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【食|酒】バーの楽しみ方4 まあ飲んでみようか

バー通いのひとつのシミュレーション素材として、ボクというキャラクタを紹介しよう。

ボクの肝臓は健康診断では常にA判定でアルコール分解能も優れている。また常に喉がオシメリを欲していて、日頃から多量の水分を摂取する性質である。必然、放課後は多量のアルコール摂取に切り替えて、毎日グズグスと、あの愉悦と退廃の波に飲まれてゆくのである。

まずは居酒屋にてビールや日本酒とオツマミ。お腹がくちくなったらバーに河岸替えをする。当然食べ物は不要だし、ボクは甘いドリンクを求めないから、大概のカクテルは初動の選択肢から外れ、毎回同じ銘柄のシングルモルトウイスキーを飲みながら、虚ろな目で絶え間なくタバコを消費し続けている。


チェーンスモークは焦燥感の顕れである。ボクがかつてこのカウンター席で作ってしまったタバコの焦げ跡を指でなぞりながら。ボクたちを社会へ縛り付けて止まない、恋や結婚、ローン、仕事。そんな事どもを通して、昔思い描いた大人像から、ボクはどうしてこんなにも外れた所へ辿り着いてしまったのか。そんな事を考える。

そしてそれに伴う清算されない過去や現在の苦い経験の映像が絶え間なく頭をめぐり、しばし心を荒涼とさせられる。

それでもふとカウンター奥の席の美女と目があって、互いにニッコリ微笑みあって一瞬の恋を成就させてみたり。そんな形で悄然と心の浮揚を繰り返し、最後にソルティドッグで締めて店を後にする。

※ソルティドッグ
グラスの縁をレモンで湿らせ、飲み口に塩をあしらったところへ、氷、ウォッカとグレープフルーツジュースを入れてステア。飲み口の塩味とグレープフルーツジュースでサッパリする。

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