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子どもにスマホを禁止するのは「正解」か?

妻が子どもを産んでくれたとき、妻は自分で口には出さなかったけれど、「きっとすごい大変な思いをしただろう」と、ぼくは思った。それは、男には絶対にできない大変さだ。だからぼくは、「今後は妻になるべく負担をかけないように、ぼくも育児をがんばろう」と思った。

ただし、「がんばりすぎないようにしよう」とも思った。がんばりすぎて、ぼくが燃え尽きたら、妻にはもちろん、子どもにも迷惑がかかる。だから、妻や、子ども、そして自分が燃え尽きず、無理なく続けられる範囲の育児をがんばろうと思った。

「育児に正解はない」と、よくいわれる。けれど実際には、世の中に「育児についての正解」が溢れている。子育てをしている人たちは、そうした「正解の押しつけ」に苦しんでいると聞いた。

例えば、哺乳瓶でミルクを飲ませていたら、知らない人から「母乳の方がいいよ」と言われたり。その人は、母乳が出ないことで苦しんでいた。そういう事情も知らないで、自分の考える育児の正解を押しつけくるのは、善意を通り越して、もはやハラスメントだと思う。

だからぼくは、そういうハラスメントからはなるべく遠いところで、ぼくたちなりの子育てをしていこうと思った。もちろん、社会に迷惑をかける行為や犯罪は絶対にいけないけれど、古い常識や価値観の押しつけはさりげなく回避していきながら、今の時代に合った、そしてぼくたちに合った子育てをしていけたらと思った。

今からここに書くことは、その意味で、もしかしたら他の人から見たら首をかしげるようなところがあるかもしれない。「こうした方がいいよ」と、真心より心配してくださる方がいらっしゃるかもしれない。

もちろん、そういう声はとてもありがたいし、真摯に耳を傾けていきたい。しかし、ぼくたちがどうがんばってもできないことは、やっぱりできないということもある。だから、そこはうまくバランスを取りながら、子育てをしていきたい。実際、生まれてからさまざまなアドバイスをいただき、それを参考にして考えをあらため、結果的にとても助かったということもたくさんある。

だから、ぼくたちの今の子育ては、あくまで暫定的なものかもしれない。これからも変わっていくだろうし、逆に変わっていかなければダメなのかもしれないと思う。そういうことを前提に、ぼくたちの子育てについて書いてみたい。

子どもの自由を尊重したいと思った


ぼくは、自由が好きだ。そして妻も、自由が好きだ。だから、子どもにも「自由に生きてほしい」と思った。そのためには、親の価値観を押しつけすぎず、子どもの自由を尊重しながら子育てしていこうと思った。

ところがあるとき、難しい問題に差しかかった。子どもが、妻が見ていたスマホを見たがったのだ。やさしい妻は、頼まれると断れないところがある。そのため、子どもからの頼みを断り切れず、スマホを見せてあげた。

世の中には、「子どもにスマホを見せてはいけない」という人が多い。「スマホは絶対禁止」という人もいる。そういう声は、リアルではもちろん、YouTubeやTwitterを見ていても、耳が痛くなるくらいに届く。

そのため、ぼくも大いに悩まされた。子どもがスマホを見てもいいものかどうか? 子どもにスマホを見せないことが「正解」なのか? スマホは絶対禁止にした方がいいのか?

それでも、最終的には、子どもの自由を尊重したいと思った。それは、ぼくや妻がスマホを自由に見ているのに、子どもだけそれを禁止されたら、もしぼくが子どもだったら絶対に嫌だと思ったからだ。

ぼく自身、子どもの頃に、親はコンピューターを自由に使っているのに、ぼくだけ使わせてもらえないことがあった。ぼくだけコンピューター禁止にさせられた。そのことに、ぼく自身、当時から疑問を感じていた。

そのことが理由で、ぼくはコンピューターが苦手になってしまった。その苦手意識には、大人になった今でも悩まされている。だから、「たられば」ではあるけれども、もし子どもの頃にコンピューターに触れられていたら、その苦手意識はもう少し軽減していたかもしれない……と思ったりもする。

そういうことも含めて、ぼくたちは結局、子どもにはスマホを自由に見せることにした。





子どもがスマホを見ることに反対の声が多いことは、もちろん知っている。けど一方で、子どもに悪影響を及ぼすとは証明できていない……という意見があることも知った。

だからぼくたちは、今のところではあるけれども、子どもにスマホを見せている。このことは、もしかしたら間違いなのかもしれない。そのことに悩みながら、今日も子育てをしている。

こうした悩みが尽きることは、もしかしたら一生ないのかもしれない。それでも、逆にいえばこんなふうに悩むことが、もしかしたら子育てというものなのかもしれない。そんなふうにも、考えたりしている。


今度、「第8回岩崎夏海クリエイター塾」という私塾を開講します。こちらでは、子育てやその悩みについての議論もしていますので、ご興味のある方は、よろしければこちらの記事をご覧ください。


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