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子どものやる気はマインドセットから!

割引あり

まえがき

塾で中学受験指導をしている中でご父母からの相談で多いのが、お子さんの「中学受験に対するやる気や積極性が出てこないため、家での学習状況が心配である」というものです。ご家庭で声かけなどをしていますが、効果がなく、どうすればいいのかと困り果てている相談が毎年あります。

子どもが受験勉強に前向きに、自らすすんで頑張るというのはとても頼もしいのですが、現実はなかなかそうもいかないのが実情です。

そこでマインドセットの考え方を塾での指導やご家庭での対応に役立てるのではないか、中学受験をする子どものやる気アップのヒントになるのではないかと執筆しました。

やる気が出ないときどうする?

塾では個別指導、集団指導ともに目の前に先生がいます。こなすべきカリキュラムに沿って指導、気が緩んでいるようであれば引き締めの対応をすることが可能です。子どもとしても塾の先生のいうことは聞かなければならないという意識があるのか、先生のいう通りにしてくれます。

ところが家庭ではご両親が血のつながったとても近い関係にあるためか、なかなか耳をかさない、返事はするものの行動がともなわないという状況になりがちです。

言っても聞かない子ども

塾にせよ家庭にせよ、子ども自身が自ら中学受験合格への可能性を感じ、日々の勉強に成果を感じていれば、気の緩みややる気が出ないという状態にはなりにくいはずです。

そこで教育分野だけでなくビジネス分野でも注目されているグロースマインドセットの活用について共有できればと思います。


①2つのマインドセットタイプ

子どもだけではなく、人が何かを成し遂げようとしたときに、達成に向けての努力が必要です。その努力を支えるのがやる気、モチベーション。

やる気満々になるには?

やる気やモチベーションが自然にわきあがってくれればいいのですが、なかなかそうもいきません。

そこで前向きな積極的な姿勢になるための意識的なマインドセットが必要なのです。

マインドセットの意味は、これまでの経験や教育、性質などでつくられる、ものの見方や考え方です。本人のもつ性質だけではないので、生まれつきというより経験や教育によってよりよいものに変えられるものと考えます。

よく知られたマインドセットは、フィックストマインドセットとグロースマインドセットです。

それぞれの特徴を見ると中学受験に効果的なマインドセットはグロースマインドセットといえます。

②フィックストマインドセット

フィックストマインドセットの意味としては、「人の能力は努力をしても大きく変化することはない」というものです。それぞれ個人がもっている性質や能力をもとにする考え方。

勉強したくない…どうせ無理

このマインドセットでは努力や経験によって大きな変化を生み出せるという発想がなくなるため、コツコツと練習を継続することや、困難だと感じられるものには手を出さないといったスタイルになりがちです。

また、様々なことにチャレンジをする機会が少なくなる分、失敗の経験も少なくなります。失敗に対する耐性も低くなり、失敗したときに自分の中に原因を探すことはせず、他の人や環境に原因があるととらえることもあります。

中学受験では自分が知らなかったこと、できないことを明確に把握し、塾の先生などに質問して解決する積極的な姿勢が大切です。

できるだけ多くのできないことに出会い、それを確実に克服していくことで中学受験合格を目指します。

わからなかったことがわかった!

それまでできなかったことの原因をつかみ、克服できたときに大きな成長と満足感、自己肯定感が得られ、それがさらなる積極性につながり、プラスサイクルで学びに対して生き生きと積極的になります。

このように考えると、フィックストマインドセットは自分自身を大きく成長させなければならない中学受験には向いていないといえます。

③グロースマインドセット

グロースマインドセットはフィックストマインドセットとほぼ逆の考え方で、「人の能力は様々なチャレンジをし、成功や失敗を通して努力することで大きくのびる。その経験値は成果としてでてくる」というものです。

個人にやる気や積極性が出てくるだけでなく、周りの人々にもその影響が与えられるという側面もありますので、集団指導の塾、学校などでも相乗効果が期待できます。

自分のやる気はみんなのやる気!

幼い子どもは失敗を恐れず、なんでもやってみようとします。最初はできなくてもそのうち、スムーズに成功するようになります。

できないと悩むのではなく、どんどん繰り返して感覚を身につけているのでしょう。

中学受験では幼い子どものチャレンジとは内容が異なりますが、悩むより行動、失敗したときの分析、それをもとにした再チャレンジをくり返すだけです。

子どもは成長にしたがって様々な環境に適応していきます。自己防衛の意識やプライドなどが育ち、失敗を恐れずに悩むことなく何度でもくり返すということができなくなる、それならば失敗しないようにという感覚になるのは当然なのかもしれません。

ですので、より積極的に前向きになれるグロースマインドセットを意識してとり入れるべきでしょう。

前向きに学べるマインドセット

さびしいのですが意識しないとどうしても守りに入らざるを得ないのが現代社会なのかもしれません。ことなかれ主義がさまざまなところで蔓延してしまい、それが子どもたちへも影響しているのかもしれませんね。

グロースマインドセットは企業の社員教育などでも注目されていますが、中学受験や高校受験、大学受験でも有用なマインドセットです。ここでは中学受験にどのように取り入れるのかを紹介します。

④中学受験用マインドセット

  • 自己肯定感を育てる→やってもできないという意識を変える

  • 失敗の効果を実感させる→失敗したからこそ進歩できる

  • 継続のパワーを実感させる→積み重ねることによって何ができるのか

  • プロセスへのフィードバック→適切な具体的なアドバイス

それぞれのの具体的なすすめ方を見ていきましょう。

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