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新型コロナの影響止まらず、学参・児童書は好調ながら、全体では前年比94.1%:店頭売上前年比調査 2021年7月【日販調べ】

日販の「店頭売上前年比調査(7月期)」が発表されました。

これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。7月は1,648店のデータをもとに作成されています(6月は1,638店)。

前年比

7月期の店頭POS売上前年比は94.1%(昨年103.8%)。新型コロナウイルスの急拡大により、厳しい売上の状況が続いています。また、前年「鬼滅の刃」が大きな売上を作っていた時期でもあり、厳しい数字となりました。

夏休みが始まった地域の多い7月下旬からは若干復調の気配も見えていますが、感染拡大に歯止めがかからないことから、今後についても厳しい状況が続きそうです。

ジャンル別 前年比・構成比

続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。

構成比

雑誌

雑誌は前年比95.8%(昨年89.9%)。

月刊誌の「GLOW」8月号(付録:DEAN & DELUCA レジかご買物バッグ+ストラップ付き保冷ボトルケース)、「Myojo 」9月号(表紙:なにわ男子)などが売上を牽引しました。

週刊誌は4か月連続での前年超えです。東京オリンピック関連の商品が一斉に出版されるなか、「ザテレビジョン増刊 東京2020オリンピック テレビ&配信オフィシャル観戦ブック」が大きく売上を伸ばしました。

ザテレビジョン増刊 東京2020オリンピック テレビ&配信オフィシャル観戦ブック

書籍

書籍は前年比97.3%(昨年98.6%)。

学参、児童書が前年超えとなりました。昨年は夏休みの開始時期が遅れ、7月中に夏休みが始まらなかった学校も多かったため、課題図書や小学生向けドリルなどの7月中の売上が低迷していました。その影響もあり、今年は売上を伸ばしています。課題図書の7月中の売上は、昨年と比べ2倍以上の実績となっています。

逆に総記ジャンルは昨年度、辞典の販売のピークがずれ込んで、7月もまだまだ大きな売上があったことで、今年は大きなマイナスとなりました。

好調が続いていた文芸書も若干ブレーキがかかっています。昨年7月に村上春樹の新刊『一人称単数』が発売されていた影響が、大きく出ています。

コミック

コミックは前年比88.1%(昨年130.1%)。

昨年は「鬼滅の刃(21)」の発売時期でした。今年は「東京卍リベンジャーズ」が好調ペースで売れています。関連書27点のPOS押上げ効果は3.1%にまで拡大してきていますが、前年影響には及ばず前年割れとなりました。昨年の「鬼滅の刃」の関連作品のマイナス影響は△6.3%となっています。

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8月に入って、夏休み商戦が本格化しオリンピックで盛り上がるなか、新型コロナウイルスの急拡大が止まらない状態が続いています。本の売上がどう推移していくのか、見守っていきたいと思います。

(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)

・雑誌やコミックの大型銘柄が発売されるも、前年比95.2%の結果に:店頭売上前年比調査 2021年6月【日販調べ】



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