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【食|麺】家系ラーメンをマインスイーピングする日

久しくラーメン屋に行っていない。
以前に行ったのはいつだったかしら?

そんなことを考えながら、今日もまた温かい汁麺への欲望が湧き上がっていた。

ただ残念な事に今日のそれは数ヶ月に一度、中毒的に訪れる「家系ラーメン」を食べたいキモチであり、それは平日には絶望的に叶わない選択肢なのであった


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家系ラーメンは、豚骨醤油に鶏油(ちーゆ)を浮かべた薄茶色く濁った旨味たっぷりのスープに、太めの縮れ麺、具はチャーシュー、ほうれん草、海苔が基本であって、更にここにライスが付いてくる。

また卓上調味料には、すりおろしニンニク、豆板醤、コショウ、酢、ゴマなどが並び、これらを駆使して百人百様の食べ進め方をするカスタマイズ性の高い食べものである。

スープに浸した海苔でライスを食べる者、ライスにスープをぶっかける者、スープにライスをぶっ込む者、卓上調味料を山程投入しスープの粘度をこれでもかと高める者、そのどれもが上品とは言い難い行いなのだが、とにかく皆、お行儀などは気にせず、目の前のアイテムを駆使してただ黙々と楽しそうに食べ進めるのである。


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ただボクの場合、せっかくの一食ともなると後ろに長蛇の列ができていようとも、やはりお酒も楽しみたくなるのだが、ストイックなラーメン屋には、酒はあっても基本的に酒のツマミは置いてはおらず、そこで酒を飲むにはラーメンの具をツマミにするしかない。

そしてボクにとってこれこそが家系ラーメンの中毒の素なのである。


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まずは食券を購入。
ラーメン、チャーシュー追加、海苔追加、煮玉子、ビール。

そして「麺は半分で」と男子的に小食ぽさが恥ずかしいので店員にこっそりオーダーする。

着席するとすぐにビールが供されるが、ここは手を付けずじっと我慢の子。

ほどなくして半ライスとラーメンが到着すると、まずは濃厚なスープを一口すすり、今日もいい味出してるね大将!的な納得した態度をとってみるが、本当はよく分かっていなかったりする。なにせ数ヶ月ぶりだからな。

そしておもむろに卓上調味料へ手をのばして、ニンニクと豆板醤をスープが浸らないように海苔の上にドッサリと。これで下準備は万端。

あとは刺身にワサビを乗せて食べるがごとく、チャーシューにニンニクと豆板醤を塗って、それを海苔と一緒にパクリ。

まずはニンニクの強烈な香りと豆板醤の塩気が来て、追ってスープの旨味を吸った海苔の風味と、チャーシューの肉肉しさが口に拡がる。

そこで初めてビールをガブリと飲むと、これが堪えられないくらい美味い。

おそらく数ヶ月に一度のおつまみランキングだったら、ビールのアテとして優勝するのではないか?という程。毎日はいらない。

あとは夢中でビールと海苔チャーシューを行ったり来たり、間にほうれん草を摘んでいると、具材もビールも空になり、残るは麺とスープだけになる。

ここまででそこそこの満足感と多少の胸焼けもあり、半麺にしといてよかった、などと思いながら、ラーメン屋には悪いが消化試合のように麺をすすり上げ、あとは残ったスープに酢なんぞを入れて味変し、それを一口すすって終了となる。


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家系ラーメンのこのような食べ方は、その満足度と引き換えに、その後はニンニクのせいで丸一日以上家に籠もる事になる。

よって選択肢として平日などは論外で、土日とも人と会う予定の無い土曜日の昼くらいしか食べられるタイミングがないのだが、そんな土曜日がこの先しばらく無いことも分かっていたりする。

まぁそんなのはいつもの事。
嘆いても仕方がないので、ボクは雪平鍋に湯を沸かしながら、家制ラーメンでも作りますかと、独りオヤジギャグをかまして満足するのであった。

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