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前年のコミック人気の影響で前年比87.3%。文芸書が103.1%と前年超え:店頭売上前年比調査 2021年11月【日販調べ】

日販の「店頭売上前年比調査(11月期)」が発表されました。

これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。11月は1,626店のデータをもとに作成されています(10月は1,627店)。

前年比

11月期の店頭POS売上前年比は87.3%(昨年105.6%)。前年は「鬼滅の刃」の人気がピークを迎えており、「呪術廻戦」も伸びてきた時期。こういった影響を受けてコミックが大きく落ち込みました。「鬼滅の刃」関連作品53点、「呪術廻戦」関連作品26点が全体に与えるマイナス影響は、あわせて△6P程度と考えられています。

また調査店の動向を見ると、客数が大きく減退しており、この影響が出ていると考えられます。このためコミックだけでなく、全ジャンルで厳しい状況が続いています。

ジャンル別 前年比・構成比

続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。

ジャンル別

雑誌

雑誌は前年比91.1%(昨年93.5%)。昨年からの厳しい流れは変わっていません。

しかし、厳しい中でも昨年より好調な雑誌も見られます。月刊誌は「すてきな奥さん」2022年新春1月号と「文藝春秋」12月号(特集:秋篠宮家「秘録」この3年間に何が起きていたか)が売場を牽引しました。週刊誌は比較的落ち幅の少なかったジャンルです。MLBのア・リーグMVPに選出された大谷翔平選手を特集した「Sports Graphic Number」12/2号などが大きく動いています。

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書籍

書籍は前年比93.8%(昨年101.1%)。

文芸書が103.1%と前年を超えました。文芸書を大きく伸ばしたのは『日蓮大聖人御書全集』『聖域』など。また『私が見た未来 完全版』も文芸書に分類されているため、このジャンルを牽引しています。

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総記には家計簿や日記、手帳が分類されています。全体では厳しい数字になっていますが、『3年卓上日誌』が前年比110%を超える伸びを見せているなど、勢いのあるタイトルも見受けられます。

コミック

コミックは前年比72.5%(昨年131.4%)。

「SPY✕FAMILY」「キングダム」といった大物新刊が発売され、大きな売上を作っています。ただ、昨年「鬼滅の刃」のまとめ買いが非常に大きかった時期にあたっており、そういった作品の少なさから前年に大きく届かない結果となりました。「鬼滅の刃」のアニメが12月からいよいよ新章に入るということで、昨年のようなまとめ買い需要を期待したいところです。

コミック

* * *

12月に入り、クリスマス商戦・年末商戦も本格化してきました。多くのお客様を売場に呼んでくれた「鬼滅の刃」「呪術廻戦」もアニメ新章突入、映画公開とメディア化の話題続きの月となります。

続くキラーコンテンツを育てていくという意味でも正念場の月となりそうです。

(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)

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