書き重ねる:2020/11/16

なんとなくマイページを見ていたら「書き重ねる」が並んでいて面白いと思った。途中で、「書き重ねること」が「書き重ねる」に変わっているのに気がついた。

「こと」と書いてしまうのは私の癖である。別に必然性があってか「こと」とつけるわけではない。省略したほうがいいだろうと思って、最近「こと」が出てくるたびに書き直している。書きながら修正するのは「こと」退治以外にはほとんどない。

そうやって何かを意識して書いていると、文体が変わってくる。今までは、「こと」を使って文章のバランスを取っていたのだろう。「こと」をなくすと、色々な表現が出てくる。「こと」にかかっていた体重が抜けて、別の語彙でバランスを取るようになったからだ。文章が鮮やかになって、わかりやすくなっただろうと勝手に思っている。

こんなふうに毎日同じテーマで書き続けることも何かの矯正の役割があると思う。散開していった思考を、もう一度まとめあげる。考えているつもりで、考えないように逃げていってしまった思考をもう一度自覚して、使う。

そうした変化の仕方は嫌いではない。むしろ変化とは、いきなり変わることではなく長い時間をかけて達成されるものだと思う。歯の矯正のように、自分の力ではなく自然に変わっていく方向を示して、あとは時間に任せる。そのほうが、辛くないし努力もいらない。気がついたら変わっている。

意識している部分と、意識していない部分がある。考えすぎることに敏感になり、いい加減なところであえて手放してみる。考えていては到達できないところに、到達する。考えないことで、考えるだけではできないことをやってみる。考えずにいられるように考える。そして、あとはひたすら時間が経つのを待ち続ける。

変わりたいと思ったとき、劇的な変化や感動は期待できない。はじめの一歩は、意味がないように思える。それぞれの過程を一つ取り出しても、そこに変化はない。変化を感じ取るのは、変わっていくことの外側から自分を見た自分だ。変化している最中は、変化しているとわからない。結局、いつも書くしかない。

毎日同じテーマで書くと決めた。それは、書き方についてである。それは、自分を変える方法についてである。それは、書くこと自体を変えていくためである。それは、書くことで、書くことを変えるためである。

テーマは、テーマ自身のやり方で表される。内容でもあり、それを支える構造でもある。概念でもあり、文章を進める力でもある。私はなぜか書けている。

最後までお読みくださりありがとうございます。書くことについて書くこと、とても楽しいので毎日続けていきたいと思います!