前年比は全体で84.0% 実用書、児童書は100%超えるも前年のコミック影響を受け:店頭売上前年比調査 2021年12月【日販調べ】
日販の「店頭売上前年比調査(12月期)」が発表されました。
これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。12月は1,623店のデータをもとに作成されています(11月は1,626店)。
12月期の店頭POS売上前年比は84.0%(昨年110.1%)。前年、年間でもっとも売れた月であったということもあり、コミックを中心に大きく落ち込みました。2020年に大きく動いていた「鬼滅の刃」「呪術廻戦」の関連作品が全体に与えるマイナス影響は、あわせて△10p超と見られます。特に、前年伸び率の高かった郊外、ロードサイド店舗の落ち込みが目立ちます。また、大雪の影響を受けた地区も数字を落とす結果となりました。
ジャンル別 前年比・構成比
続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。
雑誌
雑誌は前年比92.9%(昨年94.6%)。厳しい傾向が続いています。
創刊100周年記念号となる「文藝春秋」(新年特別号)が大きくジャンルを牽引しました。また週刊誌では「国産名車プレミアムコレクション」が創刊され、好調なスタートを切っています。
ムックは比較的いい動きをしていますが、これは1月9日放送開始のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のドラマ・ガイド発売の影響もあります。昨年はドラマの放送開始時期が2月にずれたため、12月に発売がない状況でした。また、年賀状素材集も年末まで動き続けました。
書籍
書籍は前年比95.9%(昨年96.5%)。
実用書、児童書の2ジャンルが前年を超えました。YouTuber・コムドットの写真集『TRACE』が実用書の売上を大きく牽引しています。また、占い本関連も「ゲッターズ飯田の五星三心占い」といった定番のシリーズに加え、昨年人気となった「星ひとみの天星術」といった新たなシリーズも好調であり、ジャンルとして賑やかさを見せています。
児童書はクリスマス商材に加え、「パンどろぼう」シリーズなどが人気を博しました。
100%には惜しくも届きませんでしたが学参も好調です。英検やTOEICなど英語関連書が好調に動いています。
コミック
コミックは前年比62.6%。(昨年154.5%)
「鬼滅の刃」の完結巻が2020年12月4日に発売された反動を受けた結果となりました。前年比は厳しい状況ですが、「呪術廻戦」が映画公開後に大きく数字を伸ばしていること、「東京卍リベンジャーズ」の人気が継続していることなど明るい話題もあります。年明けからのドラマ化、アニメ化作品などを中心に既刊も含めた盛り上がりが作れそうです。
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年明けから復調の兆しも見えてきています。オミクロン株の影響で、新型コロナ感染者数が増加しており、再び巣ごもり生活となる可能性も出てきています。今後の動きを注視していきたいと思います。
(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)
・前年のコミック人気の影響で前年比87.3%。文芸書が103.1%と前年超え:店頭売上前年比調査 2021年11月【日販調べ】
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