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先生冥利に尽きる

 大学在学中から音楽教室や学校などでオーボエを教えていました。初心者さんや5年以上吹き続けてる大人の方、学生さんなど様々な方とご縁があり、時に「私が教えて欲しいわ!」という鋭い質問をくださる方もいらっしゃいます。本当に日々勉強です。指導することで上手くなるというのは間違いないでしょう。

 1.2年程前から教え始めた学生の方がいらっしゃいます。2人いるのですが、それぞれ違う学校で、習いに来てくれている音楽教室も別々なので一緒に指導したことはありません。
 2人ともタイプは違えど熱心で、オーボエに対する興味は日に日に強まり、持ってくる曲がどんどん難しくなっていくのが頼もしかったです。

 そんな別々の場所で教えていた2人がなんと先日、演奏会で共演しました。
 2人とも学校の吹奏楽部で演奏活動をしていると聞いていました。「今度こんなプログラムで演奏会するんです」とそれぞれ言ってきてくれて、(あれ…?プログラム一緒、時期も同じ、学校交流の演奏会…あれ!?)と思い、確認したら案の定でした。こんなことあるのか!?いやあるか!と、まぁそんな珍しいことでないにせよ、この偶然は心躍りました。

 幸か不幸か、演奏会仕事が入らなかったので聴きに行けました。この日に限っては幸せに軍配があがりました。
 少しだけ、ほんの少しだけ世の中の先生方の気持ちがわかった気がします。

あの子がソロを吹く!わ!どうしよう!大丈夫かな?あそこが吹けないって言ってたな、今日は吹けるんかな、大丈夫かな、わー、きた!!!!

わーーーーーーーーーー!!!!!!


っとまぁちょっと大袈裟に書きましたが全然落ち着いて聴いてませんでした(笑)親に以前「あんたが吹く前落ち着かへんねん」と言われたことがありましたが、その通りですね。親ではないにせよ、なんというか、一緒に緊張したというか、一緒というと烏滸がましい気もしますが、あぁ今本心であの子を応援していると俯瞰で感じていました。それから、もっと、大丈夫だろうと信じてもいました。

 2人は大変素晴らしい演奏をされていました。
全てが上手くいったかは本人に聞かないとわかりませんが、一生懸命で心のこもった輝くフレーズだったように思えました。それは私がどうこうしたからではなく、本人にしか出せない力でした。
 あの2人のオーボエの時間を少しでもサポートできていたらこれは幸せだなぁと心から思います。

 もしかして今までお世話になった先生方も、こういう気持ちを向けてくれた瞬間があったのかな?なんて考えました。そうだとしたら大学には愛が溢れていたのでしょう。
 先生側を少しでも経験したことにより、「恩返し」の輪郭が以前よりはっきりしました。大きな収穫だったと思います。

 いつもは教える立場でしたが、あの演奏会で私が大いに学びました。お二人共本当にありがとうございました。

写真は全然関係ない、ちっちぇえ茄子です。

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