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コミュニケーションの「中間領域」とは?

コミュニケーションは「中間領域」が難しい。「コミュニケーションの中間領域」とは、「知ってはいるがそれほど親しくない人」とのコミュニケーションのことである。いわゆる「知人」とのコミュニケーションだ。

現代社会では、知らない人とのコミュニケーションはかなりの部分が形式化されていて、誰でも使えるように制度設計されている。なぜなら現代人は、知らない人とのコミュニケーションの機会があまりにも多いからだ。全国のあらゆるコンビニのレジでは、日夜無数の「知らない人とのコミュニケーション」が発生している。これが頻繁に滞るようだと、文字通り社会は破綻する。

次いで、「親しい人とのコミュニケーション」も、ほとんどの人が問題を抱えていない。もちろん、仲違いなど「人間関係」の問題は抱えているだろうが、それらは基本的にコミュニケーションとは関係ない。

ここでいう「コミュニケーションの問題」とは、「会話が成立しにくいこと」を指している。親しい人とは、たいてい会話は成立する。ところが、それにもかかわらず相手がこちらの思い通りに動かないから、ケンカになるのだ。

人は、会話が成立しない相手にはそもそも期待しないから、ケンカにならない。親しい人とケンカになるのは、会話は成り立つのに、相手が言うことを聞かないからである。

例えば子を持つ親も、相手がまだ言葉を解さない赤ちゃんなら、何をされても怒らない。ところが、子供が言葉を理解できるようになると、とたんにいろいろなことで怒るようになる。このように、親しい人との人間関係のトラブルは「コミュニケーションの問題」からは発生しない場合が多い。むしろ、コミュニケーションが円滑に図られるからこそ、トラブルになるのである。

そのため、コミュニケーションのトラブルは、たいてい「関係性の中間領域」で起こる。初対面でも、親しくもない人との間で起こる。ここはまだ、社会の中で形式化されていない。なぜ形式化されていないのか? それについては後述する。

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