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来店客数減少で厳しい状況続き、コミックが健闘するも昨年には届かず:店頭売上前年比調査 2021年8月【日販調べ】

日販の「店頭売上前年比調査(8月期)」が発表されました。

これは当年・前年ともに売上データが取得できている店舗を集計対象としたもの。8月は1,641店のデータをもとに作成されています(7月は1,648店)。

前年比

8月期の店頭POS売上前年比は92.7%(昨年101.6%)。新型コロナウイルスの感染者数急拡大を受け、緊急事態宣言が発出されたままの状態が長く続いています。そのうえ全国的な荒天なども続き、厳しい結果となりました。

感染者数は若干の減少傾向を見せていますが、来店客数の減少は止まりません。今後についても店頭は厳しい状況が続きそうです。

ジャンル別 前年比・構成比

続いて、ジャンル別の調査結果を細かく見ていきます。

ジャンル別

雑誌

雑誌は前年比90.3%(昨年87.8%)。

週刊誌は100%超えの実績となりました。5か月連続の前年超えとなります。ただ、週刊誌は昨年コロナ影響を受けた休刊が相次ぎ、昨年8月の実績は前年比88.2%と大きく苦戦しました。こうした経緯から依然厳しい状況と言えるでしょう。

そういった中ではあるものの、東京オリンピックの総集編や高校野球関連の増刊号など、復活してきたスポーツイベントに起因した雑誌が売上を伸ばしました。今後もオリンピック、パラリンピック関連商品の出版が予定されていますので、期待が持たれます。

書籍

書籍は前年比90.5%(昨年102.3%)。

児童書が前年超えとなりました。各社の大型図鑑が好調に動いたほか、シリーズ累計130万部を突破した人気シミュレーションバトル図鑑の最新刊『神話最強王図鑑』などの手軽な図鑑も売上を伸ばしています。

神話最強王

一方で、資格試験の参考書や問題集、また、TOEICなどの英語関連書籍は引き続き好調を続けています。前年超えとはならなかったものの、学習熱の高さは継続しているようです。

コミック

コミックは前年比98.5%(昨年117.0%)。

「東京卍リベンジャーズ」の関連書27点が売場を牽引しており、昨年8月の「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」に匹敵する人気となっています。このほか、8月28日、29日の週末映画動員ランキング1位となった「僕のヒーローアカデミア」の最新31巻などが好調な動きを見せました。

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9月に入りました。月初から、「ONE PIECE」の第100巻、東野圭吾のガリレオシリーズ最新刊『透明な螺旋』の発売など、店頭にとってはビッグニュースが続いています。また、TikTokで紹介されて本が売れるといった新たな潮流も出てきました。

今後の動きに期待したいと思います。

(日販 流通改革推進部 パートナーズ推進課 古幡瑞穂)

新型コロナの影響止まらず、学参・児童書は好調ながら、全体では前年比94.1%:店頭売上前年比調査 2021年7月【日販調べ】


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