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獺祭の工場を見学に行った話

獺祭という日本酒があって、そこの酒蔵に見学に行った。

獺祭は、山口県岩国市にある旭酒造という会社が作っている。訪れてよく分かったのは、この会社は「マネジメントで勝利している」ということだ。日本酒を合理的な経営、そして科学的な製造方法で作っていくことで、他の日本酒とは大きな差別化を図っている。

例えば旭酒造は純米大吟醸である獺祭しか作っていない。お米も山田錦しか使っていない。なぜかというと理由は合理的で、いろんなお酒を造るよりは一つのお酒を造り続けた方が作り方が上手くなり、従って美味しくなるからだ。そういう理由で商品点数を絞っているのである。

一方、伸ばすところは伸ばしている。今力入れているのが生産量を伸ばし、販路を海外に広げることだ。そのために、ハード・ソフト両面においてたゆまぬ先行投資を継続している。

その一つとして今、アメリカに酒蔵を作っているそうだ。なぜかといえば、日本で作って輸出すると、その過程でどうしても味が落ちてしまう。しかしアメリカで作れば、それは解決する。つまり、その方が合理的だからアメリカに工場を作っているのだ。

もちろん、輸出するのとアメリカに工場を作るのとでは比較にならないくらい後者の方が手間がかかる。しかしそれが成し遂げられれば圧倒的な優位性を得られる。おそらく、アメリカにおける日本酒のシェアはほとんど独占できるだろう。

その意味で、獺祭の取り組みは決して無謀な挑戦ではない。きちんと勝算がある。かかる手間は膨大だが、その分リターンも大きい。そういう計算づくの経営なのだ。大胆なようで、石橋はきちんと叩いている。

しかも旭酒造には、もう一つ、工場を拡大したりアメリカに進出したりすることの勝算がある。それは、これまで日本でも厳密な工程管理の元、作ってきたという蓄積があることだ。

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