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NFTが本来持つ価値について【体験価値の設計に向けた整理】

現在のNFT市場における価値の整理

今年に入って知人から「結局、NFTは金融物として将来価値が上がる可能性があり、二字流通で第三者に受け渡した際に発行者に収益分配されることが体験価値なのか?」など本質的な価値について聞かれることが多くなった。
数年以上に及ぶ先駆者の方々の努力によってNFTの知名度が飛躍的に上がり今年は黎明期を迎えている。NFTとは本質的に何なのか、言語化していく。

現在、国内で販売しているNFTは数量を絞ることでそのデータの希少性を保証している事例が多い。他にもアルゴリズムによって生成されてそれぞれが一点モノであるジェネラティブアートNFTも人気を博している。
これらのNFTは金融物としての価値を持っていて、投機目的や純粋にNFTが好きなアーリーアダプター層が多くを購入している。広くクリプト領域の成長を捉えた時にこの市場を広がり方は健全であると考えている一方で、この成長曲線は向こう数年で鈍化して、NFTが本来持つ価値に移行が加速すると考えている。
今後、NFTを活用した一般的なサービスが増えてくる上で、その体験価値の大元となる価値整理を記載していく。

NFTとは何か。その価値について。

NFTが本来持つ価値とは何か。おおよそ技術の観点を取り除いた上で定義すると、NFTとは人々が起こした行動変容や熱量そのものであり、これまでは無形物だった記録や所属や権利を資産化出来ることに価値がある。
例えば観光地へ旅行すること、推しているアイドルのライブに参加すること、好きなアニメの映画を観ること。これらの行動変容や個人の熱は資産として形にすることは出来なかった。
昨今のSNSで多用されているハッシュタグの様に、個人の趣味・趣向に対してタグ付けする感覚にも近い。その人は何者なのか、NFTが入っているクリプトウォレットを見れば分かる様になる。そんな時代が遠くない未来に訪れる。

ハーバード経営大学院准教授のScott KominersはWeb3で有望な点は「エンゲージメントの履歴があり、人生を通じてプラットフォームからプラットフォームへとあちこちもち運べること」と発言している。(WIRED vol44参照)
私は特にNFTの領域はこの「エンゲージメントの履歴」が本質的な価値に繋がり、それに呼応して今後体験価値まで設計したNFTに関連するサービスが増加してくるに違いないと考えている。

時が流れて啓蒙が進み人々が多くクリプトウォレットを持った時、NFTの標準規格がより明確になった近い将来、NFTを機能させる体験を実装・提供する事業者が増加した時、個人を証明するDIDとしてもNFTは一部機能していく。

上記の定義に沿った海外事例の紹介

POAPは先ほどの定義における「行動変容や熱量(エンゲージメント)」に特化したNFTを取り扱っている。
POAPとはProof of Attendance Protocolの略で、現実世界・メタバースにおいて配布される参加証明NFTを提供している。このサービスはこれまでAdidasやBudweiserのイベントで参加証明NFTを配布したことがあり、今年約13億円を調達している。
このサービスでは行動変容に特化していて、それに応じてPOAPを複数種類・個数を受け取ることで特定のサービスやコミュニティで体験を享受する可能性を秘めている。
このNFTならではの体験価値を提供するためにPOAPでは自社からウォレットも提供している。イーサリアムのサイドチェーンを使用していて、発行と配布に関してガス代が相当安くなる実装がされている。この技術や実装理由に関しては改めて別の記事にて記載する。

最後に

ここ30年、テクノロジーの発達によって飛躍的にスケールしたソーシャルライフは今後数十年で深めていくフェーズに入っている。先ほど紹介したPOAPはこのフェーズの中でその役割を担っていくサービスの1つである。
日本国内でもこの動きは確実に出てくると確信している。投機目的での所有だけではなく、ヒトが持つ趣味・趣向や行動変容や熱量に沿ったNFTの販売・配布、そのNFTに応じてサービスやコミュニティが社会に実装されていく。

その未来はウェルビーイングな社会の実現に近付いていると信じている。
その社会を実現するため、Digittleでも大規模展開に向けて粛々と準備を進めていく。

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