愛し合った。  公一が帰ってくる前に自分の指でイったのとあわせたら、何回イッたか判らない。  とにかく

インベーダー・フロム・過去 【7/11】

前回【6/11】はこちら 初回【1/11】はこちら ■  目が覚めると、真っ暗だった。  目が見えなくなったんじゃないかと思って、わたしは焦った。  半身を起こし、そのまま必死に目を開いて何かを見ようとする。  しかし何も見えない。  ここがどこかもわからない。  落ち着け、落ち着け……自分に言い聞かせた。  わたしは混乱する自分を沈めて、わたしが今知りうる情報を頭の中でまとめた。   状況その1…わたしは目が見えない。 状況その2…ここがどこなのかわからない。

インベーダー・フロム・過去 【8/11】

前回【7/11】はこちら 初回【1/11】はこちら ■  何も解決していないし、公一は帰ってこない。  連絡もとれない。  それでも朝はやってきた。    通勤電車やはり満員で、当たり前のように彼=“侵略者”=“シマハラ”は現れた。 「おはよう」  耳元で囁かれる。 「……」  わたしは驚きもしなかった。  振り返って彼の顔を見ようともしなかった。 「……どうしたの? 冷たいじゃん」“侵略者”がまた囁く。「……おとといの晩は、凄かったね」 「……」  無視

インベーダー・フロム・過去 【9/11】

前回【8/11】はこちら 初回【1/11】はこちら ■  公一がいなくなって1週間が経つ。  公一の会社から何回も電話が掛かってきて、これ以上、無断欠勤が続くようなら公一の会社での立場はあやうくなる、と言われた。  ……はあ。  あんまりなにも感じない。  わたしは、わたしの問題で精一杯だ。 わたしの問題その1……公一はどこに行ったのか? わたしの問題その2……わたしの夢の中に出てくる男はつまり、誰なのか? わたしの問題その3……意識を失った夜、わたしは誰と、何を

インベーダー・フロム・過去 【10/11】

前回【9/11】はこちら 初回【1/11】はこちら ■  電話は、三週間も行方不明だった公一からだった。   「……こ、……公一??」  電話口の向こうから微かに、公一の息の音が聞こえた。  多分、外からだろう。  遠くでパトカーかなにかのサイレンの音がする。公一は黙っていた。 「……もしもし? 公一? ……い、今どこにいるの?」 「……」  無言だったけど…その無言は明らかに公一の無言だ。  わたしにはわかる。 「……どこに行ってたの? 三週間も……」 「…

インベーダー・フロム・過去 【11/11】

前回【10/11】はこちら 初回【1/11】はこちら ■  目かくしされたまま、わたしは服を全部脱いだ。  部屋は温かかったが、わたしは寒気を感じる。  公一と小泉の視線が、ぬめぬめと全身を覆っているようだった。 「……どう? 何が見える?」公一が静かな声で言う。「……今、君には僕の姿も、彼の姿も見えない。何も見えない中で、誰の顔が浮かんでくる?」  静寂と暗闇の向こうで、新たに煙草に火を点ける音が聞こえた。  小泉か公一どちらかが、煙草に火を点けたのだろう。  

で、奥さんいつもどんなふうにナニしとんねん 【1/3】

この物語は、実話に基づいています。 会話の詳細などは西田三郎の創作です。 ■  その日、わたしは参考人聴取で近くの警察署に呼ばれ、聴取室で待たされていた。  ずいぶん待たされてやっと現れたのは、ハゲた小男の刑事。  テレビのサスペンスドラマに出てくる、脇役の刑事ふうだ。   「よし! 犯人は●●に違いない!」  とか言って、主人公の刑事の冷静な判断を否定して、どう考えても間違えた方向に突っ走り、最後に大恥をかくタイプ。  なるほど、刑事とはこんな感じなのかなあ、とわ

で、奥さんいつもどんなふうにナニしとんねん 【2/3】

前回【1/3】はこちら ■  相手が警察官で、ここは警察署だ。  わたしは別に、なにも悪いことはしていない……それでも、刑事の手を振り切って部屋を飛び出せない独特の雰囲気が、この男からも、この部屋の殺風景な景色からも漂っている。  わたしは、むくれて椅子に座り直した。 「美人はむくれた顔も、よろしおまんな~……」  ハゲ刑事が言う。  わたしはむくれっ面もすぐ消去した。  どうすれば、この男を喜ばせずに済ませられるのだろう、と考えたが、なかなかいいアイデアが出て

で、奥さんいつもどんなふうにナニしとんねん 【3/3】

前回【2/3】はこちら 初回【1/3】はこちら ■ 「奥さん、尺八されまっか」 「…………」  わたしは、うつろな目で部屋の汚れた天井を見上げていた。 「ああ、尺八って、ちょっと言葉が古すぎやったかもしれまへんなあ……おしゃぶり、ナメナメ……まあようするに、うまいこと上品に言う表現が出てきまへんけど、ようするにフェラチオのことですわ」 「……オーラル・セックス……って表現もありますよね」自分の声に、生気がない。「で、それ聞いて、何をどうしよう、と思てるんですか?」